クルマは元素からできている? 切っても切れない化学と自動車の密接な関係とは
水兵リーベ僕の船……。義務教育の化学で習う各種元素に関する知識は、近年話題となる脱炭素化なども含め、自動車づくりと密接に関連しているといいます。和光市のニホニウム通りと出会った筆者(清水和夫)と、見ていきましょう。
和光市名物「ニホニウム通り」との出会い
「バケガクって面白いなぁ!」
先日、和光市にある本田技術研究所を訪れた時に私(清水和夫)はとても面白い経験をした。
渋谷駅から和光駅まで一本の地下鉄でいけるので、クルマを自宅においてでかけた。
和光駅に着き、スマートフォンでグーグルマップを開いて、本田技術研究所(本田技研)に向かっているとき、ふと足元を見ると歩道に埋められたタイルに気づいた。
そこには「Nd」(ネオジウム=原子番号60)という元素記号が書かれていたのだ。さらに進むと「U」(ウラン=原子番号92)があった。「あっ、これはあの周期律表が書かれているんだ。和光市も粋なことをするな」と思った。
しかし、その周期律表の終着駅は理化学研究所(理研)であることが判明した。私は理研の近くにある本田技研に行くので、途中で交差点を曲がり周期律表ロードと別れを告げた。
ホンダのエンジニアでも、その周期律表ロードを知っている人は少なかったが、あるエンジニアはその経緯を知っているので話を聞いた。
理研の森田浩介博士を中心としたグループが原子番号113番に匹敵する新しい元素の合成に成功し、平成28年11月30日に「ニホニウム」と命名された新しい元素が認定された。
日本が発見したので「ニホニウム」とは少し恥ずかしい気もするが、この世界的な偉業を記念して、和光市は和光市駅から理研までの道を「ニホニウム通り」と命名し、元素記号1番(駅から始まる)から118番までのプレートを路面に埋めた。
用事を済ませ、和光駅に戻りながら原子番号1番の水素(H)のタイルを見つけた。その先には周期律表に従って、「H He Li Be B C N F Ne」(すいへりーべぼくのふね)とタイルが並んでいる。
きっと和光市から優秀な化学者が誕生するかもしれないと思いながら、化学の世界を垣間見た気がした。和光市にはホンダも多くのお金を収めているはずだから、歴代のクルマのタイルを埋めてもいいかもしれない。
化学は科学とは異なり、バケガクと呼んでいる。私は大学時代に電子・通信工学を専攻していたので、機械力学とは異なる、ミクロの世界の物質の性質を学んでいた。
大学に実験用の原子炉も備わっていたので、原子力工学の授業でこの原子炉に通ったことがあった。
当時の教授に「放射能を浴びるとどうなるのか」と聞くと「それは医学の話なので工学では扱わない」といわれた。当時はそうなのかと思ったが、今となれば、あらゆる学問を全体で捉える知識が必要ではないかと思った。
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