シャープなデザインが秀逸! 昭和のスポーティカー3選
クルマの開発に必要なツールや生産技術の進化はクルマのデザインにも影響を与え、近年は複雑な曲面を多用した流麗なフォルムのモデルが主流です。一方、昭和の頃には直線基調のモデルが数多く存在。そこで、シャープなフォルムの昭和のスポーツ車を、3車種ピックアップして紹介します。
直線基調のデザインが全盛だった頃のスポーティカーを振り返る
クルマの外観デザインは時代によって流行があり、近年は複雑な曲面を組み合わせた造形のモデルが主流です。
こうしたデザインを可能にしたのは3D CADやCGを使ったモデリング、3Dプリンターによる試作、そして生産技術の向上など、技術革新によるところが大きいといえます。
一方で、開発ツールやプレス技術などが発展途上だった昭和の時代は、クルマのデザインも直線基調なモデルが主流でした。
しかし、あえて直線基調の面を組み合わせてスタイリッシュにデザインされたモデルも存在。
そこで、シャープなフォルムの昭和のスポーツ車を、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「S110型 シルビア」
日産初代「シルビア」は、多くの生産工程を手作業とした少数生産のスペシャリティカーとして1965年に誕生。当時としてはかなり高額なクルマだったことから、購入できる顧客は限られわずか3年ほどの短命に終わります。
初代が生産を終えてから7年後の1975年に登場した2代目では、価格を抑えた量産スポーティモデルへと変貌。しかし、性能的には排出ガス規制の強化という背景から目をみはるものはなく、デザインも賛否が分かれ、販売は好調ではありませんでした。
そこで、1979年にデビューした3代目では、外観デザインを直線基調のシャープなフォルムに一新。2ドアハードトップと3ドアハッチバッククーペをラインナップして、販売チャネル違いの姉妹車「ガゼール」も誕生しました。
フロントフェイスは先代の丸目2灯ヘッドライトから角型4灯式とすることで、精悍な印象へと変化。
1981年には、最高出力135馬力(グロス、以下同様)を発揮する1.8リッター直列4気筒SOHCターボエンジン車を追加ラインナップし、1982年に最高出力150馬力とよりパワフルな2リッター4気筒DOHC16バルブ「FJ20E型」エンジンを搭載した「RS」グレードが登場したことで、シルビアはスポーツカーというイメージを確立しました。
シルビアは「スカイライン」や「フェアレディZ」よりも安価なスポーツカーとして若者から人気となり、その後も同様なコンセプトで代を重ねていくことになります。
●トヨタ「TE71型 カローラ」
誕生から55年を迎えるトヨタを代表する大衆車「カローラ」は、現行モデルが12代目にあたります。これまで歴代モデルは変化を繰り返してきましたが、大きな転換期となったのは1983年に登場した5代目で、「レビン」を除くモデルがFF化されました。
さらに5代目はデザインがよりモダンになり、まさに新時代のカローラといえますが、4代目のシャープなデザインもかなり秀逸といえます。
1979年に発売された4代目では3ドアリフトバック、3ドアハッチバック、2ドアハードトップ、2ドア/4ドアセダン、さらにバンとステーションワゴンなど、多彩なボディラインナップを展開。
また、エンジンラインナップも数多く、なかでも最高出力115馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCの「2T-GEU型」を搭載したスポーティな「GT」グレード(TE71型)が設定されていました。
DOHCエンジン車は2ドアハードトップ、3ドアリフトバック、4ドアセダンがあり、さらに3ドアハッチバックのレビンと4つのボディタイプとなっており、どれも直線基調のフォルムでシャープな印象です。
外観で高性能エンジンを搭載していることを主張するのは、エンブレムとタイヤ・ホイール程度というのも、まだエアロパーツが大手を振って認められていない時代背景を表しているといえるでしょう。
TE71型カローラは性能や価格のバランスから走り好きの若者を魅了し、最後のFR車となったAE86型へとコンセプトが受け継がれていきました。
幾何学的なデザインと流線型なデザインは時代を超えて互いに流行を繰り返している。
そこにデザインツールや生産技術の進化でより複雑なラインを引く事が可能になった。