新型「Z」も影響を受けている? 昭和に誕生した伝説級のスポーツカー3選
1970年代の初頭、日本で排出ガス規制が強化される直前には、数々の名車が誕生しました。そこで、1970年代の始めに発売された伝説級のスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
1970年代初頭に誕生したレーサーイメージのスポーツカーを振り返る
日本でマイカーの普及が加速したのは1960年代の後半から1970年代にかけてで、自動車保有台数は1967年には1000万台を突破しました。
また、1965年には名神高速道路が開通し、1969年には東名高速道路も開通するなど、日本もハイウェイ時代に突入し、国産車の高性能化も始まります。
そうした背景から国産メーカー各社はモータースポーツへの参戦も積極的におこない、そこで培った技術を市販車にもフィードバックすることで、高性能化が一気に加速。
そこで、1970年代の始めに発売された伝説級のスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「TE27型 カローラレビン」
1966年に、マイカー時代の到来を見据えたトヨタ初代「カローラ」が誕生。トヨタの目論見どおりカローラはヒットして、日産(ダットサン)「サニー」とともに大衆車市場をけん引しました。
そして、1970年には2代目が登場し、よりモダンなデザインとなり性能向上も果たします。
この2代目カローラの2ドアクーペをベースに開発され、比較的安価で高性能なモデルとして1973年に初代「カローラレビン」が誕生しました。
外観ではシルエットはカローラクーペと同一ながら、レーシングカーをイメージさせるリベット留めのオーバーフェンダーを前後に装着。
トップグレードのエンジンは初代「セリカ 1600GT」用に開発された1.6リッター直列4気筒DOHCの「2T-G型」を搭載し、有鉛ハイオク仕様で最高出力115馬力(グロス、以下同様)を発揮しました。
無鉛レギュラー仕様の「2T-GR型」でも110馬力を誇り、さらに廉価版の「レビンJ」もラインナップされ、外観は同仕様ながらエンジンは最高出力105馬力(有鉛ハイオク仕様)の1.6リッター直列4気筒OHV「2T-B型」を搭載。
足まわりはフロントにストラット、リアはリーフスプリングのリジッドアクスルと、目新しさはありませんが当時のFR車では定番といえ、後にコイルスプリングに変わりつつ「AE86型」まで継承されました。
初代レビンはラリーをはじめモータースポーツでも活躍したことで、走り好きな若者たちから絶大な人気を誇り、今でも型式「TE27型」から「ニイナナ」の愛称で呼ばれ、カローラシリーズのなかでも別格の存在です。
●日産「S30型 フェアレディ240ZG」
日産は1969年に、3代目「スカイライン セダン」をベースにした高性能モデルの初代「スカイラインGT-R」を発売。レース勝つことを目的に開発され、量産車世界初の2リッター直列6気筒DOHC24バルブ「S20型」エンジンを搭載しました。
そして、同年には生粋のスポーツカーとして初代「フェアレディZ」が登場しています。
フェアレディZは欧州製スポーツカーに匹敵する動力性能を達成。ロングノーズ・ショートデッキの2シーター・ファストバックというフォルムは、まさにFRスポーツカーの作法どおりです。
スタンダードモデルには最高出力130馬力の2リッター直列6気筒SOHCの「L20型」エンジンを搭載し、さらにモータースポーツベース車といえる「フェアレディZ432」にはスカイラインGT-Rから最高出力160馬力のS20型が移植されました。
そして、1971年には北米と英国向けに販売されていた「DATSUN 240Z」と同じ、最高出力150馬力を発揮する2.4リッター直列6気筒SOHCエンジン「L24型」を搭載する、「フェアレディ240Z」シリーズを追加ラインナップ。
この240Zシリーズのトップに位置していたのが、「Gノーズ」と呼ばれる専用のフロントバンパーにリベット留めのオーバーフェンダー、リアスポイラーが装着された「240ZG」です。
240ZGの外観は、スカイラインGT-Rとともに活躍していたツーリングカーレース仕様のフェアレディZを彷彿とさせました。
しかし、1973年にはオイルショックの影響や排出ガス規制の強化から、Z432と240Zシリーズの販売を終了。
なお、2021年8月18日(米時間)に発表された新型「Z」のヘッドライトは、240ZGの透明なカバーで覆われたヘッドライトをモチーフとしています。
●三菱「コルトギャランGTO」
かつて三菱は「ランサーエボリューション」シリーズに代表されるように、国内外のラリーで活躍してきました。
なかでも初期に活躍したのが1969年発売のセダン「コルトギャラン」であり、さらに高性能車のニーズの高まりから、1970年には派生車として2ドアハードトップ「コルトギャランGTO」が登場。
外観はフロントノーズからテールエンドまで続く「ダイナウェッジライン」と呼ばれたサイドラインのファストバックで、トランクリッド後端を跳ね上げたダックテールによって美しいサイドビューを演出。
またフロントフェイスはコルトギャランと異なり、丸目4灯のヘッドライトを配置した逆スラントノーズで、よりシャープな印象です。
エンジンは発売当初1.6リッター直列4気筒SOHCのみでしたが、発売から1か月後には最高出力125馬力を誇る1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載した「コルトギャラン GTO MR」が登場。
しかし、排出ガス規制の強化から1972年にはGTO MRの生産を終了しました。その代わりに1973年には最高出力125馬力の2リッターSOHCエンジンを搭載する「コルトギャランGTO GS-R」が登場し、高性能モデルの証であるオーバーフェンダーが4輪に装着されるなど、さらに迫力ある外観へと変貌しました。
その後、コルトギャランGTOシリーズはさらなる排出ガス規制の強化からパワーダウンを余儀なくされ、1978年に一代限りで消滅。
なお、GTOの名は1990年に復活し、MRは2004年に「ランサーエボリューションVIII MR」の登場によって復活を遂げました。
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前述のとおり新型Zが発表され、2代目となるトヨタ「GR 86」とスバル「BRZ」の2台も発売を控えているなど、国産スポーツカーは活気が出てきました。
近年はニーズの変化からスポーツカーのラインナップは減少している状況のなか、新型の登場は朗報といえます。
しかし、販売台数の劇的な向上は難しいでしょう。今後、世界的な市場でスポーツカーが絶滅することはないと考えられますが、電動化への移行もあり、次世代のモデルについては楽観視できません。
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