「2040年までにZEV100%は非現実的!」 日本勢はCOP26の合意ゼロ! 車の環境問題はどこへ向かう?
日本は過去20年間で-23%のCO2削減に成功していた!
中国やアメリカ、ドイツ、日本など自動車の生産や販売台数が多く、また自動車が国の基幹産業となっている国の署名がないことも興味深い結果となりました。
また、強力にガソリン車からEVへのシフトを進めるフォルクスワーゲンも不参加。ドイツメーカーではメルセデス・ベンツだけが署名をしました。
この結果を『EV(電気自動車)推進の罠 「脱炭素」政策の嘘』の著者(共著)で、産業遺産情報センターの所長でもある加藤康子(こうこ)氏は、次のように述べます。
「どの日本メーカーもできると思っていないから、署名できなかったのだと思います。
署名した海外メーカーはそれぞれ思惑が違うので、一般論で議論できません。
署名することで課せられる責任も国により異なり、またルールをどのように捉えるのかというニュアンスでも対応は変わると思います。
欧米のメーカーのなかには、ルールは変えられると思って署名した企業もあるでしょうし、できると思って署名したところもあるでしょう。
GMやフォードはどうでしょう。前者のような気がしないでもありません。
ピックアップトラックを全部EVにできるんでしょうか。カリフォルニア以外でEVはシェアを取れるのでしょうか。
コンシューマーレポートでも評価は低く、アメリカの友人やメディア関係者は何も懐疑的です」
なお、2021年4月に「2040年にグローバルでEVとFCEVの販売を100%に」という目標を発表したホンダも署名はしませんでした。その理由について尋ねたところ、「署名しなかった理由は公開しておりません」(ホンダ広報部)との回答でした。
そうしたなかで、日本自動車工業会会長の豊田章男氏は、2021年9月の定例記者会見で「敵は炭素であり、内燃機関ではない」とEV化を強力に推し進める欧州主導の情勢に対して反論しました。
EV以外にも日本の強みを生かした優れた技術があり、選択肢があることを説明し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて全力でチャレンジすることを訴えています。
そして実際に日本は、「日本の強みを生かした方法で」けた違いの大きな結果をすでに出しています。

なお、2001年からの20年間にわたる保有自動車全体のCO2排出量の推移では、強力なEV化を進めるドイツやオランダは3%増やしています。
対して、EV比率は低くても低燃費のガソリン車やハイブリッド車を数多く生産販売している日本は20年間で23%も減少させています。
また、COP26では大型トラックとバス(ZE-MHDV=ゼロエミッション-ミドル&ヘビーデューティヴィークル)に関する初めての世界的な合意もおこなわれました。
内容は「主要国は2040年までに完全なゼロエミッションの新しいトラックとバスの販売を可能とし、新車販売の30%をZEVにし、2050年までに炭素排出量ゼロの達成を促進」するというものです。
これに対して、オーストリア、カナダ、チリ、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スコットランド、スイス、トルコ、英国、ウルグアイとウェールズは、2030年までに新車販売の30%をZEVにするという暫定目標を設定しました。
さらに、BYD(中国)、スカニア(スウェーデン)、DHL(ドイツ)、ハイネケン(ドイツ)などの主要な自動車メーカーやフリート企業もこれらに署名して支援を約束しています。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。



































