日産が「走るオフィス」を本気で開発! 2022年度内発売へ「テレワーク専用車」の狙いとは?

価格は500万円から600万円 日産ディーラーで発売予定

 ムーウのようなコンセプトモデルは昨今のキャンピングカーブームもあり、決して珍しい存在ではないと思います。

 しかし、ムーウの大きな特徴が、日産の正規モデルとして、日産新車ディーラーで販売する予定だということでしょう。

快適なテレワーク空間を完備した日産「MOOW(ムーウ)」
快適なテレワーク空間を完備した日産「MOOW(ムーウ)」

 日産関係者は次のようにいいます。

「2022年度内に、日産の新車ディーラーで500万から600万円のコンプリートカーとして発売する予定で現在準備中です。ただし、一般向けの販売ではなく、B2B(業者向け)を想定しています」

 これは日産に限らず、自動車メーカーにとって事業の大きな転換だといえるでしょう。

 なぜならば、これまで自動車メーカー各社は、正規モデルとしての架装に対して極めて慎重な姿勢を示してきたからです。

 とくに、商用車をキャンピングカーのように架装する場合、道路運送車両法における保安基準もさることながら、PL(製造者責任)に対する配慮や各メーカーの社内規定に対する解釈などから、自動車メーカーとして架装モデルを積極的に売り出す姿勢を取っていませんでした。

 一部、正規新車ディーラーが独自に架装モデルを販売するケースがありますが、自動車メーカーが直接かかわる仕組みではありません。

 ところが、前述のように新型コロナ禍で社会の状況が大きく変化するなかで、自動車メーカーとして、大きな一歩を踏み出そうという流れが生まれてきたといえるでしょう。

 キャンピングカー市場において、キャブコンではトヨタ「ハイエース」の人気が絶大で、また軽キャンではスズキ「エブリイワゴン」、ホンダ「N-VAN」、さらに最近ではダイハツ「アトレー」など4ナンバー車の架装でのメーカーオプションパーツが拡充されてきました。

 そうしたなか、日産はここで一気にメーカー主導で商用車における新しいトレンドを創出したいという思いが強くあるようです。

※ ※ ※

 ムーウのほかには、日産「キャラバン」をベースとした「マイルームコンセプト」を発表済みです。

 2022年2月に千葉県の幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2022」の日産ブースでは「市場環境を見ながら、マイルームコンセプトを日産新車ディーラーで販売する計画で準備中」(日産関係者)と話しています。

 日産は近い将来、ムーウとマイルームコンセプトの正規発売が実現しそうです。

 日産の動きを踏まえて、トヨタやホンダが今後、商用車の架装ビジネスでどんな戦略を打ってくるのかとても楽しみです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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