「市民のクルマ」第二弾はナニがスゴい? 新型「シビック」電動版 HVでも「ピュアスポーツ」と思える訳
ホンダ新型「シビック」にハイブリッド車となる新型「シビック e:HEV」が追加されます。先行試乗会がおこなわれましたが、どのような味だったのでしょうか。
新型「シビック e:HEV」はガソリン車とナニが違うのか?
2022年4月12日にホンダは「四輪電動化ビジネス説明会」をおこないました。
これまでの取り組みや製品計画、進捗状況などが発表されましたが、質疑応答のときに三部敏宏社長はこのようなことを語りました。
「ハイブリッドも一生懸命やっております!!」
ホンダは2030年までに「日本の四輪車100%電動化」を宣言していますが、その内訳の多くはハイブリッド。つまり、まだまだ進化は止まらないというわけです。
1999年に登場した初代「インサイト」以降、ホンダはさまざまなハイブリッドシステムの研究・開発を進めてきましたが、最適解となったのが「e:HEV」です。
このシステムは2012年に発表されたスポーツハイブリッドシリーズの中型車用「i-MMD」の進化版ですが、組み合わせるエンジンやモーター次第でコンパクトモデルからミドルクラスまで対応できる多様性を備えています。その次世代スペックが11代目となる新型「シビック」に搭載されました。
エンジン+発電用・駆動用モーターで構成されるシリーズハイブリッドながらも、走行状況に応じてエンジンの軸と車軸を直結するクラッチによりエンジン走行モードも可能という基本的なシステムの考え方は不変ですが、構成ユニットと制御系を一新。
エンジンは完全な新開発の2リッター直噴アトキンソンサイクルエンジンで、高燃圧DI+多段噴射、高圧縮比(13・9)、高流動インマニポート+タンブル保持ピストンの採用などによる「燃焼技術の進化」がポイントです。
出力は104kW/182Nmと従来の2リッターエンジンと大きく変わりませんが、最大熱効率向上や高燃費領域拡大などにより、これまで苦手だった高回転・高出力域を含めた燃費性能を戦域でレベルアップ。また、将来の規制(Euro7)を見据えたエミッション性能も備えています
電動パワートレインも抜かりなしです。モーター(135kW/315Nm)は「アコード」用を水平展開することで高出力化(インサイト比で+39kW/+48Nm)。加えて、PCUの高出力化&軽量化、IPU(バッテリー)の使用容量拡大&小型化など、全面的に見直しをおこなっています。
試乗場所は東京オリンピックの競技場としても使われた伊豆サイクルスポーツセンターの5kmコースの逆走です。
アップダウンが厳しいコースレイアウトはハイブリッドには厳しい条件ですが、あえてここを選ぶのは自信の表れなのでしょう。
まずはドライブモード「ノーマル」で走行します。ちなみにe:HEVのドライブモードはモード毎にパワートレイン制御/ステアリング制御/メーター表示が変更されますが、新たに個々に設定可能な「インディビジュアル」がホンダ初設定されています。
走り始めると「フィット」や「ヴェゼル」と異なり“電動車感”は強めで、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンはなかなか始動しません。
この辺りは高出力モーターの余裕とバッテリー制御の進化が効いているようです。もちろんバッテリーが減るとエンジンは始動しますが、よほど注意していないとON/OFFは気が付かないレベル。
エンジン吸遮音構造採用による遮音性の高さや濁音が少なめのエンジンサウンドなども相まって、アコードより静粛性は高いと感じました。
ただ、ここまではある意味“想定内”の進化です。このユニットの本当の旨味はドライブモード「スポーツ」にあります。語弊を恐れずにいえば、まるでピュアな「スポーツエンジン」のような印象でした。
具体的には高車速クルーズ時以外は機械的には繋がっていないエンジンと駆動系ですが、まるで繋がっているかのような“直結感”と回すほど力が湧き出るようなエンジンの“伸び感”が感じられます。
フィーリングも電動車であることを忘れるレベルで、アクセル操作とエンジンの反応が見事にリンクしています。
この辺りはダイレクトアクセルとリニアシフトコントロールなどの制御技術の進化が効いているのでしょう。
エンジンサウンドも高効率エンジンながらも雑味のない心地よい澄んだサウンドで個人的にはアコード・ユーロR(CL7)に搭載されていたバランサーシャフト付のK20Aを思い出しました。
この辺りはクランクシャフトの高剛性化&2次バランサーによる振動抑制に加えて、ASC(アクティブ・サウンド・コントロール)によるものでしょう。
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