市民のクルマ、新型「シビック」何が変わった? 「レジェンド譲り」の技術搭載! 49年目の進化とは
シビック…実は色々と進化しているんです!
走りの印象はズバリ、開発コンセプトと同じく「爽快」でした。
具体的にはボディサイズや車両重量(1300kg超え)を感じさせない身のこなしはもちろんですが、鋭さよりも一連の動きの連続性が高いクルマの動き、4つのタイヤをより効果的に使っている印象でスタビリティと回頭性の両立、そして硬めながらもフラット感の高さといなしの効いた足さばきなど、スポーティながらも決してやり過ぎない絶妙な塩梅に仕上がっています。
歴代モデルで例えるならば、「Si/SiR」ではなく「25X/VTi」のようなイメージでしょうか。
筆者(山本シンヤ)の考えると「シビックらしさ」とは、「ファミリーカー以上スポーツカー未満」であり、その観点でいうと新型はここ最近のモデルのなかではもっとも“濃い”と感じています。
逆に、高速道路ではシビックとは思えない重厚な乗り味で、とくに直進安定性は「アコード」並みといってもいいでしょう。恐らく、この辺りは各部の空力処理も効いているはず。
静粛性の高さもポイントですが、単に音量を下げるのではなくエンジンサウンドなど必要な音は雑味を抑えたうえで聞かせるようにしているのはホンダらしいこだわりです。
EXにBOSE製オーディオが採用されていますが、シンプルな構成ながら広がりのある音場で、マストアイテムに感じました。
高速道路ではACC/LKASを試しましたが、「クルマを信頼してもいい!!」と思える制御でビックリ。
「何をセンシングしているの?」という従来のホンダセンシングとは別物です。
実は新型シビックのホンダセンシングはハード/ソフト共に新世代で、レベル3を実現したレジェンドの「ホンダセンシングエリート」の技術がフィードバックされています。ちなみにカタログを見ても解りにくいので、もっとアピールすべきです。
新型シビックの値段はLXが319万円、EXが353万9000円となっています。個人的にはEXはともかく、LXはもう少し装備をシンプル(例えばホイールのインチダウンなど)にして割安感をアピールしてもよかったかなと。
11代目となる新型は大きな目玉はないものの、各部の熟成によりハードを活かしきったことによる総合力の高さがポイントだと感じました。
そういう意味でいうと「ゴルフV→ゴルフVI」の進化に似ているような気がします。
ただ、細かい話ですが、この良さがEX/LXというグレード名から解り辛いのも勿体ない部分のひとつです。
ターゲットユーザーは「ジェネレーションZ(1990年代後半以降に生まれた世代)」なら、もう少し攻めたグレード構成でも良かったような気がしています。
とはいえ、2022年には「ハイブリッド(e:HEVながらシビックらしい仕上がりになっているという噂)」と「タイプR」の追加が予定されています。今回の“素”のモデルの実力からすれば期待していいでしょう。
そして、最後に「デカい」、「高い」、「こんなのシビックではない」と未だにいっている人は、食わず嫌いはやめて一度乗ってみることをおススメします。「おっ、意外とシビックしてるじゃない」と思うはずです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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