実用性よりスタイル重視の商用車!? 今なら実現できない斬新なコマーシャルバンが魅力的!
乗用車タイプの商用車である「コマーシャルバン」。荷物の運搬など仕事の道具的なイメージが強いジャンルですが、かつては商用とは思えないほど見た目が個性的なモデルが存在していました。
かつての日本には遊び心あふれる商用車があった!
「コマーシャルバン」とは、乗用車タイプの商用車のことです。
ステーションワゴンなどと構造はほぼ同じですが、乗用車タイプのワゴンは居住性や快適性を優先させるのに対し、バンは荷物を運搬することを重視した作りとなっていました。
荷物の運搬が使用目的のため乗車車としてのスペースよりも貨物用の面積を広く確保しなければならず、さらに乗車部分と貨物部分の間に仕切りや壁があることなどが条件となっています。
そんな仕事の道具であるコマーシャルバンですが、かつては商用とは思えない、個性的で可愛い見た目のモデルが存在していました。
そこで今回は、かつてあった個性派コマーシャルバンの魅力を探ってみました。
コマーシャルバンの主力は小型貨物車で、車両のサイズなどの規定があり、全長4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下、さらにエンジンの排気量は2000cc以下(ディーゼルは制限なし)となっています。
さらに乗車面積より貨物面積が広いこと、貨物スペースの床面積が1平方メートル以上あること、荷物の積卸口が縦横80cm以上(トラックを除く)、貨物スペースと乗員用座席の間に壁や保護仕切りがあることのほか、普通車ベースのコマーシャルバン場合は最大積載量500kg(座席で守られている必要あり)といった規定が設けられています。
これらの条件を満たせば、普通車・軽自動車に関係なく4ナンバーとして登録可能です。
現在のコマーシャルバンは、専用設計のトヨタ「プロボックス」と日産「AD」のようなステーションワゴンタイプのモデルが市場の90%以上を占めています。
そして、最盛期には27万台を超える市場規模でしたが、普通車ベースのコマーシャルバンは社用車需要が減少して販売数も減少傾向。
一方で軽自動車ベースの貨物車は2017年の統計で25万5000台以上も新車登録されており、宅配への需要などの高まりでまだまだ高いニーズがありそうです。
そんな貨物スペース優先の仕事の道具であるコマーシャルバンですが、過去には奇抜なデザインを採用した車種がありました。
個性派コマーシャルバンの誕生には、1987年から1991年に日産が発表した「パイクカー」シリーズの大ヒットが大きな影響を与えたといわれています。
パイクカーの第1弾として1987年に発表された「Be-1」は当時の「マーチ」をベースにレトロチックな先鋭的デザインで内外装を仕立てたモデルで、1万台限定の予定に購入希望者が殺到。抽選での販売になるほどの大ヒットを記録しています。
さらに1989年には第2弾「パオ」、1991年には第3弾の「フィガロ」が誕生。
またパイクカーシリーズではありませんが、レトロっぽさをも感じさせる個性的なスタイリングの「ラシーン」も1994年に誕生するなど、いわゆる変わり種のモデルが普通に受け入れられる風潮や土壌がありました。
最近では「軽トラ」をベースにカスタムするのがトレンドになっていますが、それをけん引しているのはバブル期を経験した熟年層が中心。
この世代の人たちは「クルマって楽しい」というマインドを現在でも持ち続けており、運搬用の軽トラをカスタムして楽しむという文化が生まれたのです。
見た目重視の可愛いコマーシャルバンたちも、よくよく考えれば登場や開発期間がバブル期に絡んだモノばかり。それが何周も回って現在は魅力的に見えるのですから、面白いものです。
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