「やめてーー!」停まってるところで「ハンドルぐるぐる」! 実はクルマを「傷つけて」いた? 知らずにやってた「ヤバい行為」の末路とは
無意識のうちに行っているクルマの運転操作のなかでも、じわじわと寿命を縮めてしまうようなNG行為がいくつかあります。その中でも今回は「ハンドルの据え切り」について紹介します。
止まった状態でのハンドル操作はものすごい「負荷」だった
何気ない操作が、実はクルマにとっては好ましくない動きだったということがあります。「ハンドルの据え切り」もそのひとつです。
いったいクルマにとってどのような動きが問題なのでしょうか。
![ダメなの!? 停まったその場で「ハンドルくるくる」![イメージ画像:PIXTA]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/04/20250410_steering_Traffic_Accident_pixta_64139946_M.jpg?v=1744248381)
ハンドルの据え切りとは、クルマが前進も後退もしていない状態で、ハンドルをグルグルと回す操作のこと。
クルマは軽自動車やコンパクトカーであっても、1トン近くの重量があります。それを4輪で支えているため、タイヤ1輪には、200kgから300kgもの荷重がかかっていることに。
ボディサイズの大きなクルマや、大容量バッテリーの搭載によって車重が重いEV(電気自動車)になれば、さらに大きな荷重がかかります。
しかもタイヤが接地している面積は、わずか「はがき1枚」ぶんほど。それだけの小さな面積に、少なくても200kgから300kgもの荷重がかかった状態でハンドルをグルグルと回す行為は、大切なタイヤのトレッド面を痛めつけてしまう行為なのです。
クルマに対する負荷はそれだけではありません。
ハンドルの据え切りは、ステアリング装置やサスペンションのブッシュなどにもダメージを与えます。
クルマは走行しているときよりも、停止しているときのほうがステアリングにかかる力が大きいため、そのぶんダメージが大きいのです。
タイヤは交換することでリセットされますが、ステアリング装置やサスペンションのブッシュ(ゴム部品)といった、目には見えにくい箇所に日々ダメージを与え続けることは、クルマが設計通りの性能や寿命を達成できなくなることに繋がってしまいます。
ただ、狭い駐車場での切り返しなど、据え切りハンドルをやらざるを得ないシーンはあります。
そうした際の操作方法として、筆者(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)が自動車メーカー勤務時代に教えられたのは、わずかにクルマを動かしながら、ハンドルを回すようにすることでした。
たったそれだけでも、クルマにかかるダメージを減らすことができるのです。
クルマを駐車枠に入れた後、切ったハンドルを戻すためにグリグリとする癖のあるドライバーさんは、クルマを完全に停止させる前にハンドルを戻すようにしてください。
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もちろん、1度や2度やったくらいではそれほどダメージはありません。
でもそれが習慣になってしまっていると、タイヤはおろか、クルマの寿命も縮めてしまう原因になってしまいます。
駐車場での切り返しの際などには、「わずかにクルマを動かしながらハンドルを回す」を心がけてください。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど





















