オフロード性能が高くデザインもイケてた4WD車とは!? 往年のハイセンスRV3選
現在進行形でSUV人気は世界的な規模で続いていますが、日本の自動車市場では1990年代の初頭から半ばにかけて、今のSUV以上に人気となったのがRVです。とくにクロカン車がブームのけん引役で、数多くのモデルが誕生しました。そこで、悪路走破性が高いだけでなくハイセンスな往年のRVを、3車種ピックアップして紹介します。
オフロード性能の高さだけでなく見た目もイケてたRVを振り返る
ここ数年で、世界的に人気が急上昇したクルマといえばSUVです。直近では各メーカーから発売される新型車の多くがSUVで占められ、もはやブームといっても過言ではありません。
一方、日本の自動車市場では、1990年代の初頭から半ばにクロスカントリー4WD車を中心とした「RVブーム」が起こりました。
RVとは「レクリエーショナル・ビークル」の略で、レジャー用途に適したクルマを指し、クロカン車だけでなくステーションワゴンやミニバン、ピックアップトラックなどが含まれました。
なかでもクロカン車や4WDピックアップトラックは人気が高く、RVブームのけん引役として販売台数も好調でした。
また、悪路を走るユーザーだけでなく、車高をハイリフト化し、大径のオフロードタイヤやブッシュガードを装着するなどドレスアップして都会を走る「シティーオフローダー」も流行しました。
そこで、悪路走破性が高いだけでなくハイセンスな往年のRVを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ初代「ランドクルーザープラド」
日本が世界に誇る本格的なクロカン車といえばトヨタ「ランドクルーザー」シリーズです。
60年近い長い歴史があるランドクルーザー・シリーズはこれまで数多くのモデルをラインナップしてきており、直近では2021年8月にフラッグシップモデルの新型ランドクルーザー 300系がデビューして、大いに話題となりました。
このランドクルーザー・シリーズは「ヘビーデューティ」「ライトデューティ」「ステーションワゴン」の3タイプに分けられ、なかでもヘビーデューティの代表的なモデルが「ランドクルーザー 70」で、過酷な環境でも耐えられるようにシンプルな構造と悪路走破性能が高く評価され、今も世界中で愛されています。
日本では1984年にランドクルーザー 70が発売されましたが、翌1985年には70系の派生車でライトデューティに該当する「ランドクルーザーワゴン」が登場しました。
外観はランドクルーザー 70に準じたデザインの2ドアショートボディですが、都会的なエッセンスを採用。
後席の居住性の大幅な向上とともに新設計のコイルスプリング式サスペンションを採用し、快適な乗り心地と悪路走破性の両立が図られました。
そして、1990年のマイナーチェンジで車名が「ランドクルーザープラド」となり、フロント周りの意匠変更がおこなわれ、より洗練されたデザインによって乗用車らしさを強調しました。
ボディタイプは従来の5人乗り2ドアショートボディに加え、3列シート8人乗り4ドアのセミロングボディと同じく4ドアの商用バンが設定され、内装には上位グレードに上質なエクセーヌ生地を使用したシートを採用するなど、高級感がプラスされました。
乗用モデルに搭載されたエンジンは最高出力97馬力の2.4リッター直列4気筒ディーゼルのみで、トランスミッションは5速MTと電子制御式4速ATを設定。
また、サスペンションは4輪コイルスプリングの前後リジッドアクスルを継承しつつ、操縦性、走行安定性、乗り心地が大きく改善されました。
一方で、リアデフに電動デフロックとフロントバンパー内蔵式の電動ウインチをオプション設定するなど、本家のランドクルーザー 70ほどではありませんが本格的なオフロード走行にも対応していました。
その後、ランドクルーザープラドは代を重ね、ライトなクロカン車として現在も高い人気を誇っています。
●日産初代「テラノ」
日産の本格的なクロカン車というと、1951年に誕生した「パトロール」、そして後継車として1980年に発売された「サファリ」がありましたが、よりライトなクロカン車として登場したのが、1986年にデビューした初代「テラノ」です。
当時アメリカで大ヒットし日本でも販売されていた「D21型 ダットサン ピックアップトラック」をベースに、それまでのヘビーデューティなクロカン車とは一線を画した、洗練されたデザインのワゴンボディを架装するかたちで開発されました。
外観はクロカン車らしいスクエアなフォルムですが、ボンネット先端に入れられた3本のスリットや、力強い走りをイメージさせる前後のブリスターフェンダー、そして後席用の三角形ウインドウ(ポップアップ開閉式)とよって個性的な見た目を演出。
