2035年に欧州が完全EV化!? ハイブリッドもNG? HV元祖のトヨタに与える影響は?
ハイブリッド車が普及する日本はどうなる?
これまでトヨタの各方面に取材している限り、トヨタの電動化戦略は2019年6月に報道陣向けに実施した「EVの普及を目指して」という記者会見で公開された考えが基盤です。
その時点でも2017年に公表した電動化の見通しを、欧州を主体とするグローバル市場の環境変化を捉えて大きく見直しています。その後もレクサスの電動化戦略を早めるなどの修正をおこなってきました。

そして2021年4月の中国・上海ショーでトヨタは、EVプラットフォーム「e-TNGA」を使う「bZ4X」を世界初公開し、「bZシリーズ」を含む新規EVを2025年までにグローバルで15車種に展開すると発表しています。
しかし、こうしたEVシフトを欧州でさらに拡大するため、基本戦略全体を軌道修正することが必要になってくるでしょう。
では、欧州市場での急激なEVシフトや事実上のハイブリッド車の新車販売禁止は日本にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
まず、国の方針としては、2020年12月に発表された「グリーン成長戦略」を2021年1月の通常国会の施政方針演説で菅義偉総理が補足する形で「2035年までに軽自動車を含めて新車100%電動化」を達成目標に掲げています。
あくまでもこれは目標であり、欧州のCO2規制や米・カリフォルニア州のZEV法、中国のNEV施策などのような達成義務を伴う規制ではありません。
また、トヨタの豊田章男社長が日本自動車工業会の会長という立場として、国やマスコミに対して「電動化=EVではない」と主張。
水素燃料や再生可能エネルギー由来のe-フューエルの活用を含めたカーボンニュートラルを進めるべきとの考え方を示しています。
トヨタ以外にも、ホンダや日産、マツダなどの社長や役員は決算発表や将来技術に関する記者発表で、「電動化は国や地域の電力供給体制や社会状況に応じて対応する」という基本的な方針は共通しています。
こうした発言を額面通り受け取れば、ハイブリッド車の普及率が高い日本では、当面電動車はハイブリッド車が主流と思えます。
とはいえ、これまで長年に渡り世界の自動車産業界をリードしてきたドイツが欧州グリーンディール政策で今後一気にEVシフトするなかで、日本市場に対するドイツ車の影響は小さいとはいい切れないでしょう。
現状で、ハイブリッド車を含めた日本市場での電動化の見通しは不透明という表現が妥当かもしれません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。





















