「ソニーの車」実現へ加速!? 自動車メーカーと異なる「ソニー流アプローチ」とは? 家電メーカーの参入相次ぐ?

ソニーグループが、EV事業を手掛ける新会社「ソニーモビリティ」を設立すると発表しました。自動車メーカーではないもののすでに多くの先進技術を有するソニーが、EVに参入する狙いとは。

ソニーの“手の内”技術でモビリティ事業を展開

 ついにソニーグループ(以下、ソニー)が、モビリティ分野に対して本気で勝負を仕掛けてきました。

 ソニーは米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2022」(2022年1月5日~8日)でEV(電気自動車)のSUV試作車「VISION-S 02」を世界初公開。あわせて吉田憲一郎社長が新会社「ソニーモビリティ」の設立を表明したのです。

CES2022で世界初公開されたソニーのSUVタイプEV試作車「VISION-S 02」
CES2022で世界初公開されたソニーのSUVタイプEV試作車「VISION-S 02」

 会見では、すでに公道走行実験を進めているEV試作車「VISION-S 01」も並べられ、ソニーがモビリティの事業化を本格的に進めていくとの意気込みを感じました。

 ただし吉田社長は、いつまでに、いくらで、これら2モデルをベースとした量産EVを発売するかは発言していません。

 あくまでも「ソニーEVとしての商業化を探っていく」というにとどめています。

 一部報道では、ソニーモビリティを“EVに関する新会社”というイメージで捉えている向きもありますが、ソニーの狙いはテスラやトヨタのような自動車製造業に参入するという意味ではないと考えられます。

 なぜならば、会見で吉田社長が強調したのは「VISON-Sは、セーフティ、アダブタビリティ、エンターテイメントのファウンデーション(基盤)として開発された」という点だからです。

 ソニーはこれら3領域ですでに多くの技術を開発し、各方面への販売実績もあります。

 順に見ていきます。

 セーフティについては、VISON-S 02に車内外合わせて40のセンサーが装備されており、これらにはイメージセンサー(CMOS)技術が使われています。

 アダプタビリティについては、5G(第5世代通信)やクラウドを活用した通信によるコネクティビティ技術、乗員に合わせてパーソナライズできるHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)、そして360度リアリティオーディオシステムなどです。

 エンターテイメントについては、映画、音楽、ゲームなどさまざまなコンテンツを配信できます。

 これらのように、ソニーがすでに“手の内化(てのうちか)”している技術を組み合わせることで、四輪乗用車に限定することなく、さまざまなモビリティ分野で新しいビジネスが広がる可能性があるのです。

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