集中豪雨でクルマが水没!? 車内に閉じ込められたときに取るべき行動とは
冠水した道路を無理矢理走り抜けるのは危険
JAFの実験では水深60cm程度でドアが開きづらくなってしまうとの実験結果でしたが、じつはタイヤの半分程度まで水没してしまうとさまざまなトラブルが発生するといいます。
最近の集中豪雨などではタイヤを超える高さまで水位が上がってしまうケースは多くありそうです。
栃木県の整備工場に勤める整備士Tさんに話を聞いてみました。

「基本的にクルマの耐水性は、タイヤ半分程度までと考えておいていいと思います。そのあたりがちょうどサイドシル付近になり、これ以上になると車内に浸水がはじまります。
とくに注意して欲しいのがピラーの付け根のあたりです。ここには配線が集中しており、Aピラーの下には電気系のハーネスやコネクター、カプラーなどが収納されています。しかし浸水は想定されておらず、ほとんど防水処理されていません。
Bピラーの付け根も同様で、格納された配線に対しての防水処理はほとんどなく、水浸しになると電気系が動かなくなってしまいます」
悪路に強いイメージがあるSUVですが、乗用車ベースのモデルの最低地上高は200mm程度。それ以上の水深ではアンダーフロアが水浸しになることが予想されます。
電気系統がダメになると、パワーウインドウは開かなくなるため、クルマが浸水してドアや窓が開けられなくなる前に脱出することが理想です。
また、ニュースなどでよく見かけるのが、冠水した道路を無理矢理走行していくクルマです。
その場から早く立ち去りたい気持ちもわかりますし、止まるよりは走り抜けたほうが安全そうですが、大雨による地盤沈下で道路が陥没していることもあり、さらに濁った水が溜まっている状況では陥没している箇所がわからないので大変危険です。
万が一クルマが動かなくなってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
「最近では『緊急脱出用ハンマー』などを推奨するケースも多いです。素手では窓ガラスは割れないですし、車内にありそうな硬いものでも割れないと思うので、いざというときのために備えておくといいでしょう」(整備士 Tさん)
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窓ガラスを割って脱出する際、サイドウインドウやリアウインドウを割るのが望ましいとされています。
フロントガラスは「合わせガラス」を用いることが法律で義務付けられているため、割ろうとしてもヒビが入るだけです。
一方、サイドウインドウやリアウインドウは強化ガラスが用いられており、普通のガラスよりも割れにくくできていますがハンマーであれば割れる可能性が高いのです。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。













