ダイハツの軽「スーパーハイト“SUV”ワゴン」に注目! 全高1.8m超えの「超“デカデカ”」サイズ! 車中泊もイケる広々モデル「ウェイク」がスゴかった!

かつて「軽の常識」を打ち破る全高で話題を呼んだダイハツの軽スーパーハイトワゴン「ウェイク」。個性的なコンセプトで多くのファンを生みましたが、一代限りで生産を終了しました。いったいどのようなクルマで、なぜ市場から姿を消したのでしょうか。

個性派「軽スーパーハイトワゴン」どんなクルマ!?

 2014年に登場したダイハツ「ウェイク」は、日本の軽自動車市場において、ひときわ異彩を放つモデルでした。

 2022年に生産を終了し、一代限りでその歴史に幕を下ろしましたが、今なお多くのファンに記憶されています。

全高1.8m超えの「超“デカデカ”」な個性派「軽スーパーハイトワゴン」とは
全高1.8m超えの「超“デカデカ”」な個性派「軽スーパーハイトワゴン」とは

 では、ウェイクとは一体どのようなクルマだったのでしょうか。

 その原点は、2013年の「第43回 東京モーターショー」で発表されたコンセプトカー「DECA DECA(デカデカ)」。

 全高1800mmを超えた極めて高い全高をもとに、軽の新たなカテゴリー「スーパースペース」を提案するものでした。

 そして「ドデカクつかおう。」というキャッチフレーズとともに、「大きさ」を追求したモデルとして市販化されました。

 最大の特徴は、全高1835mmという軽自動車の常識を打ち破る圧倒的な高さです。

 これは当時人気の軽スーパーハイトワゴン「タント」よりもさらに85mmも高く、室内高は1455mmを確保していました。

 大人が車内で着替えたり、子どもが立って移動できたりと、他にはない空間性が生まれたのです。

 この「ウルトラスペース」を活かすため、荷室には「ミラクルラゲージ」と名付けられた専用設計が採用されました。

 2WD車には容量90リットルの床下収納が備わり、シート表皮には撥水加工、荷室フロアは防水仕様となるなど、キャンプや釣り、サーフィンといったレジャー用途に最適化された装備が与えられていました。

 外観も2トーンカラーの前後バンパーやメッキ加飾されたフォグランプ、スクエアなフォルムなどでSUVテイストを感じさせるユニークなスタイルとなっています。

 660ccのパワートレインには、最高出力52PSの自然吸気エンジンと、64PSのターボエンジンが設定され、トランスミッションにはCVT(無段変速機)を採用。価格は最終モデルで約158万円からでした。

 では、これほどユニークで熱心な支持を集めたウェイクが、なぜ市場から姿を消すことになったのでしょうか。

 その理由は、最大の武器であった「高さ」が生み出した、いくつかの弱点にあります。

 まず、高さと装備の充実により、車両重量は1トンを超え、軽自動車としては重めの部類に入りました。

 そのため、特に自然吸気エンジン搭載車では「加速が鈍い」との評価を受けることがありました。

 また、重心が高いため足回りは硬めに調整され、乗り心地はややゴツゴツとした印象に。横風にも弱く、高速道路での安定性に課題があったことも否めません。

 さらに、燃費性能もライバルに及びませんでした。

 当時のスズキ「スペーシア」などが20km/Lを超える燃費を実現していたのに対し、ウェイクは17.4km/L(FF・自然吸気モデル)にとどまり、燃費重視のユーザーにとっては不利な条件となっていました。

 こうした中で、価格もライバルより高めに設定されていたことから、空間性に特化したウェイクは、走行性能や燃費などの日常性とのバランスに欠け、結果的に同じダイハツの「タント」に人気が集まる状況となりました。

 しかし、ウェイクの挑戦が終わったわけではありません。

「レジャーに特化した軽自動車」というそのコンセプトは、現在のダイハツ車にも確実に受け継がれています。

 商用車ベースながらアウトドア志向のユーザーに支持されている「アトレー」は、その思想を体現する精神的後継車といえるでしょう。

 またSUVテイストのスタイルは、タントの派生モデル「タント ファンクロス」へ昇華しています。

 一代限りで姿を消したウェイクですが、その挑戦があったからこそ、今のアトレーやタントの成功があると考えると、ウェイクはダイハツの方向性を導いた意義ある存在だったといえるのかもしれません。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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