実用性よりスタイル重視の商用車!? 今なら実現できない斬新なコマーシャルバンが魅力的!
今見ても斬新すぎる個性派コマーシャルバンとは?
では、かつて存在した個性派コマーシャルバンにはどのようなモデルがあったのでしょうか。
バブル期前後に登場した可愛いコマーシャルバンを3台紹介します。
●日産「エスカルゴ」
1989年に日産のパイクカーシリーズ唯一の商用車として登場したのが、ユニークな形状の「エスカルゴ」です。
全長3480mm×全幅1595mm×全高1835mmというノッポなボディは、当時の「パルサーバン」のプラットフォームがベースで、73馬力の1.5リッターエンジンを搭載。スパッと断ち落したような大型リアゲートを持つ3ドアバンです。
ネーミングから連想されるように「カタツムリ」を再現すべく、フロントにはグリルがなく(実際はバンパー部にパンチングで穴が開けられていた)、目玉っぽい丸目2灯を配置。ちなみにボンネットは特殊な形状でプレス加工できず職人による手作りだったとの話もあります。
ボディ形状はノーマルルーフ、リアクォーターウインドウの有無、キャンバストップと4タイプが用意され、側面の大型パネルには会社やショップのロゴなどが描かれることで高い広告効果があると期待されていました。
ただし全幅が狭い割に全高が1.8m超のため高速では横風に弱く、また荷室もホイールハウスの出っ張りが大きく、商用車としての実力はあまり期待できませんでした。
それでも販売されたのは、現在以上に「やっちゃえ!日産」状態だったことも大きいでしょう。
●ダイハツ「ミゼットIIカーゴ」
ダイハツの歴史を語る上で外せない名車「ミゼット」は、1950年代から1970年代までの高度経済成長期に大活躍した軽オート三輪で、小口配達向けとして小回りが効くコンパクトさが特徴でした。
そんな名車を1990年代の技術で蘇らせたのが「ミゼットII」です。
当時の軽自動車規格を下回る全長2790mm×全幅1295mm×全高1650mmの超コンパクトな軽トラスタイルで1996年に登場。当時のキャッチコピー「ミゼットを飼おう」からもわかるように、実際の配達用以上に乗用としての購入が想定されていました。
コスト削減のため、当時の「ハイゼット」(軽トラ)からパーツを流用。専用施設「ミゼット工房」で手作業による組み立てがおこなわれた少量生産モデルでした。
さすがに1名乗車では実用性も低すぎたのか、翌1997年には全長と全幅を40mm、全高も55mm拡大したシェルボディを被せたバンタイプ「ミゼットIIカーゴ」が追加されました。
これに合わせてコラム式3速AT、2名乗車に変更されています(ちなみにバンタイプの「カーゴ」と区別するため、トラックの荷台を持つモデルは「ピック」とネーミングが変更)。
このミゼットIIカーゴ最大の魅力は、いうまでもなくスタイリングとサイズです。エンジンは33馬力の直列3気筒エンジンと非力なものですが、車重もわずか700kg(カーゴカスタム)。
耐候性や居住空間は少しマシになりましたが、そもそもが「どんなに狭い道でも配達できる」というコンパクトなサイズのため、快適性はあまり重視していません。
非力ゆえに速く走ることはできませんが、それを超えた「一緒にお出かけする」楽しさにあふれたコマーシャルバンです。
●三菱「ミニカトッポ タウンビー」
「軽自動車の規格内で居住空間を広げるには?」という長年の問題に対して、最初に答えを出したモデルがありました。それが1990年に誕生した三菱「ミニカトッポ」です。
キャビンの上部を延長させることで広々とした車内空間を確保しようとした三菱の意欲作でした。
とくにミニカトッポは、商用で背の高い荷物を運搬することを見込んだ作りになっており、ベースとなった「ミニカ」の着座位置はそのままに、上部だけ大幅に伸ばしたモデルを実現しました。
そんなミニカトッポは、1993年にはミニカのフルモデルチェンジに伴い2代目へと進化。ホイールベースも延長されるなど、より実用性と快適性を高めていきます。
さらに1997年には、丸目2灯のヘッドライトとメッキグリル、ホワイトホイールなどを採用したクラシックテイストを感じさせる外装パーツを採用した「ミニカトッポ・タウンビー」が登場しました。
全長3295mm×全幅1395mm×全高1725mmというサイズはそのままに、より愛くるしいデザインを採用。フロアも低く、1700mm超の全高は荷物の積載には好都合で、十分な実用性を持った可愛らしいコマーシャルバンでした。
4WDも採用されていましたが、1998年のフルモデルチェンジでは残念ながら「トッポ」自体が消滅し、後継車の「トッポBJ」シリーズに移行しました。
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過去のモデルには「よく商品化できたな」という奇抜なモデルがありますが、この個性派コマーシャルバンたちもまさにそんなモデルです。
現在だったら間違いなく存在しなかったジャンルだったかもしれません。
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