フェラーリ革命を起こした「296GTB」を徹底解説! もはやスペチアーレ並に速い理由とは
「296GTB」に盛り込まれれた革命的テクノロジーとは
一方でフェラーリでは、環境性能への対応もさらに積極的なものになった。すでにフェラーリは、「SF90ストラダーレ」、「SF90スパイダー」などでハイブリッドシステムを採用しているが、296GTBではさらに、低負荷時にはエンジンとモーターを完全に切り離すTMA(トランジッション・マネージャー・アクチュエーター)が新規に導入されている。
●モーターのみで25km走行可能はうれしい!
またモーターのみを使用する「e・モード」での走行では、最大25km、最高速で135km/hを可能にするほか、「ハイブリッド・モード」では可能なかぎりモーターの介入を積極的におこなうプログラムが採用されている。
バッテリーは直列に接続された80個のセルで構成されるもので、その容量は7.45kWh。キャビン後方のフロア下に搭載され、またエレクトリック・モーターはパワーユニットの最後部に、ターボはV型6気筒エンジンの上部に搭載されるというのが大まかな構成だ。
296GTBのビークル・ダイナミクスの革新性を象徴する、もうひとつのメカニズムは6w-CDSセンサー(6ウェイ・シャシ・ダイナミック・センサー)だ。この世界初採用のセンサーと、こちらも革新的な進化を遂げたABS evo、電動パワーステアリング、パワーユニット等々の総合的な制御がおこなわれる。
296GTBには伝統的なマネッティーノに加えてeマネッティーノと呼ばれるハイブリッド・モードのマネージメント・スイッチがあり、それには「eDrive」、「Hybrid」、「Performance」、「Qualify」の4つのポジションが用意されている。
これらのメカニズムを包み込むボディは、過去10年間にマラネロから生み出されたどのフェラーリよりもコンパクトなサイズだ。2600mmというホイールベースからは、シャープなコーナリングが想像でき、また1470kgの乾燥重量からは、鋭い加速とフェラーリが誇る最新世代のドライビングダイナミクスが期待できる。前後重量配分は40.5:59.5。タイヤサイズはフロントが245/35ZR20、リアが305/35ZR20と、リアタイヤへの依存度がかなり高いことを物語っている。
デザインも大きくそのコンセプトを変化させている。いかにもひとつの塊から削り出されたかのような、スムーズなラインの組み合わせによって、これまでのドラッグを低減させる方向性から、ダウンフォースを増大させる方向へとコンセプトを変更しているというのがフェラーリの説明だ。
主なダウンフォースは、フロア下のヴェンチュリー・トンネルによって発生し、ボルテックス・ジェネレーター等によってきわめて効率的にダウンフォースを生み出す。ボディ上面では、フェアド・イン・ティアドロップとネーミングされた新しいデザインのヘッドランプを始め、かつての「250LM」さえをもイメージさせるサイドビュー、そしてこちらも過去の数々の作を思い出させるトンネルバックのリアセクション等々、新しさと伝統が共存する素晴らしいデザインが生み出されている。
インテリアは、まさに完全なデジタル・インターフェイスによるものと表現して良いだろう。これはSF90ストラダーレでデビューしたものだが、296GTBではそれをさらに美的に、そして機能的に洗練することを目的にデザインが進められた。
エンジンが停止している状態ではブラック一色のインストゥルメントパネルは、エンジンスタート・スイッチが押された瞬間に、徐々に命が吹き込まれるが如く、グラフィックが立ち上がるようになっている。
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最後にこの296GTBに用意される、「アセット・フィオラノ」仕様について簡単に解説しておこう。このアセット・フィオラノは、ベースの296GTBからさらに軽量化やエアロパーツ、サーキット走行に適したアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバー等々の装備が追加されたモデルとなる。
車重は標準モデルに対して12kg軽量化され、ダウンフォースも専用のフロントバンパーを用いることで10kgが上乗せされる。さらに15kgもの軽量化ができるLexan製リアスクリーンや、ミシュラン製の高性能タイヤ、スポーツ・カップ2Rなども、このアセット・フィオラノでは選択が可能となる。
296GTBは、10月31日から12月12日まで、フェラーリ正規ディーラーにて、順次ロードショーとして展示される予定だ。これまでの走りの楽しさというコンセプトに革命をもたらすことになる296GTB。ぜひとも自分自身の目で、その仕上がりを感じていただきたい。
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