「どうなのトヨタEV?」 新型「bZ4X」は違和感ナシ? EV初心者に「いいクルマ」を! プロトに見る実力は?

トヨタ「bZ4X」のFFはどんな印象?

 続いて、FFモデル(モーター出力150kW)に試乗します。AWDとはタイヤサイズが異なり235/60R18を装着しています。

 パワートレインはAWDとほぼ同じ印象ですが、このパフォーマンスをフロントタイヤで受け止めるのはちょっと厳しそうで、電費を考慮した低転がり性能を重視したタイヤも相まってラフのアクセルワークをするとトラクションコントロールのお世話になる事も。

 フットワークは基本素性の良さを実感できるもののAWDと比べてしまうと姿勢変化も大きく想定内といった印象で「よくできたFF」に留まっています。

ライバルが多くなっているなかで、トヨタ新型「bZ4X」はどのような形で市場に投入されるのか?
ライバルが多くなっているなかで、トヨタ新型「bZ4X」はどのような形で市場に投入されるのか?

 乗り心地も18インチを履いている割には縦バネが強い印象で、むしろ20インチを履くAWDのほうが良いと思いました。

 例えるなら「進化したレクサスUX300e」といった印象で、価格や航続距離を重視する人ならば選ぶ価値はありますが、それならほかの選択肢もあるわけで、個人的にはちょっと無理してもAWDを選んだほうが満足度は高いと感じました。

※ ※ ※

 bZ4Xに乗って思ったのは、「BEVである事」よりも「いいクルマ」という記憶が強く残ったことです。

 恐らく、多くの人が想像する「BEVらしさ」は少ないですが、逆の見方をすると「内燃機関から乗り換えても違和感がないBEV」といえるでしょう。

 もちろん、航続距離や充電の問題など内燃機関と全く同じとはいえませんが、多くの人が「BEVを選ぶ」という第一歩を踏み出せそうな一台だと思っています。

 正式発売まで価格はお預けですが、トヨタの「BEV普及のためにはコストを低減し、リーズナブルな車両価格でお届けしたい」という言葉を信じたいと思っています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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