フェラーリ革命を起こした「296GTB」を徹底解説! もはやスペチアーレ並に速い理由とは

フィオラノのテストコースでのラップタイムが、跳ね馬歴代ロードカーのなかで3位という「296GTB」が、ついに日本のファンの前に姿を現した。実車を目の当たりにしたスーパーカー大王こと山崎元裕氏が、296GTBを解説する。

フェラーリのプラグインハイブリッドカーが日本初お披露目

 フェラーリ・ジャパンは、2021年10月13日、新型ミッドシップ・ベルリネッタ2シータースポーツカーの「296GTB」を日本で初公開した。

 296GTBは、V型6気筒エンジンを採用したモデルとデビュー前から噂されていたため、長らく「ディーノ」のブランド名が復活するのではないかともいわれていたが、残念ながらその夢は叶わなかった。296GTBはあくまでもフェラーリ・ファミリーに属するコンパクトでありながら、フェラーリの名を掲げるに相応しいスーパースポーツにほかならなかったのだ。

新たなファン・トゥ・ドライブを定義する、フェラーリ「269GTB」
新たなファン・トゥ・ドライブを定義する、フェラーリ「269GTB」

●運転することを楽しむという原点に戻ったピッコロフェラーリ

 プレゼンテーションの檀上に立った、フェラーリ・ジャパンの代表取締役社長、フェデリコ・パストレッリ氏はその冒頭で、296GTBを次のように紹介した。

「296GTBが誕生した背景には、新たなファン・トゥ・ドライブ=走りの楽しさを定義するという目的があり、そのためにコンパクトで最高のパワートレインとエアロダイナミクス、さらにクイックなレスポンスを兼ね備えるモデルを作り上げました」

 ステアリングを握る楽しさという概念を根本から書き換え、限界までを攻めるドライビングに限らず、日常的な走行でも純粋な感動を味わえるモデルであるというのだから、296GTBに対する興味と期待は大いに高まる。

 それはフェラーリにとって、エボリューション=進化などというレベルではなく、レボリューション=革命に近い存在なのだろう。

 リアミッドに搭載されるエンジンは、120度のバンク角を持つV型6気筒。排気量は2992ccで、フェラーリが120度V型6気筒エンジンを採用するのは1961年にF1GPのコンストラクターズ・チャンピオンシップをもたらした「156F1」以来のこととなる。

 これに最高回転数が18万rpmというIHI製ターボと、FAマシンでもお馴染みのハイブリッドシステム=MGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット、キネティック)を組み合わせたのがパワーユニットの概要だ。

 ちなみにフェラーリはそれを「F163型エンジンファミリーの最初の作」と表しているから、この先さらに進化の可能性が残されていることも十分に考えられる。

 今回296GTBに搭載されたV型6気筒エンジンのレブリミットは8500rpm。最高出力は663ps。

 一方、トランジッション・マネージャー・アクチュエーターを介してこのV型6気筒エンジンと連携するMGU-Kは、以前の仕様より最大トルクで20%高性能な167ps、315Nmを発揮し、トータルでの最高出力は830ps/8000rpm、最大トルクは740Nm/6250rpmという数字を発揮する。

 このパワーユニットと8速F1 DCTとの組み合わせにより、0−100km/h加速は2.9秒、最高速は330km/hというから、確かにその運動性能は大いに魅力的なものだ。

【画像】見れば見るほどカッコよすぎるフェラーリ「296GTB」(18枚)

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