なぜ「トナラー」は現れる? あえて隣に駐める人の心理状況 コロナ禍で増加も
近年、話題となる「トナラー」。大型商業施設などの広い駐車場で、ガラガラで空いているにもかかわらず、わざわざ隣にクルマを駐めてくる人のことをいいます。なぜ、あえて隣に駐めてくるのでしょうか。
広い駐車場で隣にとめたがる「トナラー」の心理とは
大型商業施設などの広い駐車場で、周囲はガラガラに空いているのに、わざわざ隣に駐車してくるドライバーがいます。
最近では、こうした人を「トナラー」と呼び、駐車場だけでなく、トイレや電車、新幹線の座席、パチンコ店、飲食店など場所を問わずトナラーが存在します。
なぜ人はわざわざ隣にやってくるのでしょうか。

SNSではいくつものトナラーの目撃談、体験談が投稿されています。
多くはトナラーをされた人のツイートが見受けられ、「ガラガラなのになぜ横にくる?」「トナラー、マジでウザイですよ」などと憤りを見せる投稿が多数ありました。
また、「トナラーの何が悪いのかわからない」「クルマの隣に駐めたぐらいでどうこういうのは、心が狭いなとしか思わない」といった意見のほか、「トナラーとか名称付けて、気持ち悪いだの、イライラするだの差別して何が楽しいのか」と名称を付けることに否定的な意見もありました。
実際にトナラーに遭遇した神奈川県在住のA氏は以下のように話します。
「私が乗っているのはスポーツカーなのですが、同じように親近感を抱いて隣にスポーツカーが駐められているということがよくあります。
トナラーをされないように、駐車場の端に駐めたり、立体駐車場の一番上に駐めたりと工夫していますが、それでも高確率でトナラーに遭遇します。
そのうえ、勝手に写真を撮られたり、出待ちされていることがあったりするので、困っているのが正直なところです」
一方で、トナラーをおこなった人の投稿もいくつか見受けられました。例えば、「同じクルマを見つけ、隣に自分のクルマを駐めた」という人や、「ナンバーまで一緒だったのでトナラーした」というケースもありました。
また、ホンダ「NSX」などの希少性の高いクルマの隣に駐めてSNSに投稿しているケースもありました。
この投稿者に話を聞くと、「現存でもなかなか見ることのできない名車である『NSX』を見れて感激しました。自分のクルマと並ぶ機会が少ないので、思わず投稿しました」と話しています。
トナラー行為を迷惑に感じる人も多いようですが、なぜトナラーはわざわざ隣にクルマを駐めたり、座ったりしてくるのでしょうか。
トナラーの現状について、全日本駐車協会の担当者は以下のように話します。
「トナラーがSNSなどで話題になっていることはテレビのワイドショーでも取り上げていたので知っています。
トナラーが原因で大きなトラブルになったケースは今のところ聞いたことはありませんが、トラブルになる恐れはあると思います」
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では、トナラーはなぜ隣にクルマを駐めるといった行為をおこなうのでしょうか。臨床心理士であるB氏は以下のように説明します。
「心理面でみると、通常では人間は自分と他人との間にある程度の距離感を保ちたいと思っています。
個人差はありますが、一般的に両手を広げた範囲が、その人が他人との間で保ちたい距離とされています。
そこに踏み込まれると、人間は不快な気持ちになるといわれており、例えば満員電車や混み合ったエレベーター内など、物理的に他人との距離感を保つことができない場合があります。
こうした場合、周囲の人を人ではなくモノとみなす『没人格化』するように脳が作用し、人間は不快感から逃れることができる仕組みになっています。
そんななか、トナラーは距離感に関係なく他人を『没人格化』してしまう人が多い傾向にあるという見方ができます。
こういう人は、人と人との距離感をイメージしづらく、脳の切り替えが少し苦手なのだと思います。
この結果、他人に迷惑をかけている意識もないまま、駐車場がガラガラでも駐車しているクルマのすぐ横に自分のクルマを駐めてしまうトナラー行為をしてしまいます」











