全面刷新の高級SUV新型「NX」何が変わった? トヨタ&スバルの良さ活かした次世代レクサス第一弾とは

新型NXの内外装デザインはどのように変わった? 新機能とは?

――今回、一目でNXと解るけど、新旧で見比べると実はかなり違うことに驚きました。キープコンセプトのようで実は攻めている印象を受けました。

 加藤:パッと見はヘリテージを継ぐが、実はパッケージ・デザインを含めてすべて新しくなっています。そう感じていただいたことこそ、最高の褒め言葉です。

 須賀:実は初代NXはレクサスが攻めに転ずるキッカケとなったクルマで、カテゴリーもスタイリングも挑戦的でした。

 そのマインドセットは2代目でも不変です。一般的には「初代が成功すると2代目は苦労する」といわれていますが、幸いなことに武器がありました。

 その武器のひとつは新プラットフォームです。「走りの性能を高めたい」という加藤の強い想いから開発されましたが、リアトレッドが59mm拡大されています。

 そんな基本骨格の武器があったので、デザインは初代の「デザイン表現で挑戦」ではなく、基本骨格を素直に受け止めて大人な表現にしようと。

 そのうえで「NXの要素って何だろう」と研究していくサイドフォルムのとくにリアに力感を持たせたシルエットだということが解りました。

 その一方で、ほかの部分の造形はシンプルにしたのが新型NXであり、新しいレクサスデザインになります、実はボディのラインの数を数えると、減っているのが解りますよ。

――確かに初代はエッジが強くガンダムチックでしたが、新型は面で表現されているので滑らかで優しい印象を受けました。

 須賀:実はそこは意識した部分です。ガンダムも初代より2代目のほうが形は複雑ですが、僕らはあえてそこにいかず「純度」を高めることに挑戦しました。

――スピンドルグリルも採用当初は色々いわれましたが、最近は上手くデザインに溶け込んでいます。この辺りは新型NXではどうなっていますか?

 須賀:スピンドルグリルは「フロントオーバーハングの質量を抑える」、「開口部を抑えながら冷却性能を保証する」と慣性諸元にこだわった結果です。

 最近はスピンドルグリルもこなれてきたといわれますが、それを良しとせず原点に返って技術を向きあいました。

――NXの特徴だったヘッドライトと独立したデイライトが、新型では一体化されましたがその意図は?

 須賀:スピンドルグリルと同じく軽量化のためです。

 下山テストコースで鍛えるうえでフロントオーバーハングの重量削減は重要な要素で、今回は機能に忠実を優先しました。

 加藤:新型を開発するうえで「もう一度クルマづくりの基本に立ち返ろう」と。

 今回は差別化のためのデザインではなく、軽量化は? 質量はどう使う? トレッドは? パッケージは? といったなかで、「その時のデザインはどうあるべきか?」というイメージです。

すべてが大幅進化した2代目となる新型「NX」。内外装デザインはよりスタイリッシュになった
すべてが大幅進化した2代目となる新型「NX」。内外装デザインはよりスタイリッシュになった

――一方、インテリアは大きく変わりました。その点についてはどうですか?

 須賀:TAZUNAコクピット「人とクルマが一体になる」をクルマのなかでどう表現できるかの挑戦でした。

 企画時からセンター14インチ大型モニター搭載は決まっていましたが、「エンタメ志向にならずに走りに対してどうあるべきか?」にこだわりました。

 視線を自然に誘うメーターフード、ドライバー側に寄せてコクピット感を強調させたモニター系、ステアリングを中心に走行系機能は腕のリーチ内にレイアウトなど、ドライビングにより集中できる環境を目指しました。

 これらの基本的な考え方は、今後のモデルにも順次採用していきます。

――レクサスの特徴のひとつだったリモートタッチは廃止されましたが?

 須賀:直近は併用式が多かったですが、スマホがスタンダードですのでやめました。

 物理的なスイッチはかなり減らしましたが、タッチ式スイッチを含めて直感的な操作にこだわっています。

 ちなみにドライブモードセレクトもシフト操作をしてからスッと使えるように手の届く位置に変更しています。

――ステアリングスイッチも変わっていますね?

 加藤:静電タッチ式を採用しました。右が運転支援系、左がオーディオ系ですが、HUD上に機能表示されるので目線を前方に置いたまま操作が可能です。

 そういう意味では、リモートタッチの進化版ともいえます。

 ナビゲーションはタッチ式ですが。姿勢を崩すことなく操作できる最大の幅を持たせています。

――ドアノブに採用された「eラッチシステム」はどのような機能なのでしょうか?

 加藤:ふすまの所作は1モーションでシンプルに開けますが、それをドア開閉に応用できなか……という発想から生まれた機能で、ドアのラッチ/アンラッチ機構をスイッチによる電気制御にしています。

 乗車時はドアノブに手を入れて引くだけ、後者時はドアノブを押すだけでOKです。

 さらにBSMと連動させて後方からの接近を検知して、注意喚起はもちろん状況によってはドア開放をキャンセルさせることもできます。

 もちろん、内外共に物理レバーも隠されているので、もし電気が落ちたとしても心配はありません。

 これらも今後のモデルに水平展開していく予定です。

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