斬新なアイデアは高評価! だけど長続きしなかった車3選

各メーカーとも新型車を開発する際に、斬新なアイデアを織り込むことでライバル車に対してアドバンテージを築こうとします。そこで、アイデアは秀逸だったものの長続きしなかったモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

ナイスなアイデアだったけど後が続かなかったクルマを振り返る

 自動車メーカーが新型車の開発をおこなう際には、綿密なリサーチをおこないます。なかでもライバル車の存在は重要で、ライバルに対してアドバンテージになるような特徴を明確にしないと、ユーザーに対してのアピールは難しくなっていまいます。

斬新なアイデアを盛り込むも後が続かなかったクルマたち
斬新なアイデアを盛り込むも後が続かなかったクルマたち

 そのため、各メーカーとも斬新なアイデアや新技術を新型車に織り込むのですが、長続きしなかったモデルも存在。

 そこで、アイデアは秀逸だったものの後が続かなかったモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「アルト」

軽ボンネットバンながらスライドドアを採用した「アルト スライドスリムドア」

 1979年に誕生した軽ボンネットバンのスズキ初代「アルト」は、47万円という驚異的な低価格で発売されると大ヒットを記録。1980年代の軽自動車市場は、軽ボンネットバンが席巻するようになりました。

 そして、1988年に発売された3代目アルトでは、斬新なドアを採用したグレードをラインナップ。普通の2ボックス・3ドアハッチバックながら、運転席と助手席の両側スライドドアを採用した「アルト スライドスリムドア」です。

 スライドドアは狭いところでも乗り降りがしやすく、横に駐車したクルマにドアを当ててしまう心配がないというメリットがあり、さらにアルトではシートをドア側に回転させて乗り降りをしやすくする「回転ドライバーズシート」も装備し、女性ユーザーに向けて乗降性の良さをアピールしました。

 しかし、そうしたメリットは受け入れられたといえず、また手動での開閉だったため、女性や年配の人では坂道での開閉が大変という声もあったようです。

 価格も標準車から約3万円高いということもあり、スライドスリムドアが人気となることはありませんでした。

 その後、スライドドアは運転席のみとなり、さらに運転席はスライドドアで助手席側は前後とも通常のドアという変則的な4ドアハッチバックも登場しましたが、4代目アルトからは採用されていません。

 なお、後にプジョー「1007」が両側、トヨタ「ポルテ/スペイド」が助手席側スライドドアを採用して、一定の人気を獲得。

 どちらも電動スライドドアだったので楽な開閉が可能でしたが、すでに生産を終えています。

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●ホンダ「シティ」

デザインが秀逸なだけでなくユニークなアイデア満載だった初代「シティ」

 ホンダは1981年に、斬新なスタイルの3ドアコンパクトカー、初代「シティ」を発売しました。シティ最大のトピックスは、それまでのコンパクトカーの常識を覆す、背の高いルーフを採用したデザインにあります。

 コンパクトなボディサイズはそのままに、いかに室内を広くするかという課題に対し、ルーフを高くすることで実現されました。

 そして、同じくそれまでに無いアイデアだったのが、トランクスペースに原付バイクを収納できるというもので、シティと同時に「モトコンポ」を発売。

 モトコンポはボディ全体をプラスチックで覆い、ハンドルやステップを折りたたんでシートを格納することで、シティのトランクスペースにピッタリと収まる設計となっていました。

 またシティのトランクには、モトコンポを固定するストラップ用のフックを設置されています。

 シティとモトコンポという組み合わせはバイクメーカーでもあるホンダならではの秀逸なアイデアでしたが、実際にはエンジンを止めていてもマフラーからのオイルやガソリンの匂いが車内に充満するし、42kgと軽量なモトコンポながら手軽に積み下ろしができるほどではなく、シティの後に同様なアイデアは実現されませんでした。

 仮に電動バイクを独立したトランクに搭載するならば、より理想的な組み合わせかもしれませんが、そうしたニーズはあまり無さそうです。

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●マツダ「ボンゴフレンディ」

ポップアップルーフを装備し、車中泊ブームを先取りしていた「ボンゴフレンディ」

 自由気ままな旅ができるということから、近年、車中泊がちょっとしたブームになりました。さらに、現在のコロナ禍においては密が避けられることもあり、再び車中泊が注目されています。

 車中泊に最適なクルマというとミニバンやワンボックスバンですが、1995年に登場したミニバンのマツダ「ボンゴフレンディ」は、まさに車中泊に最適な仕様のクルマでした。

 ボンゴフレンディ最大の特徴は、キャンピングカーのようにルーフ部分を電動で持ち上げることで展開される「オートフリートップ」搭載車をラインナップしたことです。

 構造的には2階建てで、1列目と2列目シート間の天井にあるアクセスホールから上の階に移動でき、広さは大人2人が就寝するのにも十分なスペースで、アウトドア派のユーザーからは高い人気を得ます。

 こうしたアイデアは古くからあり、すでに三菱は1972年に「デリカ キャンピングバン」で実現しており、さらに後から改造して架装することも可能でした。

 しかし、ボンゴフレンディは純正のカタログモデルとして採用したことに大きな意義があり、さらに本格的なキャッピングカーではなく、手頃な価格で車中泊に適したモデルというのが斬新でした。

 ところが、ライバルのミニバンがFFというなか、ボンゴフレンディはエンジンを前席下に搭載する旧来のFRだったため、床面が高く室内はライバルよりも狭いというデメリットがあり、ミニバンとしての人気は次第に低迷し、2005年に生産を終了。

 その後、スバル「ドミンゴ」やホンダ「ステップワゴン」「オデッセイ」などもポップアップルーフ仕様を発売しましたが、ヒットすることはなく消滅してしまいました。

 現在は、前述のとおり後から架装する手法が広く普及しており、軽ハイトワゴンでもポップアップルーフ仕様への改造が可能で、車中泊を楽しむユーザーには好評のようです。

※ ※ ※

 冒頭で紹介したモトコンポですが、現在はカルト的な人気があり、海外でも注目されてプレミア価格で取り引きされています。

 ホンダはモトコンポと同様なコンセプトの電動バイクをショーモデルとして試作しましたが、今のところ発売されていません。

 しかし、近年は中国や台湾などの企業がミニ電動バイク、電動キックボードを盛んに開発していることから、再びモトコンポのようなバイクが注目されていいます。ホンダは先見の明があったということでしょう。

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1件のコメント

  1. 斬新なアイデアを取り入れても結局はユーザー次第で続かない場合が多いんだよなぁ…設計者もユーザー目線に立って考え抜いた結果がこれなんだと思うけど、疲れからか不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。 後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員・谷岡が言い渡した示談の条件とは…

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