運転中に地震や洪水が発生したらどう対処? 被害を受けたクルマはどこまで修復可能?

クルマへのダメージで深刻なのは水害!?

 地震や洪水などがクルマに与えるダメージでまず考えられるのが、倒壊物や落下物によるボディの破損やキズ・凹み、あるいは窓ガラスが割れたりすることです。

 また、地割れやマンホールの突起などで足回りにかなりのダメージが発生する可能性もあります。

 自然災害で受けたクルマのダメージは、どこまで修理できるのかを現役の整備士 Kさんに聞いてみました。

クルマは下からの浸水に弱い
クルマは下からの浸水に弱い

「シャシが歪むほどの衝撃でなければボディの修復は可能です。サスペンションなども段差による衝撃より、ダンパーのオイルシール内に水分が入るほうが被害は大きいです」

 建物や木の倒壊などによるダメージも大きいのですが、地震における津波や台風・ゲリラ豪雨などによる洪水など、水害にも注意が必要です。

 クルマは私たちが考える以上に水に弱い乗り物だといえ、ボディやルーフは通常レベルの雨を考慮して防水対策が施されていますが、足元からの水はそこまで想定されていません。

 下からの水に対しての脆弱性を、前出のKさんは指摘しています。

「クルマの構造は、上からの水に対してはかなり防水性や耐水性を確保しています。しかし下からの水には非常に脆弱な作りといえます。

 とくに車内に関しては防水性がほとんどないので、フロアが浸水するとフロアカーペットまで濡れ、エアコンやナビなどの精密機器の配線(またはカプラー部分)などが浸水すると、漏電や接触不良を起こす可能性もあります」

 最近では線状降水帯や局地的ゲリラ豪雨などで、道路が冠水することも増えていますが、冠水路にクルマが浸かってしまうと直せないケースが多いといいます。

「土石流や氾濫した泥水などはたくさんの不純物が混ざっていて、クルマのあらゆる隙間に入り込んでしまいます。

 ある程度は洗い流せたとしても、すべては取り切れませんし、乾燥後は配線関係にトラブルがないか確認しなければいけなくなります。

 しかしそれ以上に泥水特有の臭いがどうしても取れないものです。もし車両保険などで対応できるのであれば、修理より買い換えるほうがいいと思います」(整備士 Kさん)

 ちなみに下から水が浸入すると、ドライブシャフトやコンプレッサー、オルタネータ、またほかのオイル類にも混入してしまうと修復は難しいといいます。

「車種によって多少の差はありますが、前後バンパーまでが浸水のデッドラインと考えてよいでしょう。

 洪水時や大雨のなかで運転しなければならないときは、立体交差やアンダーパスなどの浸水しやすい道路は迂回するのが賢明です」(整備士 Kさん)

 また、技術的な部分での修復が可能だとしても、ネックになるのは修理費でしょう。一般的な任意保険の場合は「対車両」や「対歩行者」などは補償対象ですが、自然災害の場合は「地震特約」などに加入していないと対象外になってしまケースが多いといわれています。

 ただしこの地震特約も「自然災害が原因による全損」となった場合に限定されているケースも多く、地震の被害でクルマが大きく破損したり、津波や洪水で水没してしまった場合にのみ全損扱いになるようです。

 全損の定義は保険会社によって違いますが、自然災害の補償は上限が50万円程度とされており、それでいて地震特約に加入すると年間約5000円の保険料アップ。

 全損で50万円ほどしか支払われないのであれば、いざクルマを買い換えることになっても頭金の一部にしかならず、地震特約に加入する意味はあまりないかもしれません。

 ただ最近は、こういった自然災害への支払いに対して保険会社も以前よりは対処してくれるようになっていますので、被害にあった場合は保険会社に確認するとよいでしょう。

※ ※ ※

 自然災害が発生したときにクルマの使用はかなり制限されると思いますが、そういった事態に備えて燃料は常に多めに入れておきたいところです。

 もしライフラインが寸断されたらクルマは一時的な避難場所になりますし、エンジンがかかってオルタネータが稼働すればスマホなどの充電もある程度は可能です。

 災害に備えて、最低限の防災グッズなどもクルマに搭載しておくとさらに安心かもしれません。

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