見た目も乗り味も、とにかく硬派! 昭和のDOHCエンジン搭載FR車3選

1970年代の中頃は排出ガス規制の強化から、国産車はパワーダウンを余儀なくされました。しかし、1980年代になるとターボエンジンの普及によって高性能車が復活。さらにDOHCエンジンも続々と登場しました。そこで、昭和の時代に登場したDOHCエンジン搭載のFR車を、3車種ピックアップして紹介します。

1980年前後に登場したDOHC+FRの高性能モデルを振り返る

 今では軽自動車からミニバンまで、DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)エンジンは当たり前のように搭載されています。一方、1960年代から1970年代では、DOHCエンジンは高性能車の証であり、特別な存在でした。

DOHCエンジンを搭載したFRの高性能モデルたち
DOHCエンジンを搭載したFRの高性能モデルたち

 当時、レーシングカーのテクノロジーを市販車にフィードバックしたかたちで登場したDOHCエンジンですが、1974年には排出ガス規制の強化から一旦は激減。

 しかし、1970年代の終わりにターボエンジンの登場と共にDOHCエンジンが再び注目されるようになり、1980年代には国産車の高性能化が加速しました。

 そこで、1980年前後に登場した記憶に残るDOHCエンジンのFR車を、3車種ピックアップして紹介します。

●いすゞ「ジェミニ ZZ」

高性能グレードとして追加された「ジェミニ ZZ」シリーズ

 いすゞは2002年に乗用車の生産から撤退してしまいましたが、かつて「117クーペ」や「ベレット」などの名車を数多く世に送り出していました。

 このベレットの後継車として1974年に誕生したモデルが、初代「ジェミニ」です。

 ボディラインナップは2ドアクーペと4ドアセダンで、オペル「カデット」と兄弟車だったことから、デザインもヨーロピアンな雰囲気が漂うスタリッシュさがありました。

 サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアは3リンクのリジットアクスルで、117クーペと同形式ですがリアはコイルスプリングとされ、後に「ピアッツァ」にも採用されるなど、いすゞ製FR車では定番となります。

 そして、デビュー後の大きな改良として、1979年に最高出力130馬力(グロス、以下同様)を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「ZZ(ダブルズィー)」シリーズが登場。

 外観はSOHCエンジン車から大きく変わっていませんが、ボンネット上のバルジがスポーティさを控えめに演出していました。

 また、ZZシリーズには斜めにカットされたデュアルマフラーが取り付けられており、エキゾーストノートも低音が響く迫力あるサウンドを奏で、高性能さをアピール。

 さらに1981年には強化サスペンションやLSDを標準装備した「ZZ/R」が登場し、ラリーなどのモータースポーツでも活躍します。

 1985年に2代目ジェミニが登場すると時代の流れからFF化され、初代もしばらくは併売していましたが1987年に生産を終了しました。

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●トヨタ「カローラ レビン/GT」

さまざまなボディタイプに2T-G型エンジンが搭載された4代目「カローラ」

 トヨタは新世代の大衆車として、1966年に初代「カローラ」を発売すると大ヒットを記録。トヨタの主力車種となりました。

 その後1960年代の終わりには各メーカーともモータースポーツへの参戦が活発になり、高性能車へのニーズが高まったことから、トヨタは1972年に安価な高性能モデルとして初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」を発売。

 トップグレードには初代「セリカ」用に開発した1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」エンジンを搭載するなど、走り好きの若者から人気となります。

 この2T-G型DOHCエンジンはレビン専用でしたが、1979年に4代目カローラが登場すると「GT」グレード用として幅広く搭載されました。

 4代目のボディラインナップはセダン(2ドア/4ドア)、2ドアクーペ(ハードトップ)、3ドアハッチバック(クーペ)、ロングルーフの3ドアハッチバック(リフトバック)、バン/ワゴンで、レビンはクーペのDOHCエンジン車のみの名前とされ、4ドアセダンとハードトップ、リフトバックにGTグレードを設定。

 レビン/GTに搭載された「2T-GEU型」エンジンは電子制御燃料噴射装置(EFI)を採用して最高出力115馬力を発揮し、環境対応をおこなったうえでかつてのパワフルなフィーリングも復活。

 比較的軽量な車体と相まって優れた走行性能を発揮し、大衆スポーツカーとしての地位を盤石なものにします。

 その後、1983年に登場した5代目ではレビン以外のモデルはFF化され、4代目が最後のFR車となりました。

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●日産「スカイライン 2000RS」

ケンメリGT-Rの消滅から8年ぶりにDOHCエンジン復活となった「スカイライン 2000RS」

 1969年に誕生した日産初代「スカイラインGT-R」に搭載された2リッター直列6気筒4バルブの「S20型」は、同社初の量産DOHCエンジンです。

 最高出力は当時としては驚異的な160馬力を発揮するなど、まさにレースで勝つために開発されたエンジンでした。

 しかし、排出ガス規制の強化や第一次オイルショックの影響から、1973年に2代目スカイラインGT-Rをもって消滅。1980年代になると日産の高性能車はターボエンジンが主力となります。

 そうした状況のなか、1981年に6代目スカイライン(R30型)のセダンと2ドアハードトップの新グレード「2000RS」が登場。

 エンジンは最高出力150馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHC4バルブの「FJ20E型」を搭載し、8年ぶりに復活した日産のDOHCエンジン車だったことから「GT-Rの再来」とも評されましたが、4気筒エンジンを理由に「GT」ではなく「RS」と命名されたといわれています。

 2000RSのトランスミッションは5速MTのみで、決して軽量なモデルではありませんがパワーステアリングはメーカーオプションとされ、パワーウインドウや集中ドアロック、オーディオなども省かれるなど、かなり硬派なモデルです。

 また、スムーズな回転が好評だった「L型」SOHC6気筒エンジンと異なり、FJ20E型はエンジンノイズも大きいことから荒々しさが感じられ、まさにスポーツユニットと呼ぶにふさわしいエンジンでした。

 その後メーカー間のパワー競争から、1983年にはFJ20E型にターボチャージャーを搭載した「2000ターボRS」が登場し、さらに1984年にはインタークーラーが追加された「2000ターボインタークーラーRS」を発売。最高出力は205馬力まで向上し、クラストップに躍り出ます。

 そして、1985年に7代目(R31型)にモデルチェンジするとDOHCエンジンは6気筒の「RB型」へ移行し、FJ20E型は6代目のみで廃止されました。

※ ※ ※

 1980年代当時のDOHCエンジンは高性能なパワーユニットだっただけでなく、エンジンルームに鎮座した状態での見た目もカッコいいものでした。

 とくにFJ20E型はヘッドカバーやインテークマニホールドが赤い結晶塗装とされ、特別なエンジンだとアピールしており、DOHCエンジンであることのオーラが感じられたほどです。

 現在のクルマの多くは、エンジンルームを見てもエンジンがほとんど見えないカバーが取り付けられているか、見えても無機質な樹脂製ヘッドカバーのモデルが多く、かつてのような高揚感は失われてしまいました。

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1件のコメント

  1. 何時も楽しみに拝見致して降ります。
    今回の記載されている記事も”ド”ストライクの年代でした。
    此処、直近旧車の異常なる高騰ぶりに舌を巻く状況ですよね・・・

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