軽のターボ車はパワフルだけど取り扱い注意!? ターボ搭載車のメリット・デメリットとは
すべてのターボ車は「シビアコンディション」定期的なオイル管理が重要
ターボ車には排気量が小さくてもパワーやトルクが得られやすいというメリットがある一方、単純にパワーアップだけを重視すると燃費が悪化しやすいというデメリットもあります。またそれ以上に取り扱いが難しい側面があるといいます。
どういった部分が取り扱いにくく、良好なコンディションを保たせるためにはどんな部分に注意が必要なのか、整備士のH氏に聞いてみました。

「自然吸気エンジンと比較して、ターボ装着車はオイルに負担がかかるような仕組みになっています。
エンジンはシリンダー内の爆発がより大きくなることでパワーを得るのと同時に熱も発生し、オイルが循環することで一部の熱を放出する構造になっています。
ターボチャージャーによってパワーが増えるということは、エンジン熱を放出(冷却)する仕事量を増やしてしまうわけです。
そのためターボ車のエンジンオイルは、自然吸気エンジンと比較すると倍近い速度で劣化すると考えられています。
ターボ装着車はいわゆる『シビアコンディション』だといえ、たとえ大人しく走っていたとしても、エンジンオイルの劣化はかなり早めになります」
「シビアコンディション」というのは、標準的なクルマの走行と比較してオイルや消耗部品などの劣化が早まるような厳しい状況のことです。
常にエンジンを高回転で回すといった状態だけでなく、渋滞でアイドリング状態が長かったり低速でしか走れない状態、または雪道や悪路など砂や水分、泥、ホコリなどが多い道を走行するなども、エンジンにとっては過酷な状況といわれています。
「現在、メーカーが推奨する自然吸気エンジンのオイル交換タイミングは走行距離が1万5000km程度ですが、ターボエンジンの場合はその半分の7500kmか、できればそれより早いタイミングで交換するなど、定期的なオイル交換が大切になります」(整備士 H氏)
前述のように、軽自動車にはターボモデルが数多くラインナップされていますが、この軽向けターボはエンジン排気量も小さくオイル量も少なめのため、よりオイルの仕事量(負荷)がかかりやすいのだそうです。
「軽自動車は、排気量の大きいクルマと比べるとどうしてもエンジン回転数も高めになり、ターボを搭載しているとなるとさらにオイルに負荷がかかります。
そのため、後々のトラブルの発生率を考慮すると、軽のターボ搭載車は3000kmあたりでのオイル交換を推奨しています」(整備士 H氏)
また軽自動車には燃費を稼ぐためにアイドリングストップ機構が装着されているケースも多く、それもまたターボにとっては過酷だといいます。
「ターボの過給によって爆発力を高めたエンジン内部が、クールダウン走行もしないまま信号待ちの度に止まってしまうわけです。それが止まってしまうことでエンジンオイルの潤滑も止まり、エンジン内とターボの熱が十分に放出されなくなり、エンジン本体を傷める原因にもなりかねません」(整備士 H氏)
昔はターボ車に乗っている人の多くが「ターボタイマー」なる装置を取り付けていました。
これは高負荷の運転を続けるとターボが高温になり、その状態でエンジンを切るとオイルの潤滑が止まってターボのシャフトと軸受の潤滑に不具合が生じることから、イグニッションを切ってもエンジンをタイマーによって一定時間稼働させて、オイルによるターボの冷却時間を設けるというものです。
また、かつてはターボ車の取扱説明書にも、連続した高速走行や登坂走行後は一定時間のアイドリングを推奨することが記載されていました。
最近はオイルの性能が飛躍的に向上したことと、無駄なアイドリングは環境にも燃費にも悪影響という観点から、アフターアイドリングは見かけなくなりましたが、ターボの扱いはそれくらい神経質な部分もあるようです。
「とくに軽自動車オーナーのなかには、経済性を優先するあまり、定期的なオイル交換を敬遠しがちな人もいます。
軽のターボ車はとくにシビアコンディションであること、オイルの劣化によって燃費の悪化だけでなく故障の原因にもなりやすいということは知っておくとよいでしょう」(整備士 H氏)
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ちなみに、軽自動車の場合は、エンジンオイルの交換量は3リッター前後必要で、費用は3000円から5000円程度かかります。
ターボ搭載の軽自動車は、自然吸気エンジン搭載車よりも早いタイミングでオイル交換をする必要があり、その分交換費用もかかるわけですが、クルマを良好なコンディションに保つためには必要なコストだといえそうです。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。






























