超絶スペックのスーパーカーなのに快適な乗り心地!? 「マクラーレンGT」の二面性とは
2019年6月に日本上陸をはたしたマクラーレン「GT」は、その名のとおり古典的なグランドツーリングを現代に再定義したモデルになります。レーシングカーの技術を余すとことなく市販車に注入したスーパーカーですが、実際に日本の道を走るとどうなのでしょうか。モータージャーナリスト、こもだきよし氏のレポートです。
630馬力のエンジンに1530kgの軽量ボディ
マクラーレンは、イギリスのレーシングカーメーカーとして有名です。それも世界最高峰のレースのひとつであるフォーミュラ1のコンストラクターとして、その名前を轟かせています。
製造するのはサーキット専用のレーシングマシンで、これまでにF1のコンストラクターズタイトルは8回、ドライバーズタイトルは12回獲得しているという超名門になります。
そんなマクラーレンが1993年から1998年に製造した市販ロードカーが「マクラーレンF1」です。
これはBMWの6.1リッターV型12気筒エンジンをミッドシップに搭載し、中央はドライバーが座り、その両サイドに位置を後ろにずらして2人座れる3人乗りのスーパースポーツカーでした。
マクラーレングループでは、2009年にロードカーを製作する「マクラーレン・オートモーティブ」を設立しました。その前に販売したロードカー第1号となるマクラーレンF1は、この会社の前身であるマクラーレン・カーズの手によるものでした。
1963年に創業したマクラーレン・レーシング・リミテッドのグループ企業として、現在ではロードカーを製作するマクラーレン・オートモーティブが主軸を担っています。マクラーレン・レーシングが持っているレーシングカーづくりのノウハウを余すことなく用いて、世界最高のスーパースポーツカーを製造しているのです。
現在ラインナップされている市販スーパースポーツカーは、「マクラーレンGT」と「マクラーレン720Sクーペ/スパイダー」で、2021年秋にはハイブリッドの「マクラーレン・アルトゥーラ」が日本でも登場予定です。
マクラーレンのライバルといえば、やはりF1レースでもライバルのフェラーリが挙げられます。またランボルギーニもライバルです。
そんななか、マクラーレンGTを試乗したので紹介しましょう。
写真を見てもわかるように、ドアの開け方からして夢のあるスーパースポーツカーを演出しています。
ドアはやや外側に開きながら上に持ち上がるから、実際には乗り降りの邪魔にはなりません。ドアの後部の小さな四角いプレートを指で軽く押すとドアが浮き上がるので、そのまま引き上げればドアが開きます。
カーボンモノコックの車体はサイドシルが高く、乗り込むときはちょっと大変です。ですがドアが開いてしまえば、サイドシルのそばまで大きくえぐられているため、お尻から滑り込ませるのは予想より簡単でした。
車内に乗り込んでしまえば、身体にフィットしたシートが気持ちよく感じます。シート自体は薄くできていますが、ガチッとしっかりした剛性を感じます。ハイパフォーマンススポーツカーを操るためには、やはりこれくらいでないと安心できません。
ドアを閉めるのは、ゆっくり下げればあとはソフトクローズ機能があるので、最後のところでは自動的に引き込まれます。
ウインドシールド(フロントガラス)は、運転席から見ると下の方までえぐられている感じで、スーパーカーなのに視界が良いのが特徴です。前方の道路も割と近くまで見えるため、スピードが出たときに恐怖感を持たないかと心配になりましたが、いざ走ってみると逆にまわりがよく見えることで、緊張感を持たずに安心感につながりました。
運転席の背後にあるのは、4リッター90度V型8気筒ツインターボチャージャーのエンジンです。620馬力・630Nmという性能を発揮します。
車重は1530kgと軽量なので、そのパフォーマンスも期待どおり。0-100km/h加速は3.2秒、0-200km/hは9.0秒、最高速度は326km/hと、十分な性能を発揮します。
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