高性能なだけでなく見た目もアグレッシブ! 超絶魅力的な往年のコンプリートカー3選

クルマ好きなら誰もが憧れるスポーツカーですが、さらにメーカーの手によってチューニングされたハイスペックなコンプリートカーも存在。そこで、高性能かつアグレッシブにモディファイされた往年のコンプリートカーを、3車種ピックアップして紹介します。

超絶魅力的なコンプリートカーを振り返る

 かつて、クルマをチューニングする行為は、アウトローなイメージがありました。しかし、今では合法的なチューニングカーが数多く存在し、市民権を得ています。

アグレッシブにモディファイされたボディに高性能エンジンを搭載したコンプリートカーたち
アグレッシブにモディファイされたボディに高性能エンジンを搭載したコンプリートカーたち

 クルマの諸性能を向上させるチューンナップや見た目を自分好みに仕立てるドレスアップは、当初、チューニングショップや、一部のプライベーターがDIYでおこなっていました。

 しかし、近年では自動車メーカーや関連会社がチューニングするケースも珍しくなく、完成車として販売されるコンプリートカーは高品質なことから人気を集めています。

 そこで、特別に仕立てられた高性能かつアグレッシブなスタイリングのコンプリートカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「86 GRMN」

究極の「86」を目指して開発されたストイックなマシンの「86 GRMN」

 トヨタのコンプリートカーというと、TOYOTA GAZOO Racingが監修・開発した「GR」シリーズが数多くラインナップされていますが、なかでもハードにチューニングされたモデルが「GRMN」シリーズです。

 そのなかの1台で、2016年に発表されたコンプリートカー「86 GRMN」は、妥協るすことなく仕立てられたピュアスポーツカーでした。

 86 GRMNは、ニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦を通じて得られた知見を生かして開発され、エンジンでは吸排気系の変更に加え、エンジン内部パーツの低フリクション化により、アクセルに対する応答性を向上。

 最高出力はベースの200馬力から219馬力へと向上し、エンジン型式も専用に「FA20-GR」と名付けられていました。

 ボディはカーボン素材のボンネットとトランクリッド、ルーフパネルに加え、ポリカーボネイト製のリアウインドウとクォーターウインドウの採用などによって徹底的な軽量化と低重心化が図られ、カーボン製リアウイング、フロントスポイラー、バンパーサイドフィンなどの各エアロパーツが追加されながらも1230kgの車重がキープされました。

 また、補強材の追加によるボディ剛性のアップとともに、専用セッティングされたサスペンション、前後異径タイヤの採用とブレーキの強化など、「走る」「曲がる」「止まる」の基本性能向上を追求。

 内装では2シーターとなっており、専用のレカロ製スポーツシート、小径ハンドルの採用など、まさにサーキットでのパフォーマンスを重視したストイックなモデルでした。

 86 GRMNは100台限定で発売され、価格は648万円(消費税8%込)と高額ながら即完売しました。

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●スバル「S209」

残念ながら日本未発売だったSTI謹製のスーパースポーツセダン「S209」

 スバル車をベースにしたコンプリートカーを数多く手掛けてきたのが、スバルテクニカインターナショナル(以下、STI)です。

 1998年には、STI初のコンプリートカーであり、今では伝説的なモデルとなった「インプレッサ 22B STiバージョン」が発売され、これまで数々の名車が誕生しました。

 そのなかでもかなりアグレッシブなモデルだったのが、2019年に209台が限定販売された「S209」です。

 S209は北米市場専用のモデルで、WRX STIをベースに外観ではカナード一体型フロントオーバーフェンダーとリアオーバーフェンダーが装着され、ボディサイズは全長4620mm×全幅1839mm×全高1475mmとベース車に対して全幅が44mmワイド化され、ローダウンした全高と相まって迫力あるフォルムを実現。

 また、専用の前後アンダースポイラーとドライカーボン製の大型リアウイングが追加され、ハイスピードレンジにおける空力性能を向上させていました。

 ほかにもカーボン製ルーフによる軽量化と低重心化、サスペンションにはビルシュタイン製ダンパーに強化されたコイルスプリングとブッシュを採用するなど、コーナリング性能が大幅に向上していました。

 エンジンは北米仕様のWRX STIに搭載されていた2.5リッター水平対向4気筒ターボ「EJ25型」をベースに、大径ターボチャージャーと専用設計の低背圧マフラーの装着や、専用ECUによるチューンナップの結果、最高出力345馬力を発揮。組み合わされるトランスミッションは6速MTのみでした。

 S209が発売されると争奪戦が繰り広げられ、即完売し、残念ながら日本では販売されませんでした。

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●日産「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」

まさに公道を走れるレーシングカーだった「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」

 2022年1月に国内仕様が発表された日産7代目「フェアレディZ」は、本年6月にはデリバリーが開始される予定で、すでに歴代のモデルと同じくモータースポーツのステージに起用されることが決まっています。

 初代からモータースポーツに直結してきたフェアレディZですが、2007年にNISMOの手によって開発されたコンプリートカーの「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」(以下、380RS)は、まさに公道を走るレーシングカーをコンセプトとしていました。

 380RSは5代目(Z33型)のスーパー耐久参戦用ホモロゲーションモデル「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS-Competition」をベースに、公道仕様にモディファイされた限定車です。

 外観は前後のバンパーとスポイラー、サイドシルプロテクター、フェンダーモール、大口径スポーツマフラー、エンブレムなどが専用装備となっていましたが、同じくNISMOが開発した「Version NISMO」と一見すると変わらない仕様でした。

 一方、エンジンは380RS専用に仕立てられ、スタンダードモデルの3.5リッターV型6気筒「VQ35HR型」をベースに排気量を3.8リッターにアップし、高強度の鍛造ピストン、強化素材のコンロッドとクランクシャフト、専用プロフィールのカムシャフトなどが組み込まれ、最高出力は350馬力を発揮。

 同時にシャシ剛性のアップと、スプリングやダンパー、スタビライザーが強化されたサスペンション、ブレーキは4輪ともブレンボ製アルミキャリパーが装着され、運動性能も大幅に向上していました。

 380RSは300台限定で販売され、当時の価格は539万7000円(消費税5%込)とかなり高額でしたが、チューニングのメニューからすると妥当なプライスだったといえます。

 ちなみに300台限定となったのは、エンジンの生産台数が300基と決まっていたからです。

※ ※ ※

 2021年8月に新型「GR 86」が発売され、2022年には前出の新型フェアレディZに加えてホンダ新型「シビック タイプR」の正式発表も控えています。

 近年のSUV人気の高まりや、電動化が加速しているなか、ピュアスポーツカーの火はまだまだ消えていません。

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