迫力ないなんて言わせない! 電気で走るモータースポーツ「フォーミュラE」の今後とは
じつは前途多難!? アウディやBMWなど有名メーカーが撤退
マシンに関する規則やその進化もフォーミュラEの見どころのひとつです。
F1と違って、フォーミュラEは参戦コストを削減するため、主催者が選んだ部品を全チームが使わなければいけないワンメイク制が幅広く採用されています。
現在ではその対象が徐々に狭まってきていますが、それでもマシンのモノコック(車両の基本骨格)や外観は全車共通。電気自動車の心臓といっても過言ではないバッテリーも全車が同じメーカー、同じ仕様のものを使うことが義務づけられています。
ちなみに、2014年に始まった当初は、ひとつのバッテリーで1レースを走りきることができず、途中で充電済みのバッテリーを積んだマシンにドライバーが乗り換えるという、他のレースでは見られない光景が繰り広げられたこともありますが、2018-2019年のシーズン5から導入された第2世代のマシンは、ひとつのバッテリーで1レースを走り切れるまで性能が向上しました。
タイヤは全車がミシュランを履いています。ただし、コンディションにかかわらず、1種類のタイヤしか用意されていないというのも興味深い点です。
いっぽうでモーター、インバーター、ギアボックス、リアサスペンションなどは2015-2016年のシーズン2から各チームが独自に開発していいことになっています。
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フォーミュラEには数多くの自動車メーカーが参戦しているのも特徴のひとつで、2017年-2018年のシーズン4にはジャガー、ルノー(シーズン5から日産にバトンタッチ)、BMW、アウディ、DS、マヒンドラ(インド)など合計9つのメーカーが参戦。
2019-2020年のシーズン6はここにメルセデス・ベンツとポルシェが加わる活況を呈しましたが、シーズン7を最後にアウディとBMWが撤退。メルセデス・ベンツもこれに続くと見られています。
その理由については明らかになっていませんが、各メーカーが投じるコストに対して、ブランド知名度の向上に代表されるシリーズ参戦のメリットが小さいことが原因だと推測されます。
また、「フォーミュラEはエンジン音がしないのでつまらない」という声もよく耳にしますが、それは既存のレースに慣れ親しんだファンの意見であって、電気自動車に憧れを抱く、従来のレースファンとは異なる新しい層には、むしろこれが新鮮に映る可能性もあるでしょう。
いずれにしても、参戦コストを低く抑えながら、エンターテイメント性の高いイベントを実現することが、今後のフォーミュラEにもっとも必要なことだと私は考えています。
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