オープンカーのソフトトップは劣化しやすい!? 洗車機で洗っちゃダメ? 幌の正しいお手入れ方法とは

オープンカーのルーフは、メタルトップとソフトトップが存在します。なかでもソフトトップはボディパーツとは材質が異なるため、お手入れ方法も違います。どのように扱えば良いのでしょうか。

ソフトトップは駐車環境で長持ちするかどうかが大きく変わる?

 多くの人が憧れるオープンカー。最近は格納式のメタルトップが増えて、ソフトトップ(幌)のルーフが減りつつありますが、それでもオープンカーにソフトトップを装備することにこだわるメーカーもあります。

 そんなオープンカーのソフトトップは、当然ながらボディやほかのパーツとは違う素材でできているので、お手入れ方法にも気を遣う必要がありそうです。

 そこで今回は、実際にオープンカーに乗っているオーナーにインタビュー。ソフトトップのメリット・デメリットを教えてもらいつつ、神奈川県の中古車販売店のS店長にソフトトップの取り扱いについて聞いてみました。

ソフトトップを装備するマツダ「ロードスター」
ソフトトップを装備するマツダ「ロードスター」

 ソフトトップに関してもっとも気になるのはその耐久性でしょう。硬いスチールでできたボディと違い、手動か電動の骨組みに「ビニールレザー」や「キャンバス」と呼ばれる生地を使用したソフトトップは、どう考えても耐久性では通常のボディには勝てません。

 ソフトトップに使用される生地は、どんなものがあるのでしょか。

 まず、ビニールレザーには4種類の生地があります。ひとつ目は「HVデニム」と呼ばれるキャンバス生地のような処理が施されたもの。ホンダ「S2000」や日産「フェアレディZロードスター」など、少し前のオープンカーに多く使用されていました。

 ふたつ目は「カブリオビニール」と呼ばれる生地。マツダ「ロードスター」でも使用されているポピュラーな生地で、表面はレザーのようにざらざらな加工が施されています。発色が美しく、さまざまなカラーが用意されているのも特徴です。

 みっつ目は「ピンポイントビニール」。古くは1960年代以降のVW「ビートル」やフォード「マスタング」、プジョー「205カブリオレ」などにも使われていた伝統的な生地で、表面に細かいドット加工がしてある生地になっています。

 そして「セイルクロス」はピンポイントビニールの進化系で、同じようにドット加工されていますが、比較的最近のモデルになってから採用されている生地です。

 一方でキャンバス生地は3種類ほどあり、ひとつ目は古くから使用されている「STF」と呼ばれるキャンバス生地です。

 往年のシボレー「コルベット」や「カマロ」、プジョーやアルファロメオでも採用されていたといわれています。表地・裏地・中間層の3層構造になっており、中間層には防水加工が施されている頑丈なソフトトップです。

 同じ3層構造ながら欧州車を中心に採用されていたのが「SDK」と呼ばれるキャンバス生地です。STFと比べて繊維の密度が高く、厚みもあるのが特徴です。

 もうひとつが「ジャーマン」と呼ばれる布生地です。ポルシェのカブリオレやメルセデス・ベンツ、BMWなどハイクラスの欧州系オープンカーに採用されるもっとも高級な生地になります。

 このようにソフトトップとはいってもさまざまな生地が使われていますが、クルマを取り巻く環境によって(スチール系ボディ以上に)コンディションの差が出やすいようです。どれくらいの耐久性があるのか、神奈川県の中古車販売店のS店長に聞いてみました。

「一応、メーカーなどの説明では、耐用年数は5年から10年といわれていますが、保管状況などによっては5年持たないものも多いです。

 というのも、生地自体は強く擦ったり、鋭利なもので切られる以外では5年経過しても破れることはあまりありません。

 しかし、直射日光などを長期間浴び続けていると、表面の色褪せが進行してしまうことがあります」

 雨風や、日光に含まれる紫外線は、そもそもクルマのボディを傷める原因となりますが、ソフトトップの場合は色褪せなど劣化がさらに顕著に出やすい傾向があります。

「ソフトトップと固定するピラーの緩衝材となっているウェザーストリップなどのゴム製部品が5年も持たないケースが多く、そこから雨漏りしてしまうケースが多いです」(中古車販売店 S店長)

 実際に複数のオーナーに聞いたところでは、5年以上経過したモデルでもソフトトップは問題なかったという人が多かったのですが、その理由はほとんどが屋根付き駐車場で保管されていたことにありました。

 やはり雨風や紫外線からクルマを守っていたことが、長持ちにつながっているようです。

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