日本車はドイツ車に追いついた!? VW新型「ゴルフ」とそのライバルを比べてみた

VW新型ゴルフの対抗馬となる日本車とは?

 そんなゴルフに立ち向かうわが日本の精鋭が、マツダ「マツダ3」、トヨタ「カローラスポーツ」、そしてスバル「インプレッサスポーツ」の3台です。

●トヨタ「カローラスポーツ」

 VWという巨大な企業にビジネス面でライバルとなるのがトヨタです。そのトヨタのCセグメントFFハッチバックといえばカローラスポーツです。

トヨタ「カローラスポーツ」
トヨタ「カローラスポーツ」

 こちらの最新モデルのデビューは2018年6月。実のところ、このモデルにはトヨタの大きな願いが込められていました。それがカローラシリーズのリフレッシュです。

 最近では「カローラクロス」が投入されるなど、カローラの人気が復活していますが、2010年代前半は違いました。ユーザーの高齢化が著しく、このままでは消えてなくなりそうな気配さえ漂っていたのです。

 そこでトヨタは、従来は「オーリス」と名乗っていたCセグメントハッチバックを、カローラの兄弟とします。それがカローラスポーツでした。

 名前に“スポーツ”とあるように、カローラスポーツには華やかでスポーティなインテリアやMT仕様が用意され、走行面でもキビキビとした走りが楽しめるように作られていたのです。ハンドルを握るだけで、ワクワクと楽しくなるようなスポーティさは、ゴルフよりも上といっていいでしょう。

●マツダ「マツダ3」

 現行のマツダ3は2019年5月に発売を開始。シャシを刷新して、新開発した新型スカイアクティブXエンジンや「引き算の美学」に基づく斬新なデザインを内外装に採用しました。

 そのデザインは世界的にも高い評価を受けており、2020年には「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を獲得しています。

 走りの面では、マツダの得意とする「人馬一体の走り」を追求。しなやかで、意のまま、気持ちの良い走りが楽しめます。

 デザインの良さと、気持ちの良い走りがマツダ3の特徴。この2点に関しては、ゴルフをしのぐ出来といえるのではないでしょうか。

●スバル「インプレッサスポーツ」

 最後のライバルとして紹介するのがスバルのインプレッサスポーツです。

 現行型のデビューは2016年。今回紹介する中では、もっとも古いモデルとなります。しかし、スバルの場合、毎年のように改良を実施しており、直近では2021年12月に改良があり、「最新のスバルが最良のスバル」が特徴。その魅力に陰りはありません。

 そんなインプレッサスポーツの特徴は、“スバルらしい”ということ。純粋なスバル車としてはもっとも小さなモデルですが、スバルが使うプラットフォームはひとつしかありません。大型のSUVも、小さなインプレッサスポーツも、同じプラットフォームを使っているのです。だからこそ、大きくても小さくても、同じスバルらしさが感じられるというわけです。

 そして、なにがスバルらしいのかといえば、それが「安心と愉しさ」。安心は、先進運転支援システム「アイサイト」をはじめとする事故に対する安全度の高さです。自動車の安全性能をジャッジする第三者機関であるJNCAPが実施するテストで、スバル車は、どれも非常に高い得点を獲得しています。現行型モデルも、2016年度のJNCAPで過去最高の得点を獲得して大賞を得ています。

 また、実際に走らせてみても、4輪の接地性が良いことで、いわゆる「スピンモード」に入りにくいのもスバル車の特性。これも安心のひとつです。そして愉しさは、運転手の意思に忠実に動く、シャシの優秀さです。思うがままに走り、それでいて安心・安全。これがスバルの特徴です。こうした点では、ゴルフを上回ることは間違いありません。

※ ※ ※

 VWゴルフは、世界の名車です。しかし、そこには個性があり、人によっては好き嫌いが生まれます。

 そういう意味で、日本のライバルにも豊かな個性があり、それぞれに魅力が備わっています。改めて、それぞれのクルマの内容を吟味すれば、「ゴルフは良いけれど、日本のライバルも良い」という結論となりました。

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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