内装は直線基調としたインパネデザインや、ダッシュボード上部に備わる傾斜計や高度計はクロカン車ならではですが、4本スポークのステアリングホイールや、上質なトリム、モケット地のシートなどが採用され、快適性が高められていました。
発売当初は、最高出力85馬力を発揮する2.7リッター直列4気筒OHVディーゼルエンジンを搭載。さらに、快適な走りのために1987年には140馬力の3リッターV型6気筒ガソリンエンジン搭載車が設定されたほか、5速MTに加え4速ATをラインナップ。電子制御式の多板クラッチを用いた4WDシステムはパートタイム式です。
サスペンションは、フロントにダブルウイッシュボーン式、リアに5リンク式リジットアクスルを採用し、上位グレードには2ウェイアジャスタブルショックアブソーバーが装着され、「スポーツ」と「ツーリング」のふたつの減衰力に切り替えでき高い悪路走破性とオンロードでの走行安定性、快適性の向上が図られました。
また、当初2ドアボディのみでしたが1989年には4ドアが追加され、RVブームの絶頂期である1993年に実施されたマイナーチェンジでは、オーバーフェンダーを装着したワイドボディが新たに設定され、迫力ある外観へと変貌を遂げました。
国内外で人気を博した初代テラノは1995年8月に生産終了し、同年9月に登場した2代目をもって、テラノは2002年に国内での販売が終了しました。
●三菱2代目「ストラーダ」
RVブームの頃、三菱は大ヒットした「パジェロ」をはじめ「ジープ」「デリカスターワゴン 4WD」「RVR」「シャリオ」など豊富なRVラインナップを展開していましたが、さらなるニーズに対応するべく、1991年に4WDピックアップトラックの初代「ストラーダ」を発売しました。
ストラーダは4ドアのダブルキャブのみで、荷台には5人分のレジャーグッズを積んで余裕をもってドライブに出発するというコンセプトで開発され、ボディは機能的な印象のスクエアなフォルムで、RVらしい力強さが感じられる正統派スタイルを採用していました。
そして1997年には、より洗練されたスタイリングの2代目ストラーダが登場。タイで生産された輸入車として販売されました。
外観は初代と同じく4ドアのダブルキャブのみで、迫力ある大型フロントバンパーにワイドなオーバーフェンダーの採用と、フラッシュサーフェイス化されたボディ、スラントノーズのフロントフェイス、傾斜角を寝かしたフロントウインドウなど、オフロード車の力強さと乗用車の洗練されたイメージを両立。
内装では、ソフトで一体感のあるラウンドしたデザインによってトラックらしさを感じさせず、インパネは視認性、操作性の良い位置に大型メーターと3連サブメーターを配置し、RVならではの機能性と使い易さを重視したレイアウトとなっていました。
エンジンは最高出力105馬力を発揮する2.5リッター直列4気筒ディーゼルターボのみで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。4WDシステムは路面状況に応じた効率よい走りが選べる「イージーセレクト4WD」が採用されました。
また、2代目ストラーダの発売に合わせ、フロント4連フォグランプや4連ワークランプ付きロールバー、16インチアルミホイール、ボディサイドとリアゲートに派手なデカールによってドレスアップした特装車「ストラーダ デザートクルーザー」もラインナップし、カスタマイズの方向性を提案しました。
現在、三菱は国内でピックアップトラックを販売していませんが、アジア圏やアフリカ諸国、欧州などで継続して「トライトン/L200」が販売されており、デザインも「ダイナミックシールド」を採用するなど、より都会的で洗練されたモデルとして高い人気を誇っています。
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RVブームは盛り上がりも急激に始まりましたが、沈静化も急速に起こり、多くのクロカン車が街から消えてしまいました。
当時のクロカン車はいくら改良されていたとはいえ、高速道路での走行安定性と燃費の悪さや、大きな騒音、大型のボディによる取り回しの悪さなど、一般的な乗用車に比べてネガティブな要素が多いことが、ブームの沈静化を早めた理由だったのかもしれません。
一方、現在のSUVブームではそうしたネガティブな問題はほとんどなく、おそらく今後はミニバンと同じく、ブームから定番車種に移行すると考えられます。
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