新車の「ハイラックス」を大豆と物々交換!? トヨタブラジルが始めた「トヨタ・バーター」とは

日本においてクルマを買う方法でもっとも一般的なのがローンです。次いでキャッシュでしょうか。このほか、世界一の企業家といわれるイーロン・マスクがビットコインでクルマが購入できる可能性を示唆しましたが、それ以前にトヨタは現金以外の購入方法を実現していました。果たしてその方法とは……。

暗号資産はもう古い!? 時代はモロコシだ!

 ついに暗号資産(仮想通貨)でクルマが買える時代が到来か、と思わせてくれたのはテスラだった。2021年2月にイーロン・マスクCEOが「ビットコインでテスラ車を間もなく購入できるだろう」とツイッターで呟いたかと思えば、「やっぱりビットコインでの販売は見合わせる」と再度ツイッターに投稿したことが記憶に新しい。

 決済という場面において“既存の通貨”以外のものを用いる機会は、そうそうない。2016年1月、トランプ元大統領がトランプ社長だった頃、40ウォールストリートにある「ザ・トランプ・ビルディング」に入居するテナントの保証金を金塊(20万ドル相当)で受け取ったことがある。

 入居する会社が貴金属業者であったということと、金価格に対して強気だったトランプ社長の思惑が一致した、と同時に、この手のパフォーマンスで入居者もトランプ社長も実質無料でメディア露出を手にしているのだから、実に賢い。

本格オフローダーは農業従事者だけでなく、道路整備の行き届いていないブラジルでも重宝されている(C)トヨタ自動車
本格オフローダーは農業従事者だけでなく、道路整備の行き届いていないブラジルでも重宝されている(C)トヨタ自動車

●農業生産者に大豆とコーンで新車を!

 さて、もっとニュースになるのではと思わせてくれたのが、トヨタのブラジル法人、ブラジルトヨタによる穀物と車両の“物々交換”だ。

 その名も「トヨタ・バーター」。2019年から実験的に物々交換による車両販売をおこなっていたようで、ついに本格始動したことが2021年8月に発表された。

 ブラジルトヨタにとって農業生産者は重要な顧客層で、実に販売の16%を占める。そこで農業生産者の手間を省くために物々交換を導入した、というわけだ。もっとも今のところ、受け入れる作物はトウモロコシと大豆に限る。

 物々交換の対象となる車両はピックアップトラックの「ハイラックス」、SUVの「ハイラックスSW4」、そして「カローラクロス」の3モデルとなっている。サービス開始当初は6州で展開され、ほかの州への拡大も検討されているという。

 ただ、農業生産者はトウモロコシもしくは大豆をディーラーに持ち込んで、というわけにはいかない。ブラジルの穀物インフラ会社「ノバアグリ社」が定める環境負荷基準を満たす農場か否か調査したうえで交換する穀物の査定もおこなう。

 実はノバアグリ社、トヨタ自動車の子会社である豊田通商が2015年に買収して完全子会社化したもの。ブラジルトヨタは車両を売りたい、豊田通商はノバアグリ社をとおして穀物調達力・安定供給力を強化したい、という思惑が合致しているのだ。

 商品先物取引は素人がおいそれと手を出せるものではないが、トヨタ自動車、ブラジルトヨタ、豊田通商はトウモロコシと大豆の相場が安定もしくは上向く、という分析をしているのかもしれない。

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