トヨタ新型「ランクル」登場で競争激化? 最新の高級クロカン車3選

2021年8月2日、トヨタ新型「ランドクルーザー」が満を持して発売されました。ラグジュアリーなクロスカントリー4WD車として世界中で人のランドクルーザーですが、当然、ライバル車が存在。そこで、新型ランドクルーザーとともに、最新の高級クロカン車を3車種ピックアップして紹介します。

新型「ランドクルーザー」とともに最新のクロカン車を紹介

 今やトヨタのみならず日本を代表するクロカン車である「ランドクルーザー」が、14年ぶりに刷新。2021年8月2日に、日本仕様が発表・発売されました。

新型「ランドクルーザー」登場で役者が出揃った高級クロカン車たち
新型「ランドクルーザー」登場で役者が出揃った高級クロカン車たち

 ランドクルーザーシリーズの前身であるトヨタ「BJ型」が誕生したのが1951年で、2021年は生誕70周年という大きな節目の年。ランドクルーザーの新たな門出にはふさわしいといえるでしょう。

 高い悪路走破性と耐久性、信頼性を持つランドクルーザーは世界中の過酷な環境で活躍していますが、加えてラグジュアリーSUVとしても比類なき快適性を発揮します。

 一方で、ランドクルーザーと同様に、世界中のセレブに愛されているラグジュアリーSUVのライバルも存在。

 そこで、新型ランドクルーザーとともに、最新の高級クロカン車を3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「ランドクルーザー」

ボディ、シャシ、メカと、すべてが進化した新型「ランドクルーザー」

 歴代のランドクルーザーシリーズは、「ヘビーデューティ」「ライトデューティ」「ステーションワゴン」の3タイプに分類され、現行モデルのヘビーデューティが海外専用車の「ランドクルーザー 70」、ライトデューティが「ランドクルーザープラド」、そして、今回発売された新型ランドクルーザー(300シリーズ)がステーションワゴンに該当します。

 新型ランドクルーザーは伝統のラダーフレームにボディを架装する構造ですが、新開発の「GA-Fプラットフォーム」を採用。従来比で剛性を20%向上したのと並行して、ボディに高張力鋼板を使い、ボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミ製とするなどにより、車重は約200kgもの軽量化を実現。

 外観はスクエアなステーションワゴンタイプのデザインを継承していますが、本格クロカン車としてのタフさと、洗練された高級SUVとしての荘厳さを表現。ボンネットの中央を凹ませて衝突安全性能と前方視界の両立を図りながら、デザイン上のアクセントにもなっています。

 ボディサイズ(ZXグレード)は全長4985mm×全幅1980mm×全高1925mm、ホイールベース2850mmという堂々たる体躯で、内装では7人乗り3列シートと、5人乗り2列シートをグレード別に設定。

 グレード構成は装備によって分かれ、エントリーモデルの「GX」からトップグレードの「ZX」まで4タイプに加え、新たにスポーティな内外装とした「GRスポーツ」がラインナップされました。

 内装は過度にゴージャスに演出されることなく、センターの12.3インチ大型モニターと液晶メーターによってあらゆるインフォメーションを表示。さらに空調やオーディオ、トランスファーやデフロックなど走行・駆動に必要な操作を物理的なスイッチとすることで、直感的な操作を可能とするなど、すべてが機能的に設計されています。

 パワーユニットは最高出力415馬力を誇る3.5リッターV型6気筒ガソリンツインターボ、または最高出力309馬力の3.3リッターV型6気筒ディーゼルツインターボを搭載。トランスミッションは全車10速ATで、駆動方式は6つのモードを切り替え可能な「マルチテレインセレクト」を採用したフルタイム4WDです。

 さらに、車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートする「マルチテレインモニター」を設定し、ダウンヒルアシストコントロール、クロールコントロールなどを継承するなど、高い悪路走破性は従来以上に進化。

 安全性も最新の「Toyota Safety Sense」を搭載し、セキュリティの面では指紋認証スタートスイッチがGXを除く全車標準装備となるなど、万全な体制となっています。

 新型ランドクルーザーの価格(消費税込)は、ガソリン車が510万円から770万円。ディーゼル車(5人乗りのみ)はZXとGRスポーツだけの設定で760万円(ZX)、800万円(GRスポーツ)です。

 なお、発売された時点で多くのバックオーダーを抱えており、現時点で納期は1年以上かかる見込みとアナウンスされています。

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●日産「パトロール NISMO」

まさにスポーティな重戦車といったイメージの「パトロール NISMO」

 長くランドクルーザーのライバルとして存在しているのが日産「パトロール」です。日本では2007年まで「サファリ」の名で販売されていましたが、現在も海外専用のラグジュアリーSUVとして販売を継続しています。

