【公道走行可】F1のような「ヴァルハラ」はアストンマーティンの新スーパーカーだ
アストンマーティンが以前からアナウンスしていたハイブリッド・スーパーカー「ヴァルハラ」がついにヴェールを脱いだ。エンジンなどのスペックをレポートする。
950psのモンスターマシン誕生
アストンマーティン初の量産ミッドエンジン・ハイブリッド スーパーカー「ヴァルハラ」の市販モデルの概要が明らかになった。
ヴァルハラの合計出力は950psで、このときの0-100km/h加速はわずか2.5秒、最高速度は330km/hだ。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)のラップタイム目標は、6分30秒に設定されている。
EV専用モードで走行する場合の最高速度は130km/hで、航続距離は15km、予測されるCO2排出量(WLTP)は200g/km未満だ。
ステアリング位置は左ハンドルと右ハンドルの両方から選択可能となっている。
●パワートレインとトランスミッション
パワートレイン・エンジニアリング責任者であるラルフ・イレンバーガーは、次のように説明している。
「ヴァルハラは、私たちがプロダクションカーで何ができるのかを実際に示す最初の機会となります。私たちはV8エンジン用に、専用のインタークーラー、フラットプレーンと呼ばれるクランクシャフトを開発し、強力なハイブリッドシステムと組み合わせました。
そしてもちろん、アストンマーティン初となる専用のデュアルクラッチ・トランスミッションも搭載しています。これらは、ヴァルハラだけでなく将来のアストンマーティン・モデルにとっても不可欠なコンポーネントです。その結果、効率的で超高性能なスーパーカーのための、世界最高レベルのパワートレインが実現しました」
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エンジンはヴァルハラ専用の4.0リッターV型8気筒ツインターボで、エンジンの最高出力750ps/7200rpmをリアアクスルのみに伝達する。これに、2基の電気モーターを備えた150kW/400Vのバッテリー・ハイブリッドシステムによって補完される。
電気モーターは合計3基。フロント・アクスルとリア・アクスルにそれぞれ1基ずつ搭載されており、合計出力950psに対して、さらに204psのパワーを上乗せすることが可能だ。
トランスミッションは、まったく新しい8速DCTを採用。この新しいパドルシフト・ギアボックスは、ハイブリッド時代に対応するために特別に開発されてきた経緯がある。
e-リバース(PHEVの電気モーターを利用し、従来のリバースギアの必要性をなくすことで重量を削減)を備えたトランスミッションは、リア・アクスルにエレクトロニック・リミテッドスリップ・デファレンシャル(e-デフ)を備え、最大のトラクションと俊敏なハンドリングを実現。
電気モーターのパワーは、低速走行時のコントロールとレスポンスを強化し、リバース(後退)時にも使用される。さらに、電気モーターの瞬時に立ち上がるトルクにより、このハイブリッドシステムはV8エンジンをサポートして、センセーショナルな発進加速とレスポンスを提供。
電気モーターとV8エンジンは、DCT内で異なるギアを同時に選択できるため、パフォーマンスがさらに向上し、1000Nmの最大トルク伝達が可能になっている。
●F1譲りのシャシ
ヴァルハラのボディ構造は、新しいカーボンファイバー製コンポーネントを中心にして構築されている。このカーボン・タブの優れた剛性により、サスペンション負荷を絶対的な精度で制御することが可能になった。
サスペンションは、フォーミュラ1スタイルのプッシュロッド・フロントサスペンションが特徴で、インボードに取り付けられたスプリングとダンパーがバネ下重量を減らし、優れたパッケージングを実現している。
リアエンドのマルチリンク・デザインとともに、マルチマチック・アダプティブスプリングおよびダンパーユニットを使用し、走行時の不快な振動を調整して、公道およびサーキットにおける卓越したパフォーマンスを実現した。
サーキット・モードを選択すると、ダウンフォースを最大化するために車高が大幅に低下。公道走行用のモードでは、フロントアクスル・リフトシステムがノーズを持ち上げて、アプローチ・アングルを確保してくれる。
ブレーキは、カーボンセラミック・マトリックスブレーキ(ブレーキ・バイ・ワイヤー・テクノロジーを採用)となり、特別に開発された特注のミシュラン・タイヤ(フロント20インチ、リア21インチ)がセットされる。
ラインハルト・フォン・ローエングラムのファンとしては、ヴァルハラって名前に食いつくね。