全面刷新の高級SUV新型「NX」何が変わった? トヨタ&スバルの良さ活かした次世代レクサス第一弾とは

レクサス初PHEVと新開発ターボ、そして電子制御AWDはスバルと協業?

――パワートレインは日本向けには4種類用意されています。その役割は?

 加藤:レクサスはカーボンニュートラル実現に向けて電動化リッチな戦略を取ることを発表していますが、その答えのひとつです。

 UXではレクサス初の電気自動車(BEV)を投入しましたが、新型NXはレクサス初のPHEVの設定に加えて、HVもモーターサイズアップ(RXサイズを動かすパフォーマンスを備える)&バッテリーのリチウムイオン化により駆動力をアップさせています。

――ガソリン車はどうでしょうか?

加藤:初代は2リッターターボも好評でしたが、新型ではより走りを楽しむ方向けに3.5リッターV型6気筒をダウンサイズさせた2.4リッターターボを新設定。

 さらにリーズナブルにNXを楽しみたいという人向けに2.5リッターNAも用意。廉価版と思われがちですが、駆動力は初代の2リッターターボ十分以上の加速力を備えています。

――2.4リッターターボは新型NXが初搭載となる新エンジンで、高トルク対応型8速ATとの組み合わせとなります。このエンジンのみ電子制御4WDが設定されていますが、これは?

 加藤:この時代でもコンベンショナルなエンジンを選びたい人への提案です。絶対的な力強さはもちろんですが、非常に熱効率の高いターボでセンターインジェクション採用なども相まってエミッションも高いレベルを実現している、新時代ターボです。

 電子制御フルタイム4WDは駆動力コントロールをおこなっており、レクサスの「スッキリとした操舵」と4WDの持つ「高い接地感とドライバーの安心感」を両立させたシステムとなります。駆動力配分は電子制御多版クラッチでコントロールし、前後駆動力配分は75:25から50:50まで可変します。

――電子制御多板クラッチというとGRヤリスのGR-FOURも同じ機構を採用していますが、それとの関連性はどうでしょうか?

 加藤:鋭いですね。駆動力配分や味付けは異なりますが、モノとしてはGRヤリス用と同じです。

 このシステムはレスポンスが非常にいいのでドライバーのインプットに対して瞬時に反応してくれるので、新型NXに水平展開しています。

――トヨタグループのいい所は活用しようという考えは大賛成です。この電子制御4WDの開発で今までとは違う取り組みがあったと聞いていますが?

 加藤:ひとつはこのシステムを搭載するうえで、下山テストコースでプロドライバーの指摘を織り込みながら、体幹を鍛えるために走り込んだこと。もうひとつはスバルとの協業です。

――スバルとの協業はGR86/BRZ、bZ4X/ソルテラだけではなかったわけですね。

 加藤:スバルが直接開発に関わっているわけではありませんが、スバルと協業しているメンバーと車両開発を一緒におこなっています。

 楽しいクルマづくりの哲学を共有するスバルと、「クルマをどう動かすのがいいのか?」、「どう評価するのか?」、「そのための要素技術は?」など、そこで得た技術や知見をハード/ソフト共に入れ込んでいます。

 最終的にはレクサスの味になっていますが、スバルはある意味「4WDの先生」でもあるので、色々学ばせてもらいました。

 ぜひ乗っていただきたいです。

――プラグインハイブリッドはどうでしょうか? 「RAV4 PHV」とシステム構成に違いはあるのでしょうか?

 加藤:タイミング的にRAV4の二番煎じと思われがちですが、プラットフォーム開発と同じように、企画当初からNXへの展開を前提に開発されたモノになります。

 ハードは一緒ですが最大の違いは駆動力コントロールで、新型NXはリアモーターをより積極的に使う設定になっています。

 さらにエンジンはハイオク仕様にすることでシステム出力は227kW(RAV4 PHVは225kW)とこのシステム最大のパフォーマンスを発揮させます。

 細かい部分ではリアの補機バッテリーの位置で、RAV4 PHVはメンバーの外、新型NXはフロアパンの中に配置しています。

 これは重量配分やデザインの観点から譲れなかった部分です。ただ、その結果スペアタイヤが搭載できないので、20インチのタイヤにはEMT(ランフラットタイヤのようにパンクの際も一定距離走る性能を確保した構造を備える)を採用しています。

新型「NX」のプラグインハイブリッド車は「NX 450h+」というグレードになる
新型「NX」のプラグインハイブリッド車は「NX 450h+」というグレードになる

――グレード構成は、初代と同じように通常モデル/Fスポーツのふたつですか?

 加藤:そうですが、今回は「Fスポーツとは何か?」を真剣に議論し、形にしました。つまり、見た目の差別化だけでなく走りの部分も明確に差別化しようと。

 ちなみに日本仕様のハイブリッドには両グレード設定しますが、2.4リッターターボはFスポーツのみ、逆に2.5リッターNAはノーマルのみの展開となります。

――つまり、2.4リッターターボ+電子制御4WDはFスポーツ専用のパワートレイン/ドライブトレインというわけですね。北米で発売されたV8搭載の「IS500 Fスポーツパフォーマンス」を彷彿とさせますね。

 加藤:つまり、新型NXからFスポーツブランドも見直していくという宣言でもあります。2.4リッターターボのFスポーツは想いとしてはFスポーツパフォーマンスと共通です。

※ ※ ※

 次世代レクサスの第一弾として登場した新型NX。トヨタの良いものやスバルとの協業で得たノウハウを活かしたことで、どのようなパフォーマンスを発揮するのか、2021年秋の発売が期待されます。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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