ポルシェと違法電動キックボードが衝突事故! 警察も知らなかった?「電動キックボード」の実態とは

事故を起こしたキックボードは「絶対に公道を走ってはいけない」

 事故を起こした電動キックボードはどのような仕様なのでしょうか。

 現場での目撃と立て看板の写真からして「T9/T10」という機種である可能性が高いことがわかりました。

 T9/T10とは、シンガポールFalcon PEV社が生産する「ZERO9」のOEM版で世界トップクラスの販売台数を誇るシリーズです。

 ●T9(原付1種)600W
 モーター出力は600W。最高速40km/h、走行可能距離45km。原付免許(普通自動車免許)でも乗れる。

 ●T10(原付2種)1000W
 T9の上位機種。モーター出力は1000W。最高速48km/h、走行可能距離70km。バッテリー容量(18.2Ah)も大幅アップした前後ディスクブレーキ仕様。

西麻布で発生した事故の目撃情報を求める看板(撮影:筆者の友人撮影)
西麻布で発生した事故の目撃情報を求める看板(撮影:筆者の友人撮影)

 保安基準を厳格に順守し、正しく安全な公道走行ができる仕様の「T9/T10」だけを取り扱う専門店「e-SCOOTER SHOP Tamo」で販売を担当する佐藤氏に話を聞きました。

「画像のものは『T10』の『インターナショナルモデル』と呼ばれる機種です。

 ハンドル周りを見ると自転車用のベルがついています。日本でこの仕様を販売している業者は存在しないのでおそらく個人輸入したものと思われます。絶対に公道を走ってはいけない状態です。

 T10にはインターナショナルモデルと、日本の公道仕様向けに作られた特注モデルがあります。

 インターナショナルモデルでは『前照灯が電源オン時に点灯しない → 原付は前照灯の常時点灯が必要』『ブレーキ灯が点滅する → 点滅ではなく点灯させることが必要』です。

 この2点が公道仕様に変更する際の大きな問題点となる為、日本向けの公道仕様モデルではまずここを特注で変更してもらいます。

 さらに車両本体を1度分解し、ホーンやウインカー、ナンバー灯、尾灯、ブレーキ灯、ナンバープレートホルダー、ミラーなどを装着し必要な箇所の電気系統の変更もおこないます。

 T10のインターナショナルモデルはそもそものベースが違う為、そこから公道仕様に仕上げることはかなり難しくなります」

※ ※ ※

 電動キックボードの専門家でもある佐藤氏の話から、事故を起こしたキックボードはT10インターナショナルモデルという機種で、個人輸入などで購入した「日本の公道を絶対走ってはいけない」仕様の電動キックボードであることがわかりました。

 クルマやバイクの運転者にとって、知識もモラルも乏しい無免許、ナンバー無しの電動キックボードと同じ道を走ることは恐怖しかありません。

 安全なはずの歩道を暴走し、歩行者と接触する事故も急増しています。

 ノーヘルを認めることや免許不要などの規制緩和は安全面で大きな問題があるのはもちろん、警察の取り締まりや購入者の誤解を招きやすくなると考えられるため、電動キックボードの問題がより複雑になることが懸念されています。

【画像】目撃情報、求む! これが事故を起こした違法電動キックボード(15枚)

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画像ギャラリー

Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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