歩きスマホで蛇行する歩行者は危険!道路の左右どちらを通るべき? 車と人で決められた通行方法とは
道路には歩道が設置されていない場所も存在します。では、歩行者は道路の右側と左側どちらを通行したら良いのでしょうか。実は明確に通行する方法が決められています。
歩道がないときは右側と左側どちらを歩く?
道路には、クルマやバイクが通行する車道とはべつに、歩行者が通行しやすいように多くの場所に歩道が設置されています。
しかし、場所によっては歩道の設置がないことや、ガードレールなどで区切られていないこともあります。
そうした場合、歩行者は道路の右側と左側どちらを通行したら良いのでしょうか。
交通量が多い幹線道路などの道幅が広い道路の場合は、縁石や段差をつけて車道と歩道が明確に分けられていることが多いです。
一方で、住宅街のなかなどのいわゆる生活道路では、縁石や段差が設置されず、車道との区別が曖昧になっている場合もあります。
例えば、クルマが一方通行の道路の場合は、どの方向からクルマが来るかわかるため歩行者もクルマも通行しやすいかもしれません。
しかし、そうした規制などがない道路の場合は、基本的にはクルマが歩行者を優先しながら、互いに安全に配慮して通行する必要があります。
歩道が設けられていない道路を日常的にクルマで通ることがある20代の女性は、通行の際の経験について以下のように話します。
「歩道がない道路を走行していると、例えば右側から左側へなど、後方を確認せずにふらっと道路を渡る歩行者もいるので怖いです。
右側を通行している人もいれば、左側を通行している人もいますし、とくに狭い道では左右両方に注意を払っています」
歩行者の通行場所については、SNSでも「歩行者は右側通行が基本じゃないの?」「住んでいる地域で歩行者の左側通行多いんだけど、これって普通?」といった声が見られ、道路の右端か左端かで意見が分かれるようです。
では、歩道が設置されていない道路では、歩行者の通行場所について決まりはあるのでしょうか。
首都圏の警察署の交通安全課担当者は、歩行者の通行について「道路交通法第10条において、原則として右側と定められています」と話します。
道路交通法の第10条には以下のように規定があります。
「歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる」
このように、道路交通法において歩行者の通行は道路の右端に沿うことが原則とされており、例外として左端も通行できるようになっています。
また、歩行者が例外として左側を通行するケースについて、前出の交通安全課担当者は「工事をおこなっていたり、路肩に駐車しているクルマがいるときなど、事情がある場合は左側を通行することができます」と話します。
ちなみに、クルマの通行は道路交通法第17条第4項において「車両は、道路の中央から左の部分を通行しなければならない」と定められています。
日本で昔から歩行者とクルマの進行方向があえて逆側に決められている理由には「対面通行」が関係しているといわれています。
対面通行とは、歩行者とクルマが対面する形ですれ違うような通行方法のことで、歩行者もクルマも互いをしっかりと認識しあって通行することができます。
例えば、冒頭で20代女性が述べているように、歩行者がクルマが背後から迫っていることに気が付かずに進路を変えたり、道路を渡ったりするのはクルマと接触する可能性もゼロではないといえます。
しかし、対面通行をおこなっていると歩行者の視界にクルマが入り込む余地ができるため、同じ進行方向に進んでいるときよりも安全性は高いといえるでしょう。
警察庁では、公式ホームページの「交通安全対策の歩み」のなかで、日本の対面通行について「歩車道の分離が十分でないなか、通行方法をより安全で合理的なものとするため」に導入したと説明しています。
さらに、前出の警察担当者も「歩行者が対面から通行してくるクルマを目で見て確認できるように、あえて通行を左右に分けている可能性が考えられます」と話しています。
この対面通行は、日本以外でも、フランスやインド、フランスなど、導入している国は多く存在します。
一方で、法律として対面通行を導入していないイギリスやアメリカでも、歩行者にはクルマと対面して通行することを推奨しており、対面通行を有効的な安全策として捉えている国は多いのかもしれません。
※ ※ ※
日本で歩行者と自動車が通行できる場所が決められているのは、対面通行の観点からであるといえるでしょう。
危険またはやむを得ない状況であるとき以外は、歩行者は原則として道路の右端に沿ってクルマを確認できる状態で通行するように心がけましょう。
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