もはや車が買える値段! 「ブガッティ」や「300SLR」のチルドレンズカーの深遠なる趣味の世界とは?

コレクターズアイテムとして欧米では愛好家も多いチルドレン・カー。その深遠なる趣味の世界を、対照的なブガッティとメルセデス・ベンツの2台のチルドレン・カーを俎上にあげて紹介しよう。

「キッズカー」よりちょっと大人の乗り物「チルドレンズ・カー」

「チルドレンズ・カー」ないしは「ジュニアカー」は、しばしば呼ばれる「キッズカー」よりは、少しだけ対象年齢が高めのものを指していう言葉のようだ。

 これらのモデルの一部には、モデルとなる「ホンモノ」のクルマの再現度や作り込みの精巧さなど、子供用のおもちゃの領域をはるかに凌駕し、コレクターズアイテム、ないしはアート作品のレベルに達したものも少なくない。

 また、自動車メーカーのなかでもプレミアム志向の高い会社では、裕福なエンスージアストを対象としたチルドレンズ・カーをオフィシャルとして生産・販売する事例が続々と増えている。

 そして、これらのチルドレンズ・カーだけを蒐集するコレクターは欧米に数多く存在するばかりか、専門のミュージアムもいつくか設立されており、国際オークションでは重要なアイテムとして取引されているのだ。

 今回VAGUEでは、クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界における世界最大手、RMサザビーズがアメリカ/イギリス両本社を拠点に同時開催したオンライン限定オークション「OPEN ROADS, MAY」に出品された、2台の「小さな名車」たちのオークションをレビューしよう。

この分野では人気ブランドとなった「ハリントン」製チルドレンズ・カーの第一世代となる1台(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
この分野では人気ブランドとなった「ハリントン」製チルドレンズ・カーの第一世代となる1台(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●ブガッティ「タイプ35 グランプリ チルドレンズ・カーby HARRINGTON」

 最初に紹介するのは、RMサザビーズ米国本社から出品された1台。イギリスに本拠を置く「グループ・ハリントン(Group Harrington)」がプロデュースした、キュートな魅力あふれるブガッティ・グランプリ型のチルドレンズ・カーである。

 グループ・ハリントンは、人気のクラシックカーのためにステンレス製のバンパーを生産・販売するサプライヤーとのこと。その傍ら長年培った技術力を生かして、今世紀初頭からは「Harrington Junior Car」のブランドのもと、往年の名車たちをモデルとした高級なチルドレンカーも製作しているという。

 現在では、AC「コブラ」を模した「COBRA 289」やジャガー「Eタイプ」を模した「Series 1」。フェラーリ「250GTスパイダー・カリフォルニア」を模した「Spyder」。メルセデス・ベンツ「300SLロードスター」を模した「300」。そして最初期のランドローバー(ディフェンダー)を模した「Land Junior」など数多くのラインナップをそろえ、いずれも1万ドル(邦貨換算約110万円)以上で販売されていることが公式HPにて確認できる。

 今回のオークション出品車は、彼らにとっての第1作にあたるモデル。ブガッティ「タイプ35(T35)」をモデルとし、2003年から2009年にかけて生産された約150台のうちの1台である。

 ただ「T35」を名乗ってはいるものの、その作りはかなり大らかといわねばなるまい。現在のブガッティ・オトモビル社が自らラインナップにくわえている「Bebe II」のごとき、厳密に作り込まれたT35の縮小版ではなく、T35シリーズ(T36からT39も含む)、「T37」、「T51」、さらに「T59」からなる一連の「グランプリ・ブガッティ」全体へのオマージュとみる方が自然にも映る。

 たとえば「ブルックランズ」スタイルのウインドスクリーンやエンジンフードの革ストラップとルーバーは、グランプリ・ブガッティ全体の特徴である一方で、8本スポークのアロイホイールは「T35B/T35C」およびT51風。また「T59GP」を思わせる、サイドエキゾースト風デコレーションも施されている。

 加えて、グランプリ・ブガッティの特徴であるアルミ磨きだしのダッシュボード中央には、ヴィンテージ期の様式を忠実に再現したメーターが置かれるほか、ボディサイドに露出したハンドブレーキ用レバーも、グランプリ・ブガッティのそれを彷彿とさせる。

 原動機はブラシレス36V電動モーター。このセットアップのために、12V電池を3基搭載することになっており、バッテリーは最近交換をすませたばかりとのことである。

 RMサザビーズの公式WEBカタログでは「プチ・ブガッティスティ(Petit Bugattisiti=小さなブガッティ愛好家)のための正しいサイズの1台」というキャッチコピーとともに、1万5000-2万ドルというエスティメート(推定落札価格)を設定。そして実際の競売では3万ドル、日本円に換算すれば約330万円で落札されることになった。

 正直なところ、エスティメートの段階からかなり強気な値付けとも感じられてしまったのだが、どうやらモデルとなった名車の再現度とコレクターの「熱度」は必ずしも一致しないことが推測できる。

 この分野では人気ブランドとなった「ハリントン」製チルドレンズ・カーの第一世代にして、生産された数がもっとも希少なモデルであることが、コレクターの求める要素ということなのだろう。

【画像】チルドレンズカーの深遠なる世界へようこそ(32枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー