まさにタイヤ大戦争! 人気の「スーパーGT」 にタイヤメーカーがチカラを入れる理由

モータースポーツの技術やノウハウを市販車用タイヤにフィードバック

 各タイヤメーカーはどんな思いでスーパーGTに参戦しているのでしょうか? ここではヨコハマとミシュランにその考え方をたずねてみました。

GT300クラスの様子。#61 SUBARU BRZ R&D SPORTはダンロップ、#4 グッドスマイル 初音ミク AMGはヨコハマ、#65 LEON PYRAMID AMGはブリヂストンだ
GT300クラスの様子。#61 SUBARU BRZ R&D SPORTはダンロップ、#4 グッドスマイル 初音ミク AMGはヨコハマ、#65 LEON PYRAMID AMGはブリヂストンだ

 ヨコハマは、環境性能や安全性などを自動車用タイヤに求められる当然の性能として位置づけるいっぽうで、付加価値として「クルマを操る楽しさを追求」しているといいます。

 モータースポーツに参戦するのは、そうした姿勢の表れであると同時に、モータースポーツを支えることにある種の使命感を抱いていることが理由のようです。また、同じ考え方から、自動車メーカーのワークスチームやプロフェッショナルドライバーが参戦するトップカテゴリーだけでなく、アマチュアのチームやドライバーが出場する“グラスルーツ・カテゴリー”にもタイヤを供給している点にヨコハマの特徴があります。

 いっぽうのミシュランは、モータースポーツ活動を通じてブランドの認知度を高めるほか、モータースポーツ活動で得た技術やノウハウを市販車用タイヤにフィードバックするとともに、自分たちのテクノロジーがライバルに対してどのような位置関係にあるのかを確認する目的でモータースポーツに参戦しているといいます。

 じつは、ヨコハマもミシュランと同じように、レーシングタイヤで培った技術を市販車用タイヤにフィードバックしているそうです。

 2メーカーにその具体例について質問したところ、「少し濡れた路面でもよくグリップするコンパウンド(タイヤの接地部分に使われるゴム素材のこと)の開発で、スーパーGTの技術が役立った」とほぼ同じような回答を得ました。これはとても興味深い点だといえます。

 さらにミシュランは、技術の流れがレーシングタイヤから市販車用タイヤへの一方向だけでなく、市販車用タイヤの技術がレーシングタイヤに転用されることもあると教えてくれました。

 たとえば、ミシュランがスーパーGT用に開発した最新のウエットタイヤは、市販車用のスポーツタイヤ「パイロットスポーツ・カップ2」をベースに設計したトレッドパターン(タイヤ接地面の模様)を採用しているといいます。

 この点は、先ほど説明した「スーパーGT用のコンパウンド技術が市販車用タイヤにも活用されている」こととも深く関連しているようです。

 ときに300km/h近いスピードで疾走することもあるスーパーGTのマシンと、私たちが普段乗っているクルマのタイヤが意外なほど近い関係にあることは、驚きであると同時にとても興味深いことといえるでしょう。

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