「2040年までにZEV100%は非現実的!」 日本勢はCOP26の合意ゼロ! 車の環境問題はどこへ向かう?

欧州などがけん引している「2040年までにZEV100%」宣言ですが、COP26で合意に署名した日本勢はゼロでした。昨今のクルマの環境問題はどうなっていくのでしょうか。

自動車メーカーはメルセデス・ベンツやフォード、GMなど11社が署名

 2021年10月末から11月半ばまでの約2週間、26回目の開催となる「COP26」が英国グラスゴーで開催されました。

 すでに報道などでは「2040年までにゼロエミッション車(ZEV)を100%にする」という宣言に各国が合意したなかで、「日本や日系企業が合意しなかった」と報じられています。

 今回のCOP26では、どのような内容が話し合われ、なぜ日本は合意に署名しなかったのでしょうか。

COP26の「2040年までにZEV100%」に合意しなかった日本勢! 実は20年前から日本は環境問題に向き合っていた?
COP26の「2040年までにZEV100%」に合意しなかった日本勢! 実は20年前から日本は環境問題に向き合っていた?

 COPとは「国連気候変動枠組条約締約国会議」を意味します。第1回は1995年にドイツのベルリンで開催されました。

「地球温暖化によるさまざまな悪影響を阻止するために世界の国々が一丸となって対策を進めよう!」という国連主体の国際会議です。

 なお、COPとは単に「条約締約国会議」(Conference of the Parties)を意味する略称であり、正式名称はCOP-FCCC(気候変動枠組=Framework Convention on Climate Change)となります。

 現在、COPの主軸となる目標は「産業革命前(1860年代以前)からの気温上昇幅を、2度を十分下回る水準で維持し、1.5度の目標に向かって世界が努力する」というものです。

 IPCC第5次評価報告書によると、現在までの上昇幅は「1.1度」ですが、この先21世紀末までに、世界平均気温がさらに0.3度から4.8度上昇するとされています。

 COP26では地球温暖化を阻止すべくさまざまなテーマについて議論されましたが、「自動車」に関しては以下の「宣言」が出されました。

「主要市場で2035年まで、世界全体で2040年までに販売される新車(乗用車とバン)をすべて二酸化炭素(CO2)の排出がないゼロエミッション・ヴィークル(ZEV)にする」

 主要市場とは欧州や日本、米国、中国など自動車が数多く販売される国や地域を指します。

 2035年まであと13年であり現実的ではない印象ですが、この宣言に対してどんな国や自動車メーカーが合意したのでしょうか。

 これまでのCOPは国単位で合意するスタイルでしたが、COP26では「国」「自動車メーカー」「都道府県市町村」「フリート企業」「自動車産業への投資家」などの単位に分かれてそれぞれが署名するスタイルが採用されました。ただし、いずれも法的拘束力はありません。

 なお、フリート企業とは、企業の事業活動のなかで用いる車両(Fleet vehicle(s))を大量に所有する企業を意味します。

 そうしたなかで、それぞれのカテゴリー別に署名した国や企業は以下の通りです。

 1.政府(計28か国)

 オーストリア/ベルギー/カナダ/チリ/デンマーク/エルサルバドル/フィンランド/アイスランド/アイルランド/イスラエル/ルクセンブルク/オランダ/ニュージーランド/ノルウェー/ポーランド/スウェーデン/バチカン市国/イギリスなど

 2.新興市場および発展途上国の政府や組織(11の国や組織)

 ドミニカ共和国/ガーナ/インド/ケニア/メキシコ経済事務局/モロッコ/トルコ/ウクライナほか

 3.都市、州、地方自治体(45自治体)※主な都市を記載

 アトランタ/オーストラリア首都特別地域/ブリティッシュコロンビア/カリフォルニア/ダラス/フィレンツェ/ロサンゼルス/ニューヨーク市/ローマ/サンフランシスコ/ソウル市/ワシントン(州)ほか

 4.自動車メーカー(11社)

 アベラ電気自動車(インド)/BYDオート(中国)/e-トリオオートモービルズプライベートリミテッド(インド)/フォード(アメリカ)/ガヤムモーターワークス(インド)/GM(アメリカ)/ジャガーランドローバー(イギリス)/メルセデス・ベンツ(ドイツ)/MOBI(?)/クォンタムモーターズ(ボリビア)/ボルボカーズ(スウェーデン)

 5.フリートの所有者とオペレーターまたは共有モビリティプラットフォーム(27社)

 アストラゼネカ/グラクソ・スミスクライン/IKEA/シーメンス/テスコ/ウーバーテクノロジー/ユニリーバ/チューリッヒほか

※ ※ ※

 このほか、自動車産業に出資をしている投資会社や投資家なども宣言に署名しています。

 こうしてみると、日本は国としてはもちろん、都道府県市町村や自動車メーカーなどの企業もどこも署名をしていません。「ゼロ回答」としてきっちり足並みがそろっています。

 電気自動車を含む新エネルギー車の普及が国策となっている中国も、国としての署名はしておらず、唯一、企業のBYDだけが署名をしています。

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結局は署名するかどうかはビジネスチャンスか否かでしか見てないんだろう へ返信する コメントをキャンセル

3件のコメント

  1. そもそもクルマ自体が見かけ上CO2排出しないZEVと言っても
    走行に必要な供給エネルギーやクルマ自体の製造、廃棄時に伴うものを含む
    LCAで見た場合のCO2発生量は
    現時点では下手すればむしろ増えるのは明らかであり、
    早急にZEVに切り替えるようとするのはエコでは無く欧州主導のエゴだというのが見えてきている。
    安易に欧州主導のZEV推進に乗るのはディーゼル推進した時同様に
    泥船に乗るようなものかもしれないという警戒感があるんじゃないか?
    その点を実態に即した議論もなく
    強行にZEV化を推し進める現状の事項に対し
    安易に合意署名出来る内容じゃないという事だろう。

  2. 何を言ってもムダ。HVが総合環境性能に良いとかは、負け犬の遠吠え。
    彼らは世界一になったトヨタと日本車に対して、ゲームチェンジを仕掛けてきて勝ちつつあるってこと。
    今後、世界は日本が負けるだろうBEVに突き進んで、輸入はBEVに限る、及び、日本に対してBEVの購入促進策を貿易バーター取引で強行してくる。
    その前に、環境負荷低減に後ろ向きな企業に対して、制裁が発動される。
    京都議定書でフロン全廃が決まったとき、最大手のデュポンは市場から早々に撤退。
    環境対応に後ろ向きとの欧米の評価は、ビジネスに大打撃を与えると判断したと言うことだった。
    供給が停止して日本企業は大慌て。米国はフロンが工程内介在する製品の販売をラベル規制で標的にした。結局米国も全廃スケジュールを早めた。
    結局そうなるのだろう。
    これって戦前から何度も欧米に煮え湯を飲まされてきた構図。

  3. 結局ZEVの急速な推進は、
    バッテリーなど調達供給問題などを引き起こしていく
    そうなると今度は石油以外の資源乱獲や公害問題が顕在化し、
    今まで以上の材料費は高騰してクルマ(ZEV)は高価でより民間には手の届きにくいモノに
    さらにあおりを受けほかの物価も上昇することは必至で、
    善後策もなくZEV推進したところで下層市民は困窮するだけだ、
    結論としてZEV推進急進派の考えは、
    欧州を中心に既得権益者や貴族や金持ちのエゴを満たす方便に過ぎず、
    差別を助長し世界を混乱させるだけだろう。

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