 初代パトロールが誕生したのは1951年と前述のBJ型と同年で、2021年で誕生70周年を迎えたことを記念し、日産中東法人は2021年3月31日に「パトロール NISMO」を中東地域限定で発売しました。

 外観はこのジャンルでは標準的なスクエアなフォルムの5ドアステーションワゴンタイプで、ボディサイズは全長5315mm×全幅2035mm×全高1940mmと、新型ランドクルーザーよりもさらにひとまわり大きい巨体です。また、仕向地によっては標準モデルに3ドアのショートボディもラインナップ。

 フロントフェイスはハニカム構造の立体的なメッシュを採用したフロントマスクにVモーショングリル、水平方向のクロームラインが存在感を際立たせています。

 リアデザインは全幅を強調するためにデザインされたバンパーとされ、F1マシンからヒントを得たLEDリアフォグランプを搭載するなど、NISMOモデルらしくスポーティに演出

 内装はアルカンターラとレザーの組み合わせ、ラグジュアリーSUVにふさわしくゴージャスです。

 搭載するエンジンは5.6リッターV型8気筒自然吸気ガソリンで、最高出力428馬力を発揮。「GT-R」のエンジンを組み立てる「匠」によってチューニングされたといいます。

 ほかにもビルシュタイン製のショックアブソーバーを採用したサスペンションや、ブレーキ性能の強化、クロカン車ながら空力性能を向上させるエアロパーツを装備するなど、NISMO流のチューニング&ドレスアップが特徴的です。

 パトロール NISMOは2021年4月から中東全域で販売が開始され、価格は日本円換算で約1160万からとなっています。

●ランドローバー「ディフェンダー 110/90」

ラグジュアリーさよりも質実剛健なイメージを強調した「ディフェンダー」

 長年、世界中のセレブに愛されているラグジュアリーSUVに特化した英国のメーカーであるランドローバー。そのなかでも長い歴史があるモデルが、「ディフェンダー」です。

 ディフェンダーの前身のモデルはその名もズバリ「ランドローバー」で、前出の2台よりも古い1948年に誕生しました。その後ディフェンダーに改名されますがフルモデルチェンジされることなく改良が重ねられ、2015年まで生産されていました。

 そして、2020年4月に2代目となる新型ディフェンダーが発売されました。

 新型ディフェンダーの外観は従来モデルをオマージュしながら、最新のデザインエッセンスを取り入れたボクシーなフォルムを採用。

 ボディタイプも先代を継承してショートホイールベースの「90」と、ロングホイールベースの「110」をラインナップしており、このホイールベースの長さから付けられたグレード名(90/110インチから由来)も先代から受け継いでいます。

 ボディサイズ(エアサス車)は、90が全長4510mm×全幅1995mm×全高1970mm、110が全長4945mm×全幅1995mm×全高1970mmとグローバルで販売されるミドルクラスSUVとしては標準的です。

 また、ランドローバーといえばラグジュアリーなモデルでも本格的なオフロード走行を想定した設計で、共通してスペックには渡河性能が記載されており、ディフェンダーの場合は水深900mmまで対応するなど完全にクロカン車です。

 シャシはランドローバー史上もっとも頑丈なボディ構造といわれるアルミ製モノコックを採用。従来のラダーフレームに比べ3倍のねじり剛性と同時に軽量化も実現しました。

 内装はゴージャスさよりも実用的なアウトドアギアをイメージさせるデザインで、90が2列シートの5人乗り、110が7人乗り3列シートです。

 搭載されるエンジンは最高出力300馬力を発揮する2リッター直列4気筒ガソリンターボに、同じく最高出力300馬力の2リッター直列4気筒ターボディーゼルが110に設定され、トランスミッションは全車8速AT。

 また、4WDシステムは7種類のモードから選択でき、優れた悪路走破性はもちろんのことオンロードでも上質な走りが可能です。

 価格(消費税込)はデェフェンダー90が551万円から、ディフェンダー110は619万円からと、新型ランドクルーザーとは車格的にも競合しているといえるでしょう。

※ ※ ※

 本文中にもあるように、新型ランドクルーザーの納期は1年以上という人気ぶりです。

 というのも、ランドクルーザーシリーズの97%以上は日本で生産されており、世界中に輸出されているため、各国への割当数が決まっていることから、日本ではバックオーダーを抱えることになってしまいました。

 残りの3%弱も主要な部分は日本で組み立て、海外で最終的なアッセンブリーがおこなわれるセミノックダウンとなっているので、実質的にすべてメイドインジャパンといってもいいでしょう。

 ランドクルーザーに共通するコンセプトは「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」です。これを実現するためには高い信頼性と耐久性の実現が必須なことから、今もほぼすべてのモデルが日本で生産されています。

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