オープンカーのソフトトップは劣化しやすい!? 洗車機で洗っちゃダメ? 幌の正しいお手入れ方法とは
ソフトトップにメリットはあまりない!?
やはり通常のルーフよりは扱いが難しそうなソフトトップですが、メリットはあるのでしょうか。前出のS店長に聞いてみました。
「メリットはあまりないといえますが、しいて挙げるとすれば、メタルトップより重量が軽いことです。また最近の電動格納式は開閉時間が速くなりましたが、手動のソフトトップは(一部車種を除き)かんたんに開閉できます。
またメリットとしては、複雑な機構ではないため修理も比較的に安価で済むことでしょうか。
さらにカラーバリエーションも豊富なので、オリジナルの2トーン配色にもすることができます」
一方でデメリットは多そうです。たとえば経年劣化による雨漏りや色褪せ、後方視界の悪さなどが挙げられます。
リアスクリーン(通常のクルマのリアウインドウ部分)は近年でこそガラス製が増えましたが、ビニール製のものは劣化が進んで細かい傷などで白ボケしやすく、またビニールの性質で経年による硬化も進行してしまいます。
「ソフトトップの耐久性や耐候性は以前より格段に向上していますが、通常のメタルルーフには勝てない部分は多いです。
とくに耐候性は及ばない部分で、少し古いオープンカーは、夏の炎天下の直射日光からジワジワと熱が伝わってくるので、ルーフを開けて走ったほうが涼しいなんてこともあります」(中古車販売店 S店長)
そして最大のデメリットは、やはり「防犯性」の脆弱さでしょう。ソフトトップの生地はカッターでもあっさり切れてしまい、そのため車上荒らしに遭う確率も通常のメタルルーフ車よりも高くなるのは仕方ないといえます。
「ひと昔前は、ビニールのリアスクリーンを切られるケースが多かったです。キャンバス生地よりかんたんに切れますし。
劣化よりも車上荒らしが原因で、ソフトトップを張り替えられるお客さまが多かったと思います」(中古車販売店 S店長)
それでは複数のオープンカーを乗り継いだF氏(50代・男性)に、ソフトトップの普段の取り扱いなどに聞いてみました。
「確かに多少は丁寧に扱う必要はありますが、神経質にならなくても大丈夫です。ただし普段停めておく場所だけ、できれば直射日光が当たらない駐車場が良いと思います」
お手入れは、ソフトトップ特有のものが必要なのでしょうか。
「ソフトトップ専用の洗剤や保護剤などもありますが、通常のカーシャンプーでもまったく問題ないと思います。ただし洗車機だけは絶対に使いません。
トップの生地というよりも、窓やピラーの接合部分から車内に水が入ってしまうことが多いんです。それより自分で水圧を加減しつつ作業できる手洗いのほうが良いでしょう」(オープンカーオーナー F氏)
あとは柔らかめのウエスやブラシで少し丁寧に扱う程度で、通常通りの洗車をおこなうので問題ないのだとか。
「カーシャンプーを洗い流すときは、水圧を強くせずに何度か洗い流すようにすれば良いと思います。
それと、拭き上げずに放置するのはシミの原因になりますので、できるだけ早く水気を取ります。慣れれば、全然面倒ではないですよ」(オープンカーオーナー F氏)
それほど扱いは難しくようですが、少しだけ注意が必要なこともあると前出のS店長はいいます。
「花粉は洗い流せるのですが、樹液によるシミなどはなかなか取れません。通常のメタルルーフでも樹液は厄介なものですが、ソフトトップに染み込んでしまったときは、アルコール類や塩素系漂白剤などを使用してしまうと逆に傷めてしまうので、中性洗剤などで優しく洗うと良いでしょう」
また、キレイに洗車して十分に乾燥させたあとは、ボディカバーなどをルーフ部分にかけることで直射日光やホコリなどから守ってくれる効果が期待できるといいます。
「オープンカーは1人のオーナーが所有される期間が短い傾向があります。そのため、歴代のオーナーからどのように扱われてきたかでかなり状態に差が出てしまいます。
新車の場合は問題ありませんが、中古のオープンカーを購入する前に必ずソフトトップの開閉の動作確認や接合部分のヤレ具合などのチェックを忘れずにしていただければ、購入後のトラブルも少なくて済むと思います」(中古車販売店 S店長)
※ ※ ※
メタルルーフ車と違い、ソフトトップの取り扱いは少々気を遣うところもあるようですが、それを超えた魅力がオープンカーにはあります。
国産オープンカーであれば故障もほとんど心配ないので、一度は憧れのオープンカーを手に入れてみてはいかがでしょうか。
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