「ソニーの車」実現へ加速!? 自動車メーカーと異なる「ソニー流アプローチ」とは? 家電メーカーの参入相次ぐ?
家電メーカーのEV参入は難しい?
既存の“手の内技術”を活用した新規ビジネス参入といえば、ホンダが2021年9月に発表した「新領域への取組み」に大筋では似ているように思えます。
例えば、ジェット機やF1の技術を活用した電動垂直離着陸機「HONDA eVTOL」、燃料電池などを使う月面での「循環型再生エネルギーシステム」が挙げられます。
ただしソニーの場合、仮にEV本体を製造・販売するとなると、電池技術には十分な知見があっても、モーターや制御システム、そして車体の開発、そして最も重要な量産体制や販売網についてはパートナー企業との連携が必要不可欠になります。
そのため、ホンダの新領域参入と比べて、ソニーにとってEV製造販売参入のハードルは高いという印象があります。
それでもなお、前述のようなセーフティ、アダプタビリティ、エンターテイメントの3領域を踏まえたうえで「ソニーEV商業化の模索」を今回、吉田社長が口にした背景には、やはり世界的な自動車産業のトレンド変化があると考えられます。
トヨタが2021年12月、「2030年までにEV新車で年間350万台」と発表したことは、世界の自動車産業界のとって大きな衝撃でした。
その背景には、欧州連合の執務機関である欧州委員会が強く推し進めている経済政策「欧州グリーンディール」の存在があります。その余波は、一部の州でEV化を推奨してきたアメリカや、国として環境車対策を強化してきた中国にも及んでいます。
こうしたグローバルでの急激なEVシフトという市場変化の中で、ソニーとしては自社のEVブランドが事業化できる可能性を感じ始めているのだと推測します。
とはいえ、家電(電機)メーカーのEV参入には難しい面も数多くあるのが現実です。
ソニーを家電メーカーと位置付けるのは語弊があるかもしれませんが、広義で家電メーカーとしてみると、例えば英国ダイソンも一時、シンガポールにEV開発部門を立ち上げるなど自社EVブランドを模索しましたが、事業化の目途が立たずに撤退しています。
また、米アップルもティム・クックCEO(最高経営責任者)が自動運転EVの社内事業「プロジェクト・タイタン」の存在を認めているものの、事業化を明確に定義する段階には至っておらず、いまだにさまざまな手法を検討中だといわれています。
日本では、パナソニックが小型自動運転EVプロトタイプを使い福井県永平寺町で長期テストをおこなったり、日本や中国の都市部での利用を想定した貨客混載も可能なEV構想を公開してきましたが、どのプロジェクトも実用化の目途が立っていない状況です。
こうした市場実情を踏まえると、ソニーとしては、グローバルで急拡大するEV市場の動向をしっかり把握しながら、“手の内化”できている事業領域とEV量産化のバランスを、これから慎重に検討していくことになるでしょう。
果たして2030年代には、ソニーEV、アップルEV、トヨタEVなど、ユーザーにとってこれまでにないモビリティの選択肢が増える時代になっているのでしょうか。今後も自動車、IT、家電など広い領域で各社の動向を注視していきたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
基本的な技術はデジカメやウォークマン、ハンディービデオですべて把握しているのだが?
電池やモーター制御だってテープを回したり、ピントをあせたりにも使っている。
自動運転の基礎的な技術もデジカメのスマイルシャッターがあるわけで発展させて応用するだけとも言える。
後は商売になるかの話で、EV車をアフリカのど真ん中で売れるわけでも無いし、そもそもインフラがない訳でターゲットというか基本的な販売網そもそもを持っている地域は、基本的にインフラが整っている場所。
トヨタみたいな世界中で売るわけではなく、レクサスみたいな限定したところで商売することになるだろし、先日のトヨタの会見でレクサスは100%EV化ということにもつながるのでは?
後が手持ちの技術をどこまで発展できるか?の勝負。
ハードルが高いことは確かだが、実際には言うほどハードルは高くないのでは?