排ガス規制強化のなかマツダが投じた野心作! 初代「サバンナRX-7」を振り返る

現在、世界的に脱炭素化が進んでいますが、日本での環境問題への取り組みは、排出ガスによる大気汚染の緩和を目的に1960年代後半から始まっています。そして、1978年には、1970年に改正されたアメリカの「マスキー法」を受け、当時世界でもっとも厳しい排ガス規制が敷かれました。そんな年に誕生したマツダのスポーツカー「サバンナRX-7」を振り返ります。

厳しい排ガス規制のなかマツダ「サバンナRX-7」が登場! どんなクルマだったのか振り返ります。

 マツダ初代「サバンナRX-7」は、1971年から1978年まで生産されたサバンナ(輸出名RX-3)の後継モデルとして登場。
 
 世界で唯一マツダが量産化に成功したロータリーエンジンの軽量小型の特徴を生かして誕生した「コスモスポーツ」のコンセプトを受け継ぐかたちで、低重心によって運動性を高めたスポーツカーとして開発されました。

スポーツカーにとって不遇な時代に誕生した初代「サバンナRX-7」
スポーツカーにとって不遇な時代に誕生した初代「サバンナRX-7」

 ちなみに初代サバンナRX-7が登場した1978年は、新東京国際空港(現成田国際空港)が開港したほか、池袋の超高層ビル「サンシャイン60」が開館。巷ではディスコブームに沸き、サーファー系ファッションが大流行し、原宿には「竹の子族」が登場しました。

 また、カップ麺の「赤いきつね/緑のたぬき(東洋水産)」がヒットし、「ピンク・レディー」が芸能界を席巻していた頃です。

 サバンナRX-7がスポーツカーとして十分考え抜かれた設計であったことは、スタイリングにも表れています。空気抵抗係数(Cd値)0.36は当時の国産車では最高水準の値で、ロー&ワイドに仕立てたボディフォルムの賜物。

 低いボンネットフードは軽量小型のロータリーエンジンの搭載を象徴し、リトラクタブルヘッドライトの採用はこのモデルをひと際個性的にしました。

 さらにサバンナRX-7はリアゲートにガラスハッチを採用。これは見た目の斬新さだけでなく、優れた後方視界も生み出し、大きな話題となりました。

 インテリアもスポーティにまとめられ、タコメーターを中心に配した視認性に優れたメーターや、スポーツタイプのステアリングホイールを装備。キャビンは輸出仕様が2人乗り、国内仕様は2+2の4人乗りでした。

 搭載された573cc×2の「12A型」2ローターロータリーエンジンは、「ルーチェ」で実績があった「熱反応器(サーマルリアクター)方式」によって昭和53年排出ガス規制をクリア。ロータリーエンジンはNOx(窒素酸化物)の排出が少ない一方、HC(炭化水素)は多い傾向にあったため、排出ガスに空気を加えてHCを再燃焼させることで克服しました。

 そのおかげで厳しい排出ガス規制ながらも最高出力130馬力/7000rpm、最大トルク16.5kg-m/4000rpmのパワーを発揮し、高回転まで軽やかに吹け上がる特性を実現。

 また、ロータリーエンジンは振動や騒音が低く、トルクがスムーズに出るなどの特徴がありますが、このサバンナRX-7ではそれが見事に生かされていたといえます。

 トランスミッションは5速MTのほか、3速ATも設定され、スポーツカーながらイージードライブにも対応しました。

 もうひとつ、ロータリーエンジンの軽量小型というメリットから、フロントにエンジンを載せながら車体の中心近くに配置するフロントミッドシップマウントが可能となりました。前後重量配分は2名乗車時で50.7対49.3と理想的なバランスとし、スポーツカーにふさわしい軽快で的確な操縦性に大きく寄与しています。

 サスペンションは、フロントにストラット、リアにワットリンクを持つ4リンクリジッドを採用。当時のFR車では定番の形式ですが、サバンナや「カペラ」でのレース活動によって培ったノウハウを生かし、爽快で楽しいハンドリングを実現しています。

 初代サバンナRX-7は1978年3月から1985年10月までの約7年間生産されました。その間マイナーチェンジが重ねられ、1980年にはボディと一体形状のウレタン製バンパーを採用し、空気抵抗係数(Cd値)を0.34に改善したほか、エンジンと車体の軽量化を実施。

 エンジンのガスシール性の改善などにより、当時の10モード燃費は9.2km/L(5速MT車)まで向上しました。

 1982年にはパワー競争への対応として165馬力を発揮するターボエンジン車を追加。これによりパワーウェイトレシオは6.18kg/psをマークし、スポーツカーとしてのポテンシャルをさらに高めました。

 そして、1985年に2代目の「FC3S型」にバトンタッチされました。

※ ※ ※

 初代サバンナRX-7を振り返ってみると、技術的な過渡期に誕生したモデルであったことがわかります。

 たとえば、モデルライフの途中でサーマルリアクターはより効率の良い触媒に改められ、サスペンションもスポーツカーとしては斬新とはいえません。

 一方で、コンパクトなロータリーエンジンの特徴を生かした設計思想や空力性能を重視したデザインは、その後の「FC3S型」「FD3S型」にも継承されています。

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2件のコメント

  1. 2シーターでは運輸省の認可が取れなかったので、2+2になったそうですね。4リンク+ワットリンクのリアサスペンションもユニークです。国産車ではトヨタ2000GT以来の、リトラクタブルライトが何と言ってもカッコイイです。

  2. 初代発売時の、新聞広告見て、自分は車買える状態ではなかったが、
    とにかく「こんな車がこの値段で?」という感覚を持っていたのだけは覚えている。
    ネットで調べると、
       グレードは4種(123万~173万円)
    というのがあった。

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