2000万円オーバー! ポルシェ「911」でも「スピードスター」は別格

ポルシェ「911」には「ターボ」や「GT2」、「GT3」、「RS」など人気モデルが多いが、「スピードスター」も同じくらいに人気の高いモデルだ。そのスピードスターの称号がついた964型のオークションマーケットでの動向をレポートする。

「356」から始まった「スピードスター」とは

 オープンカーが圧倒的な人気を誇るアメリカ。そこではもはやただのオープンスポーツでは満足できなかったということなのだろう。スポーティな走りを楽しみ、快感を得るのはサーキットだけではない。

 そういわんばかりにポルシェが1954年に「356」のラインナップに加えたのが、現在でも多くのファンを持つ「356スピードスター」にほかならなかった。

ボディ同色のホイールが、今見ると新鮮なポルシェ「911カレラ2スピードスター」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
ボディ同色のホイールが、今見ると新鮮なポルシェ「911カレラ2スピードスター」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●1994 ポルシェ「911カレラ2スピードスター」

 356スピードスターのセールスは、ポルシェの予想したとおりに当初から非常に好調なものだった。初年度の数字は1800台。1957年までには4854台がオーナーのもとへとデリバリーされている。

 ドイツ製のコンパクトなスポーツカーが、アメリカのさまざまなレースシーンで勝利を収める姿に、ファンがどれほど熱狂したほかは容易に想像できるところである。

 だが1957年にその生産が終了すると、スピードスターの名は、長い間歴史のなかに大切に仕舞われることになる。

 スピードスター、そしてポルシェのファンが、スピードスターの復活を予感したのは、それから30年という時を経た1987年のことである。この年のIAA(フランクフルト・ショー)に、ポルシェは「スピードスター・クラブスポーツ・スタディ」と呼ばれる、1台のコンセプトカーを出品したのだ。

 それは356スピードスターよりもさらにスパルタンな、フロントウインドウすら持たない1シーターカーで、ポルシェがこのコンセプトカーをベースに、およそ30年ぶりに新型スピードスターを世に送り出してくれるだろうという期待も大いに高まった。

 そして実際にその1年後、限定車ではなくシリーズモデルとして「911カレラ3.2スピードスター」(930型)が誕生。「ターボカブリオレ」のワイドボディをベースとした新型スピードスターは、フロントウインドウの高さを標準のカレラから80mmも低く設定。専用のソフトトップは、キャビン後方の専用スペースに収納され、そのリッドはダブルバブルのデザインが採用された。

 ちなみにこの911カレラ3.2スピードスターは、1989年までの間に2103台が生産され、そのうち171台はナローフェンダーを持つ、さらにスペシャルなモデルだった。

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