「セルフ式ガソリンスタンド」なぜ自分で給油可能? 給油方法だけじゃない、フルサービス式との意外な違い
ガソリンスタンドの形態は、おもにユーザー自らが給油をおこなうセルフ式と、スタッフが給油やそのほかのサービスをおこなうフルサービス式があります。セルフ式とフルサービス式はルールや規制が異なるようですが、給油方法以外にどのような違いがあるのでしょうか。
全国的に減少傾向のGSでもセルフ式が増えている
ガソリン車やディーゼル車に乗っている人が燃料を給油するのに不可欠なガソリンスタンドですが、じつは、我々があまり知らないルールや規制があるようです。
そのガソリンスタンドですが、1994年をピークに全国的に減少傾向が続いています。
これにはさまざまな理由が考えられますが、1990年代の石油製品輸入の自由化による価格競争の激化で中小の販売業者が経営するガソリンスタンドが淘汰されたことに加え、経営者の高齢化や後継者不足、就労者不足などが理由といわれています。
さらに、自動車保有台数の減少やハイブリッド車およびプラグインハイブリッド車などの普及によるガソリン需要自体の減少、そして地球温暖化対策税が設立され収益が悪化したことも原因といわれていますが、もっとも大きな影響を与えたのが2011年6月の「危険物の規制に関する規則」の改正とされています。
この改正は「ガソリンスタンドの地下貯蔵タンクの腐食防止対策義務化」などが定められ、しかも2013年1月末までに必要な対策を施さないと、消防法による認可の取り消し処分対象になるという厳しいもの。
タンクの改修には3000万円から4000万円の費用がかかることから、事業継続を断念するガソリンスタンドが続出しました。
新型コロナの影響がまだない2019年には全国に2万9637軒あったガソリンスタンドが、2020年度末には2万9005軒と632軒も減少。単純試算でも1県で13.4軒も廃業していることになります。
一方、1984年の消防法改正によって、危険物取扱の資格を持ったスタッフではなくとも給油できることになり、人件費を抑制できるセルフ式に切り替えるガソリンスタンドも増えており、生き残り競争の真っ只中となっています。
しかし給油作業に慣れない人にとっては、セルフ式より、スタッフが誘導し給油してくれるフルサービス式のほうが楽な場合が多いのは事実です。
ちなみに地域ごとの格差はあるものの、フルサービス式とセルフ式のガソリン価格差はだいたい1リットルで5円前後。40リットルの給油で差額は200円程度となり、これで窓拭きや車内のゴミの回収などもしてくれるのですから、手間を考えたらフルサービス式も決して高いというわけではないでしょう。
では、セルフ式とフルサービス式にはどんな違いがあるのでしょうか。
都内で複数店舗を展開しているガソリンスタンドのH店長に話を聞いてみました。
「フルサービス式とセルフ式の違いは、『危険物取扱者甲種』または『危険物取扱者乙類4種』の資格を所持するスタッフが給油するか、またはお客さまが自分でクルマやバイクに給油するかの違いがありますが、それ以外にも細かいルールが違います」
セルフ式はスタッフの姿が見えないことが多いですが、実際は危険物取扱者の資格を持った「危険物取扱者」が保安を監督。監視カメラを通じてモニタリングしているスタッフ(ガソリンスタンドの従業員)が、給油口にノズルが差し込まれたことを確認してから給油スイッチを操作し、その後レバーを握るとガソリンまたは軽油が給油できるようになっています。
そのため、セルフ式ではレバーを握ってすぐに給油が始まらず、ワンテンポ遅れて給油開始となることが多いのは、安全のため有人操作をおこなっているからなのです。
元々セルフで個人が携帯缶に給油はNGです。セルフでも店員に言えばやってくれるところもあります。
なお携帯缶購入者の記名は法令でも省令でも無い消防庁のお願いレベルでなんら法的効力も罰則も無い形骸化し始めてる防犯強化のポーズでしかありません。