「脱オラ顔」ではなく併存!? ホンダ新型「ステップワゴン」はなぜ非エアロ仕様を強化? トヨタ新型「ノアヴォク」注目仕様は?
ミニバン市場において、近年人気が高く定番となっているのはいわゆる「オラオラ顔」のエアロ仕様ですが、先行受注がスタートしたホンダ新型「ステップワゴン」や、発売から間もないトヨタ新型「ノア/ヴォクシー」では、エアロ仕様以外も設定。新型ステップワゴンでは新仕様「エアー」と新たに名付けられるなど、力の入ったラインナップになっています。「非オラオラ顔」の存続にはどのような利点があるのでしょうか。
「穏やかな見た目のミニバン」に注目集まる?
ホンダは2022年2月4日、新型「ステップワゴン」の春の発売に先駆けて先行予約受注を開始しました。一方、競合車となるトヨタ新型「ノア/ヴォクシー」(新型ノアヴォク)はひと足早く2022年1月13日に発売されており、今後のミニバン市場はさらなる盛り上がりを見せると予想されている状況です。
その一方、トヨタは2020年5月より全車種全店併売化を実施し、あわせて姉妹車の統廃合も含めた車種整理も順次実施。姉妹車同士のノア/ヴォクシーも統合される可能性がありましたが、結果的にはどちらも存続となっています。
そしてステップワゴンもモデル内に個性の異なる2タイプを設定している状況です。同じボディでありながらさまざまな個性を展開することには、どのような利点があるのでしょうか。
ノア/ヴォクシーは従来、両モデルにエアロ仕様と標準仕様を設定。また、3代目ノア/ヴォクシーには3モデル目の姉妹車として、内外装の高級感が演出された「エスクァイア」が存在しました。
しかしエスクァイアは2021年12月に生産終了となったほか、3代目ヴォクシーもモデルライフ途中でグレード整理を受け、標準仕様を廃止。
結果、ノア/ヴォクシーは3代目のモデル末期時点で残っていたフロントフェイス3種類が、全面刷新後もそのまま継続されたかたちとなりました。
ちなみに、ふたつの顔が設定される新型ノアですが、エアロ仕様は大型メッキグリルを装備したアグレッシブなフロントフェイスが特徴。一方、標準仕様は優しい雰囲気のボディ同色グリルが採用されています。
2022年現在、トヨタのどの販売店でもノアとヴォクシーを購入できる状況ですが、検討しているユーザーからはどのような意見があるのでしょうか。
首都圏のトヨタ販売店のスタッフに聞いたところ、次のように説明します。
「当店で検討されているお客さまに話を伺うと、ヴォクシーよりもノアの顔つきが好き、という声が多い印象です。
ヴォクシーは、よりカスタマイズ感の強い外観になっていますので、それよりも『穏やかな見た目のノア(とくに標準仕様)が好き』と仰るお客さまの声は聞いたことがあります」
※ ※ ※
穏やかなフロントフェイスのノアに注目しているというユーザーの声が一部である一方、ミニバンや軽自動車などではもはや“定番”とさえいえるエアロ仕様をノア/ヴォクシーで継続したことで、幅広いユーザーに訴求できると考えられます。
トヨタが発表する新型ノア/ヴォクシーの月販基準台数を見ると、新型ノアの8100台に対し、新型ヴォクシーは5400台という設定です。
新型ヴォクシーがエアロ仕様100%であることを考慮すると、両車を合算したとき、大人しい顔つきの新型ノア・標準仕様よりも、エアロ仕様の新型ノア/ヴォクシーの方が台数が多くなる可能性は十分考えられます。
全車種全店併売化しても3つのフロントフェイスを継続設定したことで、さまざまな好みを持つ各ユーザーの取りこぼしを防ぐことができたといえるでしょう。
大体、オラオラって選択肢があるのが...(笑)
それが3割って....
それだけオラオラしたいって事?
子供のせて.....
オラオラ顔、つまりカスタムモデルには未だ根強い人気があるとは言え、今が過渡期であり今後は流行りが動いていくものと考えます。
トヨタの新型ノアヴォクのラインナップは、そこをうまく押さえているように感じました。中でもノアのエアロ仕様は、最近の流行を押さえた王道デザインであり、ヴォクシーは更にアグレッシブで個性的なデザインとなっていますが、今回のヴォクシーはその奇抜なデザインとエアロ仕様のみのグレード展開を鑑みるに、次期型ノアに統合させる意図があるように感じます。ノアの標準仕様がボディ同色とは言え、大開口グリルを採用しているところに、ナチュラルなデザインに振り切れないところに昨今の流行りと、ヴォクシーのノアへの統合と言う将来性を考慮したカタチが表されているように思えるのです。
ステップワゴンは標準仕様に代わって新たにエアーを設定していますが、これはこれでユーザー訴求の方向性としては間違ってはいないと感じます。
但し、ユーティリティの面で電動テールゲートなどスパーダにしかない装備があったりと、まだ標準仕様の延長線上から脱していない印象を受けるのと、折角シンプルなデザインのエアーがあるのに、スパーダはアグレッシブさと言った昨今の流行には、先代スパーダと比べても今一歩届かないデザインに落ち着いてしまい、エアーとの差別化が中途半端な印象を受けます。