フェラーリ「ポルトフィーノM」と「ローマ」の違いを乗り比べ ファーストカーならどちらを選ぶ?

ポルトフィーノMはGT性能で際立っていた

 普通に考えるとクーペにもオープンにもなるポルトフィーノMのほうが随分とお買い得に見えてくるのだが、実際にはローマのスタイルが好きという人も多く、そこが悩ましい事態というわけだ。ローマにソフトトップモデルでも登場すれば話はまた別、というか一層ややこしくなりそうだけれども、それはさておき。

左がローマ、右がポルトフィーノM。ルックスの洗練度はローマが上だが、乗り味はポルトフィーノMが少しリードしていた(C)柳田由人
左がローマ、右がポルトフィーノM。ルックスの洗練度はローマが上だが、乗り味はポルトフィーノMが少しリードしていた(C)柳田由人

 ポルトフィーノMの試乗会が開かれるというので併せてローマも借り出し、乗り比べてみることに。前述したようにローマとポルトフィーノMとではアシまわりのセッティングが少し違う。ポルトフィーノMのほうが重心高はわずかに高く、重量も少し重いためリアの足回りが少しだけ硬い。逆にローマのフロントスタビライザーはポルトフィーノMより少し硬くなっているという。

 前後重量バランスもポルトフィーノMの方が2%ほどリア寄りの設計だ。もちろんハードルーフの開閉によってバランスは変化する。要するにローマのアシの方がスポーティなセッティングになっているというわけだ。

 結論からいうと、マラネッロが違うと主張するほどには両車の乗り味に差はなかった。とくに同じ“クーペ”同士として比較した場合、いずれもニンブルなハンドリングを特徴とするFRスポーツカーだった。ドライブモード選択によって味付けが変わるとはいうものの、基本的な乗り味は同じ。街乗り(時速60km/h以下)ではフロントアクスルが特にゴツゴツとした印象で、お世辞にも乗り心地が良いとはいえない。それでも高速域に入ってくるとフラットで心地よいライドフィールに転じる。

 力強く、そして細かく調律されたV8のエンジンサウンドも両車に共通する魅力だろう。ツインターボエンジンでありながら大排気量自然吸気のようにきれいに吹け上がる。中間加速のパワフルさは流石にツインターボだ。

 8速DCTとの相性も抜群。さらに強力なブレーキ性能によって減速もまた楽しい。ブランド入門モデルとはいえ、そこは跳ね馬、パフォーマンスはスポーツカー界随一である。性能で中古のミドシップフェラーリに負けることなどないはずだ。

●スタイリングは「ローマ」、ファーストカーなら「ポルトフィーノM」

 感心したのは、ポルトフィーノMをオープンにして走らせた時の中低速域における乗り心地の良さだった。クーペ状態やローマに比べると、ルーフを開放することで強いボディも少しは緩むというわけだろう。肩の力を抜いたような印象で、路面からのショックを上手にいなす。

 その乗り味は、ポルトフィーノMはもちろん、ローマのシンプルビューティなスタイルに合わせたいくらい。「この乗り味のローマがあれば最高」というのは、おそらく、2台を同時に試したフェラーリファンに共通する結論ではなかったか。だからこそローマのソフトトップ版が出ると嬉しいのだけれど……。

 今このタイミングでどちらを選ぶか。スタイリングだけを考えれば断然ローマがいい。けれどもファーストカーとして考えた場合、オープン時のマイルドな乗り味と、V8サウンドを直に浴びることのできるポルトフィーノMか。フェラーリ製V8エンジンサウンドを楽しむ機会だってこの先減ってきそうだし。

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