超楽しいFRスポーツ誕生! トヨタ新型「GR86」をサーキットでアクセル全開! 実力はいかに?
0-100km/h加速は先代比マイナス1.1秒!
サーキット走行の基本は最初のラップを抑えて走ること。この間に基本的なクルマのチェックも出来る。
公道なら少し速いくらいのペースでコーナーに入っていくと、初代モデルより明らかにボディの剛性感が増している。
こういうふうにいうと、皆さんから「剛性感って何ですか?」と聞かれる。これはもう、食べ物でいえば「美味しさ」です。
「一皿100円の回転寿司と、それなりの予算を必要とする美味しいお寿司の違いを文字で表現して」といわれたって難しい。剛性感も同じ。あくまで“感”だから“美味しさ”のように感性です。
強いていえばハンドル切ってから車体の向きが変わるまでの短い時間に感じる応答性の良さや、ボディの一体感のようなもの。
安い包丁でも野菜は切れるけれどグンニャリした感じ。高い包丁使うと気持ち良く切れる。
初代モデルの場合、十分に気持ち良く切れるレベルの高い包丁だったけれど(同じ日に初代も試乗したが超楽しかった!)、それよりさらに良くなったと考えていただけたら嬉しい。
ボディもサスペンションもエンジンも「いいね!」なので、いよいよ全開!
各ギアをレッドゾーンまで引っ張っていくと、前述の「アクティブサウンドコントロール」というエンジン音発生装置がイイ感じでインフォメーションを出してくれる。
慣れてくるとホンモノのエンジン音と同じく、音の変化でレッドゾーンに入る雰囲気を掴めるほど。考えてみたらエンジン音って周囲に迷惑掛けるだけの自己満足行為。ほかのクルマも新型GR86のようにすべきなんだろう。
そして絶対的な動力性能は初代モデルを圧倒している。メーカー自身で公表している0-100km/h加速タイムを見ると、「少し速いね!」というイメージだった7.4秒から、新型モデルは6.3秒へ1.1秒も縮めてきた。
ラリーでいえば200mくらいの直線1本で1秒速いということ。これだけ違うと勝負にならないくらいのタイム差が出てくる。筑波サーキットで走らせたって2秒以上違うのではないだろうか。
ハンドリングは初代の初期モデルとよく似ている。2速ギアで曲がるようなタイトなコーナーだとアンダーステア。速度を抑え気味にしないと曲がってくれない。
3速ギアで曲がる中速コーナーになると、ハンドル切っただけでテールが流れていくオーバーステア傾向になる。本来なら2速も3速も同じ感じで曲がって欲しいところ。
その味を出すのは難しい。先代モデルの場合、3回くらいの改良を受け、2速のアンダーステアが無くなった。最終モデルは後輪駆動車のお手本のように曲がってくれます。
新型GR86はそこまで煮詰まっていない。とはいえ今回はサーキットで走らせるというクルマの限界を超えてからの挙動だから、一般道で不満を感じることはないと思う。むしろ積極的に「楽しい!」と感じるに違いない。
気がついたら試乗会ということを忘れており、素のクルマ好きになってサーキットを走っていました。
時間が許す限りいつまでも走っていたいと思えるほど、新型GR86は楽しいクルマに仕上がっています。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。
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