車のメンテナンスは自分でどこまでやって良い? プロしかできないことはある? DIY可能な整備とは
クルマのメンテナンスは出費を抑えるという意味でもできる限り自分で出来ると良いでしょう。DIYでどこまでやって良いのか、またはプロに任せるべき作業なのか、整備士に聞いてみました。
「重要保安部品」はプロに任せたほうが良い!?
クルマを所有するうえで、定期的なメンテナンスが欠かせません。しかし出費を抑える意味でも、メンテナンスはできる限り自分でできると良いでしょう。
しかし近年のクルマはハイブリッドシステムや、さまざまな電子デバイスを搭載するなど構造的にも複雑化しており、DIYでどこまでメンテナンスして良いのか判断に迷うことがあります。
自分でできるメンテナンスと、プロに任せたほうが良いメンテナンスの境界線はどこにあるのでしょうか。
まずは法律的な側面からいうと、個人でしてはいけないメンテナンスはありません。
自動車の保安基準を定めた「道路運送車両法」の第47条「使用者の点検及び整備の義務」という項目に、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と明記されています。
つまり、「保安基準に適合するように、自分でメンテナンスする」ということになり、自分でメンテナンスしてはいけない箇所などは記載されていません。
あくまで自己責任の範疇で自由にメンテナンスしても問題はないのですが、その一方、それで安全に走れるのか、また保安基準に適合しているのかは別問題。
メンテナンスには専門知識や技術が必要な箇所も多く、専門的なスキルを身につけた「整備士」という国家資格が存在するのも、クルマを正しくメンテナンスする必要があるからです。
神奈川県の整備工場に勤務する整備士のE氏に聞いてみました。
「保安部品のなかでも、とくに『重要保安部品』と呼ばれる、クルマの基本性能である『走る・曲がる・止まる』に関連する重要な部分は、プロにお任せしていただきたいです。
『止まる』に関連するブレーキ関係は、ヘタに手を出すと事故の危険すらあります。また『曲がる』に関連する操舵系パーツもプロに任せたほうが安全だと思います」
E整備士が危惧する最近の傾向として、動画サイトを見て自分(DIY)で全部できると思い込んでいる人がいることだといいます。
確かに、少し検索するだけでさまざまなメンテナンス動画が視聴できますが、実際は専用工具の準備や、知識や経験も必要ですが、そういったものは映像化されていないことが多く、動画を鵜呑みにして自分でやってみても結局は上手くいかず、状態を悪化させて整備工場に持ち込まれることも多いのだそうです。
もうひとつ、注意が必要な点があります。それはプロであるはずのショップや販売店のなかには、きちんとメンテナンスしないで営業や販売を続けているお店もあるということです。
「先日持ち込まれた中古車は、足回りから異音がするとのことで、チェックしてみたら何本かのナットが引きちぎれていました。さらにボルト径が違うものを無理やり使っていたみたいで……。販売店からは問題ないといわれたらしいのですが、問題だらけです」
とくに最近は中古車販売が活況で、現車確認をしないまま購入するケースなども多く、今回のケースのように粗悪な修復の車両が紛れている可能性も否定できません。
こういった事態を避けるためにも、ショップや販売店に資格を持った整備士がいるか、または購入後にメンテナンスを任せられる整備工場などを押さえておくと、安心してクルマに乗ることができます。
※ ※ ※
整備工場には各地方運輸局長の認証を受けた「認証工場」と未認証があります。
「分解整備」と呼ばれる重要保安部品のメンテナンスは、認証を受けた工場でのみ正しい整備と認められています。
また整備士の国家資格には「一級」「二級」「三級」がありますが、実質的な整備作業は「二級」以上の有資格者であれば問題ありません。
ちなみに「一級」は、「二級」で3年以上の実務経験+指導力や安全管理体制の構築などマネジメント能力も認められた資格となっています。
それでは、自分でできるメンテナンスにはどのようなものがあるのでしょうか。前出のE整備士に聞いてみました。
●タイヤ(ホイール)交換
タイヤ交換は自分でできるメンテナンスです。もちろん、古いタイヤをホイールから外して新品を取り付けるのは専用工具や装置が必要になりますが、たとえば冬に備えてスタッドレスタイヤへの交換作業など一度はトライしてみてほしいです。
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