日産「シルビア」がEVで復活か!? 10年後に迫る電動化時代のスポーツカーの在り方とは

現実路線はマイルドHVだが一気にEV化が進む可能性も

 日本を代表するスポーツカーといえば、マツダ「ロードスター」があります。

 ロードスターの未来については、マツダがオンラインでメディア向けに実施した電動化など将来の事業に関する意見交換で、同社の幹部は筆者(桃田健史)の質問に答える形で、「2030年代の電動化のロードマップにロードスターも組み込まれています」と断言しました。

 これより前に、ロードスターの開発責任者も筆者との取材時に、これからの先のロードスターのあるべき姿を聞くと「今後は、(マイルドハイブリッドなど)電動化を視野に入れなければならないという認識はある」という発言もあったのです。

欧州日産が公開したEV化したシルビアのデザイン
欧州日産が公開したEV化したシルビアのデザイン

 ただし、ロードスターがEVになるというイメージは、現時点でマツダのなかにはないように思えます。

 軽量かつコンパクトが商品性の主体である小型スポーツカーについては、マイルドハイブリッドとして内燃機関が当面の間は継続される可能性が高く、ユーザーもそうした段階的な電動化の流れを望んでいるのではないでしょうか。

 エンジニアとしてもまずはマイルドハイブリッド化をやりきってから、その時点でまたその次の段階を考えていくというのが現実的だといえるでしょう。

 一方で、国産スポーツカーが一気に電動化する可能性もあるかもしれません。

 その筆頭は、日産「シルビア」です。

 日産ヨーロッパは2021年9月、自社サイトの日産ストーリーズというコーナーで、1964年の東京モーターショーでデビューした初代シルビアをモチーフとした新型EVのデザインイメージを公開しています。

 これを見て、「シルビアEVの量産もあり得るのでは?」と思った人が少なくありません。

 なぜならば、ステランティス傘下のオペルが2021年5月に、1970年代の「マンタ」をモチーフとしたEVコンセプトモデルを公開しましたが、その2か月後には、2028年までに欧州内で販売するオペルをEV100%ブランドとして再生し、マンタも復活することを発表したからです。

 そうしたオペルによる布石があるため、「シルビアがEVで復活」に対する真実味が増しているといえます。

 シルビアはスポーツカーというよりは、エレガントさを兼ね備えたスポーティカーというイメージが強く、また1980年代当時でもAT車率が高かったこともあり、MT車比率が比較的高いGR86/BRZやロードスターを比べると、EVとの相性が良いのかもしれません。

 また、2022年に登場予定の日産新型「フェアレディZ」についても、型式「Z34」を維持したままということもあり、その先はシルビアと部品共通性も持つEVに進化する可能性も否定できないのではないでしょうか。

 いずれにしても、2ドアスポーツカーは2020年代後半から2030年代にかけて、大きな転機を迎えることは間違いなさそうです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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