日本で販売されなかったのが残念! 日本未発売の珍車3選
1960年代から国産メーカーは本格的な海外進出を果たしました。今では国内モデルとは異なる海外専用車を販売することが一般的になっています。そこで、日本未発売だったユニークなモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
日本では販売されなかったユニークな日本車を振り返る
日本の自動車メーカーが本格的な海外進出を果たしたのは、1960年代からです。当初は日本で販売していたモデルを仕向地に適した仕様に改良して輸出していましたが、1980年代には海外に工場を設立。輸出と並行して現地生産を開始しました。
現地生産が軌道に乗ると開発も海外でおこなうようになり、現地のニーズに適したモデルを独自で販売。今では日本で販売されない海外専用車を各社ラインナップしています。
そうした海外専用車のなかには、ユニークなモデルも存在。そこで、日本未発売だった珍車を、3車種ピックアップして紹介します。
●マルチスズキ「セレリオ ディーゼル」
スズキは1980年代初頭に他メーカーに先駆けてインドへ進出し、インド政府と合弁会社を設立。今ではインドを代表する自動車メーカーとなったマルチスズキインディアです。
マルチスズキのクルマはもはやインドの国民車といえ、数多くのインド専用車(アジア圏に輸出もおこなっている)を展開していますが、そのなかの1台が2008年に誕生した「セレリオ」です。
セレリオはAセグメントに属するコンパクトな5ドアハッチバックで、インドだけでなく欧州などにも輸出されました。
そして2014年に2代目が登場し、翌2015年には軽量・コンパクトな800cc直列2気筒DOHCターボディーゼルの「E08A型」エンジンを搭載したモデルを追加ラインナップ。
最高出力は48馬力とかなり控えめですが最大トルクは12.7kgmを発揮。このトルクは1.3リッターガソリンエンジンと同等で、850kgほどの軽量な車体には十分にパワフルだったといえます。
セレリオにディーゼルエンジンを搭載する際には、エンジンの取り付け方法や車体剛性の最適化、吸音材の追加などをおこない、エンジンから伝わる振動や音を軽減して快適性が高められていました。
現在もインドで販売されているセレリオですがディーゼルエンジンはラインナップから廃止され、1リッター直列3気筒のガソリンとCNG(圧縮天然ガス)が搭載されています。
世界でも類まれな小型2気筒ディーゼルでしたが、短命に終わってしまいました。
●ホンダ「アコード タイプR」
ホンダ車における特別な高性能モデルといえば「タイプR」シリーズですが、「NSX」を皮切りに「インテグラ」「シビック」と、これまで3車種が展開されました。
ところが、日本で販売されなかったタイプRが存在。それが1998年に欧州のみで販売された「アコード タイプR」です。
ベースとなったのは6代目アコードで、新開発の「フレキシブルプラットフォーム」を採用したことから、同じアコードでも日本向け、北米豪州向け、そして欧州向けの大きく分けて3タイプが存在していました。
この欧州向けアコードをベースにタイプRが開発され、日本でユーロRの発売は2000年ですから、タイプRの方が先にデビューしていたことになります。
エンジンは最高出力212馬力を発揮する2.2リッター直列4気筒DOHC VTECを搭載し、トランスミッションは5速MTのみです。
また、サスペンションが強化され、ヘリカルLSD、デュアルマフラーを採用し、外観では大型の専用リアウイングを含むエアロパーツを装着。内装ではレカロ製シート、MOMO製ステアリングホイール、アルミ製シフトノブなどが装備されるなど仕様的にはユーロRとほぼ同等で、国内のタイプRシリーズほどハードなチューニングではありません。
日本ではユーロRがヒット作になりましたがアコード タイプRはヒットすることなく、2002年に7代目アコードの登場と同時に消滅してしまいました。
●サイオン「tC」
トヨタは1960年代初頭から、本格的なアメリカ進出を果たしました。今では数多くの北米専用車を生産・販売しています。
そして、2003年には若いユーザーをターゲットとしてブランドのサイオンを展開。日本の「bB」や「86」などをサイオンブランドのモデルに改良して販売しました。
ラインナップは基本的に日本国内モデルをベースにしていましたが、2004年にサイオンブランド専用モデルとして「tC」が誕生。
tCはコンパクトな3ドアハッチバッククーペで、ボディサイズは全長4420mm×全幅1755mm×全高1415mm。エンジンは2.4リッター直列4気筒を搭載するFF車です。
外観は2ドアクーペの「FR-S」(86)がシャープな印象だったのに対し、tCは極端なショートデッキでカタマリ感のあるカジュアルなデザインでした。
2010年には2代目が登場し、基本的なフォルムやサイズ感は初代からのキープコンセプトで、フロントフェイスは精悍なデザインに一新。
搭載されたエンジンは180馬力を発揮する2.5リッター直列4気筒のみで、トランスミッションは6速ATと6速MTが設定されました。
2014年にはさらにフロントフェイスが変更され、キーンルックが取り入れられました。同時にサスペンションやATのシフトプログラムがスポーティな味付けにチューニングされるなど、FFスポーツカーとしてのポテンシャルを向上。
しかし、2016年にトヨタはサイオンブランドを廃止。トヨタブランドに移行した86に統合されるかたちでtCは生産を終了しました。
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本文で紹介したアコードですが、これまでも海外専用モデルが数多く存在し、とくにアコードが主力車種のひとつである北米では、さまざまなモデルが展開されました。
なかでも日本で馴染み深いのが「アコードクーペ」で、1988年から1997年まで3代にわたって輸入・販売されましたが、北米では2018年まで7代にわたって販売されており、どのモデルも洗練されたフォルムが印象的です。
アコードクーペは需要の低下から消滅してしまいましたが、消えたのが悔やまれる1台といえるでしょう。
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