1リッター直3ターボの走りはどう? アウディ新型「A3セダン」の驚嘆の進化とは

音も振動も見事なまでに抑え込まれている

 走りについて気になっていたのは、パワートレインとサスペンションだ。30 TFSIに搭載されるTFSIエンジンは、わずか1リッターの直列3気筒ターボになる。

 それがBAS(ベルト駆動式オルタネータースターター)とリチウムイオンバッテリーを用いた、日本へ導入されるプレミアムコンパクトセグメントでは初となる48Vマイルドハイブリッドとの組み合わせでどうなるのか。さらには、このクラスとはいえトーションビーム式のリアサスペンションは、アウディブランドにキズをつけることになりはないのかという思いがあった。

 ところが実際にドライブして、すべて納得した。

アウディ新型「A3セダン 1stエディション」の走り
アウディ新型「A3セダン 1stエディション」の走り

 まず出足がよい。リニアにスッと発進する感覚は、同じ条件でドライブしたスポーツモデル「S3」をしのぐほどだ。モーターはスペック的には控えめながら、持てる力を出し尽くしている印象で、アクセル操作に遅れなく応答し、気持ちよく加速させてくれる。

 しかも極めてスムーズだ。トルコンのないDCTである上に、エンジンの停止-再始動がからめば、いろいろ駆動力の伝達が煩雑になってトルク変動が生じるのではと危惧していたのに、ほぼ気にならないほど見事に制御されている。48Vマイルドハイブリッドにこれほど感心させられたことはかつてない。

 さらには、1リッターの直列3気筒エンジン自体も予想以上によかった。

 最高出力は110psで、200Nmの最大トルクを2000-3000rpmという低い回転域で発生しているとおり、扱いやすく動力性能的には十分なのは予想どおりだが、音や振動が見事に抑え込まれていて驚いた。高回転まで回しても、3気筒ながら音も安普請な感じがせず、振動もそれほど増えないのだ。

 ドライブモードの選択はなく、足まわりもコンベンショナルなタイプとなるが、同じ条件でドライブした電子制御ダンパーを装備するS3に比べると、やはり路面の凹凸を拾いやすい印象はあるものの、A3単体で見ると快適性は十分に確保されている。

 ハンドリングも、アウディらしい俊敏なレスポンスにさらに磨きがかかった。これまでにも増して動きがわかりやすく、従来もそのあたりは優れていたが、操舵感にやや人工的な印象もあったところ、より自然なフィーリングになっている。

 運転支援装備についても、最新モデルらしく各種アップデートが図られている。このクラスの魅力的なセダンの選択肢がどんどん少なくなるなか、持ち前のスペシャルティさにさらに磨きをかけ、最新のテクノロジーの数々を身につけたA3セダンのフルモデルチェンジは、予想を超える濃い内容であった。

アウディ新型「A3セダン 1stエディション」
アウディ新型「A3セダン 1stエディション」

Audi A3 Sedan 1st edition
アウディA3セダン ファーストエディション

・車両価格(消費税込):472万円
・全長:4495mm
・全幅:1815mm
・全高:1425mm
・ホイールベース:2635mm
・車両重量:1330kg
・エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
・排気量:999cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速Sトロニック(7速DCT)
・最高出力:110ps/5500rpm
・最大トルク:200Nm/2000-3000rpm
・タイヤサイズ:225/45R17

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